柔道の打込みは準備運動?試合で投げを決めるための打込みのやり方

全国大会出場を目指していた中学生のころ。当時は体も小さく、技のキレもなく、試合で投げて勝つことなどほとんどありませんでした。

得意技と言えるような技もなく、足技や背負い投げ、内股などを試合では掛けていましたが、ポイントを取れたとしても技ありまでで、なかなか一本をとれませんでした。

県大会予選では勝てても、県大会となると勝負は厳しいものになります。より優勢に戦うためには、自分の技に自信を持つことが課題だと監督に言われました。

柔道の打込みは準備運動?

技のキレを出し、威力をつけるために打込練習を見直しました。柔道の稽古では乱取の前に打込や投込をやるのが一般的です。

乱取が一番実践的な練習になるので、乱取に練習時間を割く学校が大多数だと思われます。そのため、打込や投込は準備運動に分類されることもあるでしょう。私も、打込は体を慣らすためにこなしていました。しかし、監督は技の力をつけるために様々なパターンで打込をするように練習メニューを変えました。

打込みの2つのバリエーション

打込みの種類は大きく分けて2種類でした。技の威力をつけるための打込みと実践的な打込みです。

技の威力を養う打込みの方法

技の威力をつけるためにはどう入るか。畳1枚分相手と離れた状態から、相手に大きくぶつかって入る。大きく技に入る打込でした。このようにして技に入ると、たった10回程度の打込でも釣り手や引き手に大きな負荷がかかります。

また、離れた状態から相手にぶつかっても自分が崩れてはならないので、軸足のバランス感覚もついてきます。どの位置へ踏み込むと一番バランスをとることができるか、自分でわかるようになります。この打込を10回10セットするだけで、最初はとてもきつかったです。

そして、3人打込み。これは、通常の打込みに加えて受けの後ろで帯を持って負荷をかける人をプラスするものです。受ける側の力加減を上手くしないと、全く練習にならないので、受けが持ち上がってから負荷をかけるようにアドバイスします。最初から負荷をかけてしまうと、相手を持ち上げることすらできず、技の形が崩れてしまいます。

実践を想定した打込みの方法

大きく入る打込をしっかりやって、技の形や威力が身についてから3人打込みを行うと良いでしょう。後者は受けが重要になってきます。また、ただ相手が入りやすいように立つのではなく、喧嘩四つになってみたり、奥襟を持ってみたり、相手を引きつけた状態から、組手をさばいてみたり、というように実践を想定した練習もできます。

自分の得意なパターンや苦手なパターンで打込みを練習することで、様々な体勢からしっかりとした技にはいることができるようになります。組み際の技に入ってみたり、相手が技に入って戻ったところを狙ってみたり、考えられるパターンはたくさんあります。

中学生でもただやらされる練習ではなく、自分で考え自発的に練習することも大切だと思います。

打込みによって体力も技も磨かれる

準備運動で1日に100回打込をするのと、実践を意識して大きく100回するのとでは、技のキレや威力だけでなく、体幹にも差が出てきます。実際、中学3年間、この打込を続けたおかげで、背負投や内股で、一本取ることができるようになりました。

釣り手と引き手の力も付き、組手で力負けしなくなりました。得意技として、県内で研究されたり、恐れられたりもしました。一本取ることができる技があるので、劣勢になったときも、焦らず落ち着いて試合を進めることもできました。

実践を意識して技に入るので、得意なパターンを作ることができました。私の場合、大内刈で相手を追って行って、回しなががら投げに行くというものでした。この打込みも反復することで軸足の強化につながり、大きい相手でも投げることが出来る体力がついたと思います。