伝統派空手の脱力のコツは拳の握り、下半身のタメ、頭の高さ

伝統派空手の組手の試合で勝てないときは、相手に反応されて避けられたり、カウンターを合わせられたり、こちらの技が抜けていたり、といった原因が必ずあります。

「脱力するとよい」とはよく言われることですが、ただ力を抜いてリラックスしていても実際に試合で勝つのは難しいものです。

ここでは自分が実際に試し、組手の勝率が上がった脱力のコツを紹介します。

拳の握りは「握らない」感覚で

どのように起こりなく早く技が出せるか。

そのことばかり考え、たどり着いたのが「握らない」でした。

握らないというのは空手の基本からすれば非常識なことですが、それで試合に勝てるのであれば問題ないと思いました。

私は、基本から試合形式まで全ての練習でこの「握らない」を実践しました。

そして、握らずにひたすらミットやサンドバックを叩きまくりました。

鏡の前で形が崩れていないか確認しました。

実際の組手でも相手に反応されなくなるまで打ち込みを繰り返しました。

全ての技をフリッガージャブの意識で

突きのイメージとしては棒を出すのでわなく鞭やタオルをパチンと鳴らすようなイメージで技の反復練習を行いました。

拳を一つの個体とらえて技を出すのではなく、手の甲、指をしならせて相手に技を当てるという意識。

ちょうど全ての技をフリッガージャブの意識で繰り出す感覚です。

下半身のタメ

脱力を行う際に、もう一つ重要なのが下半身のタメです。

下半身にタメを作ることにより、いつでも技を繰り出したり、相手の技に反応できたりします。またタメがあることにより技自体に伸びが生じます。

ただ、勘違いしてほしくないのはタメとはいっても、足をガッチリ固めるイメージは持ってはだめだということ。膝、足首をいつでも自由に動かせた方が反応はよくなります。

下半身のタメを開放して一気に前に出ると同時に脱力した技を繰り出すと、下半身と上半身の力により前進する力が向上します。

脱力することで技の起こりを相手に分かりにくくするのは大前提ですが、その上で相手がビクッとなるような勢いとインパクトも重要です。そのために下半身のタメは欠かせません。

頭の高さは相手よりも低く

技を相手に当てるイメージは下から突き上げるようにすることです。

なので頭の高さは相手よりも低い状態から初動が始まります。

自分の頭の位置を低く保つことはタメを作ることにもつながります。相手よりも低く構えておけば下半身にタメができ余計な動作が減ります。

相手が自分より身長が低い場合は、同じくらいの目線に合わせておきます。

以上のことを意識したところ、技が抜けるということはほとんどありませんでした。

これでも抜けるという人は、相手をしっかり見ていない可能性があります。

体ごとぶつかり、相手の技をつぶす意識

握らない拳、下半身のタメ、頭の高さ、これら全てを意識して技を出すとき、もうひとつ大切なことがあります。

それは、技を出したら体ごとぶつかっていくことです。

たとえ相手に出合い(カウンター)を取られたり、下に抜かれそうになっても、こちらは下半身と上半身を使って前進していますから体ごとぶつかります。

これによって相手の技も潰れるのでそこから違う技を出すのもありです。瞬間的な崩しを狙ったり、ぶつかってできた空間を利用して距離の短い技を出してみたり、というように。

脱力、下半身のタメ、頭・目線の高さ、そして思いっきり技を出すことを意識することで組手の勝率は上がるはずです。

もちろん間合いやタイミングも重要ですが、これらは技がしっかり出せるようになってからの課題になります。まずはこちらの技が相手に届くようになるのが最初の目標です。

脱力を意識したことで競技成績も向上

私はここで紹介した方法で脱力の練習を続けた結果、技の起こりが減り、相手に反応されにくくなりました。

また手全体で技を捉えようとするので技が抜けるということも少なくなりました。

全国優勝常連大学も参加する練習試合では10試合全勝。いくつかの公式試合でも入賞を果たすことができました。

競技で勝つために何が正解なのかはやってみるまで分かりません。ときには常識の反対のことをやってみるのも面白いかもしれませんね。

そういった意味では、答えなんてない。個人、個人それぞれ特徴があり、それを最大限に活かして結果が出ればそれが答えなのかもしれません。

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