2019年大晦日でのRIZINバンダム級王座決定戦。
当初は堀口恭二vs朝倉海のマッチメイクで、堀口にとっては8月のKO負けのリベンジ、タイトル防衛戦と注目のカードになっていたが、堀口恭二の怪我による長期欠場が知らされた。
RIZIN6連勝中だった朝倉海
朝倉海はRIZIN参戦から無敗の戦績を残し、RIZIN6連勝中。
堀口恭二へのジャイアントキリングを制し、10月の佐々木憂流迦戦でも圧倒的な打撃力で1RKO勝利を収めるなど好調。
そんな朝倉海の相手としてタイトルを争うことになったのはアンゴラのマネル・ケイプだった。
2019年大晦日の相手はマネル・ケイプ
マネル・ケイプはRIZIN参戦当初からその破天荒振りな性格から記者会見での乱闘を何度も起こす問題児。
その破天荒振りとは裏腹に試合ではアグレッシブかつ、クレバーな戦い方をする選手。両者は1年前にもRIZINのリングで拳を交えており、両者一歩も引かないアグレッシブな展開の中、スプリットによる判定で朝倉海が制した。
しかし、この試合にはケイプ自身もジャッジの判断に異議を唱えており、格闘技ファンの間でも意見が割れていた一戦でもあった。
朝倉自身も「次は失神させる」といつも以上に気合の入った面持ちであった。堀口を破り、現RIZINバンダム級前線にてトップの座に上りつめている朝倉と2019年全試合KO勝利を収めている好調のケイプのバンダム級王座決定戦は実力的にも申し分のない一戦だった。
力みすぎた?朝倉海の敗退
試合は2R開始早々に近距離の撃ち合いでのケイプのカウンターで崩れ落ちた朝倉。さらにケイプの猛烈なパウンドでレフェリーストップ。
ケイプがRIZINバンダム級王座決定戦を制するという下馬評を覆す結果となった。
RIZINバンダム級は堀口の敗戦から混沌を一層強めている。1Rから朝倉の動きが硬いように見えた。前回の堀口戦や佐々木戦で見せた柔らかい動きではなかった。
同大会に出場した朝倉(兄)も試合後のコメントで「力みすぎていた。」と語っており、朝倉海自身もそれを認めている。
また、距離が測れていないようにも感じた。距離が測れていない中でケイプが詰めてきて朝倉が足を使って後退する場面や朝倉のストレートが届いていない場面も見えた。
何よりケイプのタフさには相変わらず驚かされる。試合中盤で朝倉が後退して通常の選手であれば怯むような朝倉のフックかケイプの顔面を捉えるものの、効いていない様子であった。
RIZINは世界で通用する?マネル・ケイプの今後
この試合から私はUFC、ベラトール、ONEメジャー団体がひしめく世界でRIZINバンダム級がどこまで通用するのか考えてみた。
朝倉海に見事勝利を収めたケイプの実力はRIZINの中ではトップクラスだ。特に打撃面については質とパワーも上り、前回の水垣戦同様にショートレンジのフックの当て勘は抜群だった。
しかし厳しいことを言えば打撃のみではUFCで通用しない。直近のケイプの試合では寝技での攻防が見られていないこと、短時間決着が多いということもあり、サブミッションへの対応、スタミナ面も気になる。
2018年末にケイプは佐々木憂流迦の寝技地獄に苦しみ、スタミナもかなり削られ、敗北。
今回の朝倉戦のトレーニングでサブミッションを練習する風景も見られたが、ベラトールのコールドウェル(堀口に2度敗北)のような変則型打撃かつサブミッションも得意なファイターに対応できるかどうか懸念もある。
ケイプは現在、アンゴラからAKAタイ拠点に移し、優秀なコーチの元MMAのスキルを磨いている。今後のケイプの更なる進化とRIZIN代表として世界の大型プロモーターから声がかかることに期待している。
(文・Totty)