剣道の試合を有利に進められる4種類の胴打ちと、決めるコツ

私の高校は進学校であったため部活動への入部率は高くはありませんでした。中学校で部活動への熱が冷めている学生もたくさんいました。

そんな中、私の所属していた剣道部は熱心に活動している部活で、男女合わせて50人ほどの部員がいました。

休みは月に一度あるかないか、遠征は週に一度必ずあった状況で、関東大会入賞、インターハイ出場を目指して稽古に励んでいました。

勝てない時期に剣道の幅を広げた胴打ち

私はずっと大将として試合に出ていましたが、勝てない日々が続く時期がありました。

その際、顧問の先生に「お前は力があるから胴を習得しろ」と言われました。胴打ちは、あてるだけでなく、胴にあててから技を抜くために力とスピードが必要です。

そのため、手首のスナップ強化と腰の回転をひたすらに反復練習をしました。そして自主練習などで技の研究として、自然と胴打ちが感覚で打てるようになるくらい練習を繰り返しました。

そうすることによって、少しずつですが、試合で胴打ちが自然と出るようになっていきました。試合中に胴打ちが出せるということだけで、剣道の幅が大きく広がっていくことが分かりました。

胴打ちの種類と有効なシチュエーション

胴という技にはいくつもの種類があります。

  • 相手が面を打ってくるのに応じる面返し胴
  • 相手の足が止まったところを狙う抜き胴
  • 相手が見所隠しをしている場合に使われる逆胴
  • 自分の打突の後や、相手の技を受けた後に相手の左首あたりに竹刀でかけて崩して後打ちを狙うのが有効な引き胴

この4つが大まかな胴打ちの種類です。

自信のある強い相手に対する面返し胴

胴は、一番隙が生まれやすい部位です。強ければ強い人ほど自分の技に自信があります。

そんな相手が自信をもって面を打ってきた時に胴を抜く、返すことができれば、たとえその技が外れたとしても、相手は応じられることを恐れ、安易に技を出せなくなります。

守りに徹した相手に対する胴打ち

相手や、相手のチームがリードしているとき、または確実に引き分け以上を狙っているとき、相手は一本を取られないよう、守りに徹してきます。

剣道の試合において、守ろうとするとき、面や小手を打たれないよう、手元を上げる傾向があります。そんな時こそ守っている相手に対し、焦るのではなく、相手にプレッシャーを与えるようにじわじわと攻めて、相手が手元を上げた瞬間に胴を狙うことができれば、胴打ちが成立します。

焦って攻撃してくる相手に対する面返し胴

反対に、相手が1本取らなければいけない状況の時は一生懸命1本をとるために技を出してきます。

そんな時は一緒に焦るのではなく、相手が出てきてくれることをチャンスと捉え、面を応じることができれば面返し胴が成立します。

面返し胴を決めるコツ

ここからは私が得意としていた面返し胴と引き胴を決めるコツを紹介します。

返し胴を打つコツは、相手の剣先と自分の剣先を触れるようにプレッシャーをかけて攻めていき、相手が面を打ってくるのと同時に竹刀を投げるようにして面を返します。

自分よりも大きい相手の面を返す場合、手前で面を受けてしまうと、しっかり返せていたとしても、面が当たったと審判に判断される場合もあるので、なるべく前で受けるようにします。

相手の面を返したと同時に、腰の回転を十分に使い、手首のスナップをいかして胴を抜きます。その際も相手から目を離さないことがポイントです。

胴は1試合に何度も出すべき技ではないので、面をたくさん打ってくる相手や、自分の技に自信を持っている相手、自分より打突が強く、スピードがある相手に有効な技です。

しかし、相手のほうが自分より圧倒的に力が強い場合だと、せっかく相手の面を受けることができても、相手の力で自分の打突が流されてしまう場合があります。そのため、相手の力に負けないだけの手首の強さや体幹の力が求められます。

引き胴を決めるコツ

次に、引き胴を狙う場合は、相手の技を受けた後、右に体をさばいて打つ引き胴と、自分の打突の後に後打ちとして相手を崩して打つ引き胴があります。

技を受けるときは、その場で受けるのではなく、一歩前に出ながら受けるか、右斜め前に出ながら技を受けるようにします。足が止まった状態で技を出してしまうと、竹刀と竹刀に触れただけでも目の錯覚で有効打突と判断されてしまうことがあります。

自分の打突後に引き胴を狙う場合は、自分が技を出した後、そのままの勢いで相手に体当たりをして相手の左首に竹刀をかけます。右足を大きく出し、腰の回転を使ってさばきます。

さばく際に、相手の左耳に自分の竹刀をかけてしまうと、相手にけがをさせてしまう場合があるので注意します。

胴は、自分よりもスピードがある相手、足が止まる相手。1本とりにこようとしている相手、どんな相手がきても通用する技です。胴が打てるだけでも、自分の勝率を上げたり、何よりも自分自身の剣道の幅を広げると身をもって感じました。