タイソンの得意技!左フックの距離の詰め方、ガゼルパンチの打ち方

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ミルコに憧れてキックボクシングにはまり、ヒョードルに憧れて総合格闘技を始めた高校生の頃のお話です。

私はもともと伝統派空手をやっていて遠間から飛び込むのが得意だったんですが、小柄だったこともあり、ファイトスタイルと体格のミスマッチに悩まされました。

リーチが短いのにアウトボクサーで、ストレートパンチしか持っていなかったのです。

刃牙の影響?左フックを必殺技に!

リーチの短さを補うために左フックを必殺技にしようと心に決めました。

左フックなら近間でも使えるし、離れぎわに入れたり横に回るのに引っ掛けたり使い勝手が良く、何よりマンガ「グラップラー刃牙」の、

「ボクシングで一番KOが多いパンチは左フック」

という言葉に影響を受けました。

マイクタイソンも得意にしていたガゼルパンチ

左フックといってもただの左フックではありません。特別な技名が付いています。

「ガゼルパンチ」

といって、全身のバネを使って飛び上がりながら打つのが特長です。

もともとはボクシング元世界ヘビー級王者フロイド・パターソンがあみだしたものですが、私自身は1985年のタイソンvsロングにおけるマイクタイソンの動きを何度も見て研究しました。

タイソンはこの試合でガゼルパンチを繰り出してロングから最初のノックダウンをとっています。

左フックを打つときの距離の詰め方

まずガゼルパンチの打ち方を説明する前に、リーチで勝る相手に対してどうやったら安全に左フックの距離まで近づけるのか、基本の動きを学ぶ必要があります。

インファイターが飛び込むときには相手の攻撃に合わせて避けざまに入るのが定石なんですが、毎回毎回同じ入り方をしていたら警戒されます。

敵の攻撃をかわしざまに飛び込むことを繰り返していると、こっちが懐に入ってくることを警戒した相手は、いつでも対応できるように後ろ重心で軽いジャブで弾幕を張ったり、人によっては前手を伸ばしてこっちの顔の前にかざしてブラインドしながらインローでお茶を濁す、みたいな消極策を取るようになってきます。

そういう局面で使う距離の詰め方は次のとおりです。

  1. 左手をジャブの要領で手を伸ばしながら前に出る
  2. そのとき重心は後ろ足、頭は相手からなるべく遠い位置に置いておく

この姿勢で前に出ると比較的安全に間合いを詰められます。

左手は相手の右ストレートの軌道に置いて相手の主砲を阻害、さらに頭は遠い位置に置いて安全マージンを取る。そして右を打つタメを作ることによっていつでも強い右ストレートで反撃できるように備えて抑止力とする。という意味の込められた姿勢です。

私は、このようにして距離を詰め、そこから右ストレート強振、またはガゼルパンチの2択で試合を組み立てました。

ガゼルパンチの打ち方

次にガゼルパンチの打ち方の説明に移ります。

まず上で述べた距離の詰め方によって、後ろ足重心となり前手を伸ばした体勢になります。

次に、左フックの距離まで一瞬で接近し、上体を低くしてガゼルパンチで飛び上がるタメを作る。これを同時に、しかも相手に反応されることなく行う必要があります。

そのためには、前に出した自分の手(左)を、相手から見て位置が変わらないように固定し、身体の方を手繰り寄せるように膝を使ってその下を潜る、という動きをします。上体の沈み込みに合わせて前に出した手の位置が下がってしまうと相手にこちらの攻撃を悟られてしまいます。

人間の体の構造上、左手を元の位置に残しておくことは実際には難しいのですが、ギリギリまで元の位置に置いておくように努めます。そして、身体を前の手側に手繰り寄せたときには、前の手の肘が体側に付くくらいまで引き寄せられた状態になります。

この一連の動きが上手くいくとこちらの重心移動を相手に悟られずに済みます。

さて、自分の前側の手を潜ることができたら、右肩が自分の顎に当たるように前に出ているかチェックしてください。

試合中に焦って攻めると前側の手を潜らずにそのままステップインしてしまいがちです。こうなると下半身の筋力を活用できず、単に手打ちパンチをしているだけになってしまいます。

右肩が自分の顎に当っているということは、潜り動作によって前足に重心が移っていること、パンチを打つために身体がしっかり捻られていることを示しています。また、右肩を自分の顎に当てることには防御の意味もあります。

こうした体勢が作れていれば、左足につま先の方向に行きたがっているタメが出来ているはずです。あとはこのタメを解放し、飛び上がりながら、左手を腕時計で時間を見る感じに曲げて固定してやればガゼルパンチになります。

ガゼルパンチのコツ

タイソンの動画を見てもらうとわかるのですが、ガゼルパンチは体側面に肘をつけた状態から飛び上がって打つ形になるので、フックの軌道が小さく、ガードの横から巻いて当てることが難しいパンチではあります。

しかし技の前段階で自分の前手をくぐる動きの過程で、相手の左斜め前にステップインする形にすることで、こうした欠点を補えるはずです。

また、鋭くジャンプするためには頭から顎のラインを地面に対して垂直に保つ意識を持つことが大切です。タックルするときもそうなんですが、頭が地面に対して垂直になっていないと体のバネが働かないです。

こうしたポイントを意識することで、体ごと当たっていく突進力のあるガゼルパンチが打てるはずです。

ここでは、距離をとって消極的な攻防をする相手であっても、こちらから距離を詰めてガゼルパンチを打つ方法について解説しました。実践では、今回のケースとは反対に、相手の方から積極的に距離を詰めてくることもあります。その場合はどのように対処したら良いのでしょうか? ミルコ・クロコップの動きにヒントを得た練習方法を関連記事にまとめました。こちらも合わせて身につけることで、離れても近づいても一筋縄ではいかない、とても厄介なファイターになれるでしょう。

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(文・千里三月記)