怪我と向き合い柔道を続ける…柔道整復師の先生に学んだこと

小学2年生の時に地元のスポーツ少年団で柔道を始めました。

あるときスポーツ少年団の体験入団のチラシが私の小学校で配布されました。友達と一緒に体験入団してみたところ、さっそく人を投げて一本を取る魅力に取り憑かれ、柔道を始めることにしました。

怪我のときに支えてくれた柔道整復師の恩師

私の地元にはいくつかのスポーツ少年団があり、そのどれもが県内で上位入賞するようなスポーツ少年団ばかりでした。

その中で私は、友人や親の知り合いがいたスポーツ少年団に入団しました。そのスポーツ少年団の先生方は、優しく柔道を教えてくれて、時には厳しく叱ってくれました。そこで出会った恩師とは大人になった今でも親交があります。

高校生の時、度重なる怪我によって満足の行く練習をすることが出来ず、自分に柔道は向いていないんじゃないかと辞めようと思ったこともありました。私の恩師は、柔道整復師として地元の整骨院を経営していたこともあり、怪我の治療はいつもそこでしていました。

高校の練習が夜の8時に終わったり、遅い時間にも関わらず怪我の治療をしてくれました。試合の日には、朝早く怪我の部位をテーピングで固定してくれました。その先生がいなければ高校柔道をまっとうすることは出来なかったと思います。

私は肩の怪我を何度も繰り返していましたが、その先生は、私のために肩の治療についてたくさん勉強してくれて筋トレメニューなどを組んでくれました。先生の紹介で信頼できる病院も受診し、今では肩の怪我は完治しています。

怪我をしていても柔道は強くなる

先生はオリンピック選手の試合からヒントを得たり、全国の強い選手達の試合を研究したりして、私達に教えてくれました。

先生の教えは、自分の試合や練習を振り返って研究するのも良いが、人の試合や練習風景をよく観察し、研究することで、その人特有の癖や自分とは異なる技の入りかた、崩し方などを知ることができる。他人の良いところは真似するとよい、というものでした。

怪我で練習を見学することが多かった私ですが、その教えを聞いてからは、柔道の見方が変わり、広い視野で道場の練習風景を見ることができるようになりました。

怪我との正しい向き合い方は?

職業柄当たり前なのでしょうが、柔道整復師として親身になって怪我をした人に接していた先生を見てきて、私も同じ道を進みたいという思いが日に日に強くなりました。

反面、高校の部活などで生徒が怪我をしても監督がそれを無視して練習をさせているのを見たこともあります。そんなことを続けていれば、怪我も治らず余計に悪化したり、治りが遅くなったりします。

たしかに怪我は怪我でも練習ができる程度の怪我というのもあるでしょう。練習できる怪我なのかできない怪我なのかを見極めて練習をやらせることも指導者の仕事であることは理解できます。

問題はそうした判断を誤ったときです。痛みを抱えながらの練習ほど無意味なものはないと思います。怪我のことで頭がいっぱいになり、注意力が散漫となり新たに怪我をしてしまう選手もいます。

怪我で苦しみながら練習をしてきた実体験がある自分だからこそ、これからの日本のスポーツ界を背負っていくであろう人たちに対して適切な治療を提供できるのではないかと考えています。怪我の苦しみは、怪我をしたことのある人でしか分かりません。

私はそういった人たちの身体のケアならびに心のケアまでできるセラピストを目指しています。自分がしてきた辛い経験が誰かの役に立てるのだと知り、少し嬉しくなりました。今現在は、柔道整復師養成校に通い勉学に励んでいます。いつか、先生を超えられるようなセラピストになれるようにこれからも頑張っていきたいと思います。

(文・りょー)