柔道 技術

科学部女子から柔道部へ…勝ちに執着して見つけた道は?

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高校に入った時、何を思ったか柔道部に入った。

運動神経が良いとか悪いとかよく言うけれど、私の場合、運動神経そのものがないんじゃないか、と思われるほど鈍かった。

中学校の頃まで運動らしい運動はせず、唯一の文化部「科学部」に入り、放課後毎日ぼんやり過ごしていたのである。それが唐突に運動部入部、しかも柔道部。

テレビで見たヤワラちゃんの一本勝ち

当時女子柔道界では48キロ級のヒロイン、ヤワラちゃんこと田村亮子(現・谷亮子)がいた。

中学校の頃、私は顔がヤワラちゃんに似てると言われ続けてきたのである。これも理由のひとつだった。非常に安易である。

しかし理由は他にもあった。運動も勉強もパッとせず目立たない子供だった自分。今まで自信が持てるものなど一つもなかった私が、ヤワラちゃんがテレビで豪快な背負い投げで一本を取るのを見た。

その光景は誰にも反論出来ないような強烈な「勝ち」であった。柔道という競技の性質上、厳かな雰囲気ではあったが、小柄な彼女に背中を叩きつけられた相手選手はどこからどう見ても文句なしに負けで、彼女は勝者であった。

あんな風に勝ってみたい。誰かに勝ったことのない私は初めて「強くなりたい」、と思った。

立ち技を早々に諦める

柔道部に入部し、最初は筋肉痛や投げられる痛さにヒイヒイ言っていたが、半年もするとなんとか練習に食いついていけるようになった。

最初は投げ技を練習していたが、運動経験の無さのためか誰が相手でも豪快に投げることはできずにいた。

うまくいって転ばせるのが関の山。そんなとき習ったのが絞め技だった。

絞め技で相手が参った、となれば一本である。

小内や小外などの足技で転がしてしまえば寝技や絞め技に持ち込める。私は立ち技を諦めて絞め技を含めた寝技を磨く事に集中した。

この高揚感は何?バカにした態度の男子は…

入部して半年経った頃、他校の柔道部と練習試合する機会があり、乱取りで当たったのは柔道歴6年の黒帯の二年生、しかも男子。あちらからしてみれば柔道歴半年の女子など敵には見えてなかったと思われる。

完璧に油断していた。ちょっと馬鹿にしたような態度でもあった。分かってはいたが非常に悔しかった。

それが相手の隙を作ったのだとは思うが、ガムシャラにやったおかげでうまく転がすことに成功した。そして転がった瞬間、うまい具合に襟がガラ空きで、私は送り襟じめの変形のような形で締めた。

そしてなんと参ったのタップをする間も無く彼は気絶、いわゆる「落ちて」しまったのである。

ぐったりとした彼を見て、寒気に似た高揚感を感じた。

よだれと鼻水にまみれた顔で彼が気付いた時の呆然とした顔は今もはっきり思い出せる。私は初めて勝ちの気分を味わった。

絞め技が私の勝てる道だった

コーチからは、膝が硬い、腰が高い、と言われ続けても直らなかったのもあり、私は立ち技の華やかさは諦めて、寝技からの絞め技一本に絞った。

とにかく転がった瞬間という時が一番襟周りがあいているチャンスだったので、いろんな体勢からの絞め技を練習した。

立ち技がとても下手だったので相手が油断することも多かった。絞め技があまり人気がないのも分かっていたが、だからこそ私は戦えるのではないかと思っていた。

派手に一本を決めたい人には向いていないかもしれないが、私のように運動オンチだとかそういう欠点があって、だけど勝ちに対する執着が強いならば、寝技と絞め技でネチネチ仕掛けるやり方もある。

だってどんな形でも勝ちは勝ち。相手に畳をタップさせれば勝ちなのである。

私は力もセンスも無かったが、ちょっとしつこい性格であり、これが勝てる道だった。

落ちこぼれには落ちこぼれの戦い方があるのだと思う。

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