相手選手との体格差で変わる!3種類の内股を使い分ける方法

中学に入学して柔道を始めた当時、すでに身長が175センチほどあった私は、顧問の先生から内股を教えてもらいました。

中学一年で既にこの体格。背が高いだけでなく、手足がとても長かったので、すぐに上達していきました。私の体格を見て、すぐに内股を仕込んだ当時の監督の見抜く力と指導力は流石だと思います。

中学時代は、この内股を武器にして、常に上を目指していました。

3種類の内股

内股は、その特性から3種類に分類されます。

  1. 自分より身長の低い相手に、相手の大腿部を跳ね上げる内股
  2. 自分より身長の高い選手に、相手の膝下あたりを跳ね上げる、いわゆる跳ね腰気味の内股
  3. 自分より体重差がある場合、大内刈りで崩しながら引き手を引き、相手を回すケンケン内股

それぞれの特長を見てみましょう。

自分より身長の低い相手向け。相手の大腿部を跳ね上げる内股

相四つの場合は、内股よりも跳ね腰気味に入ると入りやすく、相手の内ももあたりを狙います。

けんか四つの場合はそのまま軸足から一発で入って跳ねあげます。

自分より身長の高い選手向け。相手の膝下あたりを跳ね上げる、いわゆる跳ね腰気味の内股

相四つの場合は、奥襟を取って、頭を下げさせるのがポイント。跳ね越し気味に入りますが、膝下あたりを跳ねあげます。

けんか四つの場合は、奥襟を持たずに、釣り手は相手の胸部分を持ち、軸足を深く入れて、そのまま回しながらケンケン内股に持っていきます。

自分より体重差がある場合。大内刈りで崩しながらら引き手を引いて回すケンケン内股

相四つの場合は自分の組手に持っていくことが重要。奥襟を取って頭を下げさせたら、大内刈りで崩してケンケン内股に入ります。

けんか四つの場合は無理に奥襟を取らないで、相手の首あたりの襟を取り、脇を締めて相手の釣り手を殺す。引き手を取った瞬間、軸足を入れてケンケンしながら相手を跳ねあげる。

内股は、相手の釣り手を殺すことがポイントになります。綱登りなどで背筋をしっかり鍛えることも大切です。

跳ね腰気味の内股を得意技に

自分は、中学時代、跳ね腰気味の内股を得意としていました。そこで大事なのは軸足を鍛えることでしたので、スクワットや重い相手を上げる移動打ち込みを、ひたすら反復練習しました。

内股のポイントは、軸足と、相手の袖より上から引き手を持つことにあります。そのために綱登りなどで握力、背筋力を徹底的に鍛えました。

また大きな大会や遠征で内股の得意な選手を探してどういった入り方をしているのか常に研究していました。そうして練習を重ねていくうちに、中学2年の時には、高校生が相手でも簡単に投げることができるようになりました。

大内刈りで崩すケンケン内股に移行

高校は県下の柔道名門校を選びました。しかし先輩方は皆とても力が強く、なかなか内股がかからなくなり悔しい思いをしました。私は、試行錯誤を繰り返して、一本を取る内股から、大内刈りで崩しながら入るケンケン内股に変えました。

高校にはトレーニング場があったので、まず力負けしないように、高校生になって初めてウエイトトレーニングを取り入れました。その甲斐があって、少しずつ引きつけが強くなり、ケンケン内股が得意技になっていきました。

ただ、高校生だった当時の大会は、階級が60キロ以下級、71キロ以下級、86キロ以下級、95キロ以下級、95キロ超級しかなく、当時の私は73キロしか体重がないのに無理やり86キロ以下級で大会に出ておりました。

86キロ以下級では、相手選手が10キロ近く体重が重いケースもあり、内股はなかなか決まりません。上位にいくと同じ高校同士での対戦になり、手の内がお互いわかっているのでこれでは勝てないと思い、71キロ以下級への階級変更を監督に直訴しました。

しかし、監督には受け入れてもらえず、毎回自分より重い相手との対戦が続き、結局途中で負けるようになってしまいました。71キロ以下級であれば、私は当時身長が県で一番高かったので、優勝する自信はありました。その理由は、71キロ以下級であればケンケン内股ではなく、一本の取れる軸足から入る跳ね腰気味の内股や、大腿部を跳ね上げる内股を使うことが出来たからです。

階級の問題に苦労させられたものの、このとき身に着けたケンケン内股は大学に進学してからも通用しました。

(文・ダッカー)