小柄な体格でレスリングで勝つには?「がぶり返し」を決める方法

中学生の頃にアマチュアレスリングを始めて、高校時代、大学時代と10年間続けてきました。

アマチュアレスリングの競技を始めた中学生の頃、世間は空前の総合格闘技ブーム、そしてプロレス好きであった私は放課後や休み時間に友達とプロレスごっこに勤しむただのプロレスファンでした。

最初は、プロレスごっこの延長で始めたつもりでしたが、気づけば高校、大学とレスリング漬けの青春時代を過ごすことになりました。

レスリングにおける身長差の問題

私は一般的な男性に比べて背丈が小さく、50キログラム級あるいは55キログラム級の軽量の階級ではあったもの、その中でも比較的背丈の小さいほうでした。

これは、他の背丈の小さい選手にも当てはまることですが、身長差を埋めるために筋肉量やパワーでは負けないようにと補強運動、いわゆる筋力トレーニングに関しては人より努力しなければならないと感じていました。

背丈が小さくても体重は同じである階級制スポーツの特性上、比較的背丈の高い選手はやせ型で手足が長く、私のような背丈の低い選手は筋肉質の選手が多い傾向があります。

背丈の小さい選手の場合、離れて距離を取らせてしまうと、リーチの長い相手に不利な状況となります。やはり、極力、組み合っている時間を長く保ちつつ、そこから技へ持ち込みテイクダウンやビックポイントへとと繋げたいところです。

その中で、私が得意としていた技が「がぶり返し」でした。

レスリングの「がぶり返し」を決める方法

がぶり返しとは、その名の通り「がぶった」状態から相手の身体を返す技です。

まず「がぶり」「がぶった」という状態の説明からさせていただきます。相手がタックルなどを仕掛けてきた際に、バックステップで自身の身体を離し、相手の上半身に体重を乗せて動きをつぶしている状態を「がぶり」といいます。

相手は体重をかけられコントロールされてしまう為、非常に不利な状況。がぶり返しとはここからさらに相手の首をクラッチして相手の身体を返させる技のこと。

この技で重要になってくるポイントには、私が考えるところ2つあります。

ポイント1.相手に重心をかけてコントロール

一つ目のポイントとしてはがぶり返しを仕掛ける前に、自分の身体の重心を相手にしっかりかけて相手の動きを止めておくことです。

自分の肩を意識して、そこを支点にして自分の体重をける意識をもちましょう。アマチュアレスリングにおいて、相手の身体をコントロールすることは試合を優位に進めていくうえで特に重要なポイントになります。

ポイント2.得意な形でクラッチを組む

二つ目のポイントとしては、クラッチをしっかり組むこと。クラッチが甘いと相手はそのままの状態で自分だけ反転してしまうことになりかねません。

せっかっくリードして有利な状況で試合を進めていたとしても、そのミス一つでピンフォールを取られて一発逆転を許すことだってあります。

がぶり返しはローリン(ガッツレンチ)とは違い、失敗した時のリスクが高いため、仕掛ける際にもしっかりと技術を持ちつつ、勝負所を見極めて使用する必要がある、まさに諸刃の剣といえる技です。

クラッチの組み方は十人十色と言えるほど多く、正解はないので、自分にあったクラッチの組み方を見つける必要があります。その意味でも、難しい技と言えるでしょう。

しかし、得意な形でクラッチを組んでしまえば、高い確率で相手を反転もしくは、ピンフォールの体勢に持ち込むことができます。なおかつ、パワーで劣っている相手に完璧に仕掛けることができたらまず返せないでしょう。

しかしながら、「がぶり」の状態へ持ち込む→相手に重心をかけてコントロールする→クラッチを完璧に決める。ここまで持ち込む行程は容易なものではありません。どの技にも共通して言えることですが、技術だけでも、体力だけでもダメ。

技一つとったとしても、体に染みつくまで何十回、何百回と反復練習を繰り返す必要があります。そして、お互いに疲労した試合の終盤であっても、勝負所で冷静に技術を繰り出すために、体力は必要不可欠です。