伝統空手でブラジリアンキック?相手の知らない技は武器になる

伝統派空手、フルコンタクト空手、キックボクシングと、子供のころから現在に至るまでいろいろな格闘技に取り組んできました。

そうした中で、「相手のよく知らない技は決まりやすい」という経験を何度もしました。

ここでは、伝統派空手の試合でも有効だったフルコンタクト空手のブラジリアンキック。

キックボクシングでも有効だった伝統派空手の刻み突き、について書きたいと思います。

伝統派空手の稽古、もっと組手をしたかった少年部時代

伝統派空手(糸東流)を始めたのは小学校の頃、戦いゴッコが好きで戦い方を習う所があるらしい、空手というらしいと同級生に聞いたことからはじまりました。

小学校4年生の私は母に近所の空手道場を調べてもらい入門する事になりました。

初めて道着に袖を通して黒帯をいただくまで週に2回、小学校4年生から高校2年生まで取り組んでいました。伝統派空手は私の格闘技人生のスタートで最も基本的なバックボーンになった武道になります。

中学生までは1時間は少年の部で、次の1時間を一般部に交じって練習していました。

伝統派空手の稽古ではまず、基本の姿勢の練習、基本稽古を重視した練習をします。

基本稽古、移動稽古、約束組手、打ち込み、ここまでで少年の部の稽古のおよそ半分(30分くらい)が終わります。残りの15分は型、ミット打ちなど。3回に1回くらいがミット打ちではなく組手の練習になりました

一般の部に関しては、前半の30分はほぼ同じ、後半は型の選手は型、組手の選手は組手という具合に別れて練習していました。初段を頂いたのは中学3年生の時。初めての黒帯はとてもうれしいものでした。

少年部の頃は組手が少なく、毎回組手の稽古をしたいなーっと子供心に思っていました。また、ミット打ちのメニューは「きざみ突き」「逆突き」「ワンツー」といった競技組手の定番の技ばかりでした。

誰もが毎回同じような稽古をしているせいか、試合になっても同じような攻防になりがちです。反対に、誰もやらないような技を取り入れれば、相手は上手く対応することができず、技が決まりやすいともいえます。

伝統派空手の試合でブライジリアンキックを決める方法

私が伝統派空手の稽古をしていた当時は格闘技ブームの真っただ中で、テレビでもK-1が放送され、子供たちの間でもはやっていました。

K-1はキックボクシングルールですが、ブラジルのフルコンタクト空手界から有名選手が参戦していました。フランシスコフィリオ、グラウベフェイトーザといったフルコンタクト空手の選手が見せる、変則的な軌道のハイキックは「ブラジリアンキック」と言われていました。「掛け蹴り」という呼び方があることを知ったのはずっと後のことです。

私はブラジリアンキックを真似て蹴り技を練習し、変則的な蹴りを試合で試したりもしました。

裏回し蹴りとの違いは?ブラジリアンキックの軌道

伝統派空手にも変則的な蹴り方はあります。

「裏回し蹴り」といって、通常の蹴りが足の甲を相手の顔面に当てるのに対して、裏回し蹴りでは反対側から脚を回して足裏を相手の顔面、または深く入った場合は相手の後頭部に当てるというものです。右足で蹴った場合のヒットポイントはこちらから見て相手の顔面左側面です。

裏回し蹴りは変則的な蹴り方ではありますが、伝統派空手では少年部の試合から多用されており、とてもポピュラーな技なので意外性は全くありません。

一方、ブラジリアンキックはというと、通常の蹴りと同様に足の甲を相手の顔面に当てるものですが、リズムと軌道が独特です。

ブラジリアンキックでは回し蹴りの軌道で腰あたりまで足を上げ、そこからもう一度踵がお尻に当たるくらいまで引き足をとり、引いた足を相手のほぼ頭上まで上げて、コメカミあたりを目がけて上から下に打ち落とす軌道になります。

いったん足を上げてから引き足をとるので、相手からすると、一瞬遅れたタイミングで顔面に足先が飛んでくることになり、ガードしにくいのが特長です。

問題は、このようなブラジリアンキックを伝統派空手の試合で決めるにはどうするかです。

ブラジリアンキックが決まるタイプ、決まらないタイプ

試合でブラジリアンキックを出すシチュエーションについていくつかのパターンを書かせていただきます。相手のタイプによって、決まりやすかったり、決まりにくかったりします。

こちらがワンツーで決めようとした際に相手が少しステップバックなどをしてかわした場合に、「ワンツー蹴り」というコンビネーションにつなげる人は多いと思います。

こうした「ワンツー蹴り」における蹴りは、道場でもお互いに練習しており、よくある流れの攻撃のため防御側も慣れており、当たらないことがほとんどです。

こうした「ワンツー蹴り」のときの蹴りをブラジリアンキックに変えると経験の少ない相手であれば、蹴りを打とうと膝を上げたが蹴りを辞めたのかな?という感覚に一瞬なります。ブラジリアンキックでは上げた蹴り足を一度止めて足を尻側まで引き寄せるからです。

このとき、スキができた、反撃のチャンス!とばかりに踏み込んでくる人もいます。このような場合はワンテンポずれて蹴りが脳天から降ってくるのでブラジリアンキックが決まる場合があります。

次は、「ワンツー蹴り」に対して、ワンツーはステップバック、蹴りは受けようかな、と自然な反応をしてくる相手の場合です。最後の見切ったつもりの蹴りがワンテンポずれて軌道を変えてふってくるので、まぁまぁ当たりそうにはなりますが当たりが浅いことも多く、踏み込んでくる相手と比べると決まりにくいです。

最後に、ブラジリアンキックが決まらないケースです。それは、最初のワンツーに対してカウンターを合わせてくる選手の場合です。ワンツーで間合いが詰まっているので当然、蹴りを出すには至りません。

相手がこのようなタイプであれば、ブラジリアンキックは狙わず、自分のワンツーを的確に決めることを最優先に試合を進めることが大切です。

MMAやキックでも使える「きざみ突き」

「きざみ突き」は伝統派空手ではとても一般的な技で、踏み込みながらの前手によるストレートです。

これは伝統派空手の特徴的な技のひとつで、こうしたノーモーションからの遠距離攻撃は他の格闘技の選手が面食らいます。

実際MMAの世界でも堀口恭司選手などが同じようなモーションでロングストレートを打っています。伝統派空手がバックボーンにある選手は「きざみ突き」や「追い突き」をベースとしたパンチを得意としています。

私は後にキックボクシングを始めましたが、伝統派空手の経験を活かせたこともあります。伝統派空手は早く正確に当てるのを競う競技だったため、当てる速度と正確さは多くの場合こちらが一枚上手でした。

キックボクシングの間合いより遠い間合いでもこちらの攻撃は当てられるという利点もあり、相手からするとやりにくかったはずです。

もちろん、伝統派空手のままでは苦労するケースもたくさんあります。伝統派空手にはないローキックへの対応。早く当てるから効かせる、への目的の変化。間合いの調整やさばく動作による防御から、グローブを有効活用したブロック技術の習得などです。

きざみ突きを上達させるコツ

きざみ突きを上達させるにはちょっとしたコツがあります。

例えば素人同士で鼻先を触るゲームをするとします。攻撃側は鼻を触る、防御側はなんとかして避ける。この時に、思い切り早い動きで触ってやろうとすると、素人でものけぞって避けられてしまうことが多いでしょう。

次に、子供のほっぺにご飯粒がついていて食事中普通にとってやる、くらいの感覚でスッと手をだすと相手が反応できずに簡単に鼻に触れることができたりします。

素人であっても殺気のような雰囲気は感じ取るものであり、空手家や格闘家であればならなおさらです。なので動く気を極力なくす、リラックスしきった状態で最短距離に手を伸ばしていく、というのがポイントです。