剣道の応じ技「出小手」が決まらないときの小刻み打ちと踏み込み稽古

中学から剣道を始めてようやく剣道の基本の打ちである面・小手・胴が打てるようになった頃です。

顧問の先生から新しいステップとして「応じ技」を教わりました。

最初に習った剣道の応じ技

相手が打ち込んできた技にカウンターの要領でこちらが技を合わせる応じ技は、今まで習ってきた技の応用編です。

数ある応じ技の中から比較的簡単な出小手をいちばん最初に顧問の先生から習ったことを覚えています。それが私にとってはいちばん難しく、後に得意技となりました。

出小手がなかなか決まらない

出小手は相手が面などを打ってこようとしたときに上げた手元に小手を打つ技です。

相手の出頭を捉える、相手の動きを読むスキルがこの技には必要不可欠です。それに加えて、コンパクトに小手を打つ手元の器用さが求められます。

同期が次々と出小手を習得していく一方で、私は相手の打ってくるタイミングは読めても出小手を決められずにいました。

同期と比べて小手を打つ器用さが圧倒的に無かったのです。

竹刀を大きく速く振ることが出来ても、小さく速く振ることが不得意だった私は、さっそく小さく振るトレーニングを始めました。

出小手の練習方法「小刻み打ち」

小さく振るには腕ではなく、手首の使い方が大切です。そのため私は手首だけで竹刀を振る小刻み打ちに没頭しました。

小刻み打ちとは打ち込み台に、手首だけで連続で打ち込む稽古です。はじめた最初の方はとても遅かったのですが、稽古をすればするほど徐々に打つスピードが上がっていくのを実感しました。

そしてある程度竹刀を小さく振れるようになった私は、他校との練習試合で出小手を打つことにしました。

結論から申し上げますと、技は決まりませんでした。打突部位である小手には当たるのです。しかし、打突力が弱く「打った」のではなく「当てた」と審判に捉えられた私の出小手が決まることはありませんでした。

打ちに合わせる踏み込み稽古

腕力には自信があった私はとてもへこみました。「まさか打ちの弱さが原因になるなんて」と。力を入れて打つと今度は手先の器用さが失われてしまう。でも、力が足りない。

そこで私は踏み込みに目を向けたのです。踏み込みの音を大きく鳴らせば審判に打突力があると解釈してもらえると思ったからです。

それまでの小刻み打ちでは手首だけを使っていましたが、今度はそれに踏み込みも加え、手と足の両方を鍛えようと考えたのです。

最初は打ちと踏み込みのタイミングが合わずに苦しんだものの、これまでの稽古でできることを重ねていく重要さを学んできた私は、あきらめずに取り組みました。

そして、小刻み打ちに加えて踏み込みも強化した私に、練習試合で出小手を試す機会が訪れました。

踏み込みの稽古の思わぬ成果

練習試合の相手は奇しくも以前の練習試合で出小手を決められなかった相手です。試合が始まって即座にわかったのは、相手は技を打つタイミングが変わっていないということ。

試合も終盤に差し掛かり、相手が面を打ってきたタイミングを見切った私は出小手を打ちました。するとパコン!と良い音が鳴り、私の出小手が決まったのです。

踏み込みの音で打突力を補おうとした結果、体重移動がスムーズに行えるようになり出小手に体重を乗せることができたのです。

手元の器用さ、打突力の強さの両方を習得してそれまで不得意だった出小手が得意技になった瞬間でした。

出小手を決めるためのコツ

出小手は打ちが弱いと相手の面打ちにこちらが乗られてしまうおそれがあります。

仮に相手に面を打たれても、先にこちらが小手を強く打ち込めば審判が旗を上げる確率はグッと上がります。

出小手を決めるために、

  • 相手の起こりを見極めること
  • コンパクトに小手を打つこと
  • 強く小手を打ち相手の起こりを捉えたことを審判に印象付けること

を意識して稽古するとよいでしょう。