体罰で学校を去った先生との不思議な縁…剣道の試合で響いたひと言

私が剣道を習っていて一番影響を受けたのは、とある高校の顧問の先生でした。

その先生と初めてお会いしたのは中学一年生の時でした。中学校に入学してすぐの頃、近隣にあった高校に練習をご一緒させてもらえることになりました。

そこにいたのが、すらっと背の高い顧問の先生でした。

体罰で学校を去った先生と剣友会で再会

その先生は、全国大会なども経験している有名な先生だったとのことでしたが、私はお会いするまでその先生のことは全く知りませんでした。しかし、初めて稽古をつけてもらったとき、この人に教わりたい、こんな剣道をしたいと思ったのがきっかけで先生へ敬意を抱き、憧れとなりました。

残念なことにその先生は、私がお会いしてから一年くらいたった頃に体罰でその学校と部活を去ってしまいました。私はどうしてもその先生に稽古をつけてもらいたいと思ったのですが、なかなか会えずに数カ月がたとうとしていました。

その頃、私がお世話になっていた防具屋さんにその先生がきていることがわかり、また、その防具屋さんの店主が開いている剣友会があることを教えてもらいました。

更にその剣友会に来ないかと誘われ、通うことにしました。するとそこに、その先生がいたのです。その先生も私のことを覚えていてくださり、たくさん稽古をつけていただきました。

他校の生徒にもアドバイスをくれる先生

私は高校への進学を目前にしていましたが、先生のいる学校には剣道部はなく、先生のもとで教わることができなかったため、諦めて他の学校へ進学しました。

しかし、入学してすぐのこと。先生の学校で剣道部が新設したという噂がたちました。更に、先生のいる学校は、私が通っている学校と予選の学区が一緒だというのです。

これは私にとって、チャンスだと思いました。次の試合のとき、噂通りその学校が参加してきたのです。もちろん先生も一緒でした。

私の試合を見てくれていた先生は、次に剣友会に顔をだしたときに試合についての改善点や、良かったところなどをこと細かく指導してくださいました。

このような関係が続き、大会会場でお会いしたときも、顧問の先生の目をさりげなく避けながらアドバイスしてくれました。

試合前の緊張を吹き飛ばしたひと言

その先生は、稽古の中で悪いところをその都度注意してくださいました。

また、今まで私が考えもしなかった視点からみることを教えてくれました。こと細かいことを指摘してくださり、とても参考になったことをよく覚えています。

なんといっても、私のスタイルを崩さず、良いところを伸ばす、悪いところは徹底的に直すといった熱い指導にはとても感謝しています。

本当はとても怖い先生らしく、剣友会に来ていた元教え子たちはなんだかご機嫌とりをしているようにみえました。しかし、私にとってはとてもオチャメで冗談を言ってくるような先生でした。

そのためか、とても接しやすく、話しやすい関係が築くことができました。

先生の指導の中でも一番心に残っているのは、2年生の夏、個人戦決勝戦の時、相手が一つ上の学年の同じ学校の先輩でした。

私はその先輩の剣道が苦手で、なかなか勝ちのイメージを抱けていませんでした。するとそこへ先生がやってきて、一言私にいってくださいました。

「お前の良いところは、どんな相手にも動揺しない構えだ!お前のことを自由に攻め入れるのは俺くらいだな」

と笑いながら話しかけてくれたのです。

私はその言葉で、はりつめていた気持ちもすべて吹き飛び、試合に挑むことができました。結果は負けてしまいましたが、今でもその言葉を思い出すとこころが和みます。