剣道部女子中学生が自己流で5kg増量した話

もっと飯を食え!

コーチから耳にタコができるくらい言われて増量を決意した。

剣道は階級制ではないが、体格のいい選手は鍔迫り合いの時に強いし、パワーがある。それに加えて、結果を残している選手はみな体格が良かった。

私が増量を決意した当初は、160㎝40㎏程のごぼう体型であった。もともと食が細く太れない体質で、スタミナもパワーもない私は、練習量に比例せず、負けてばかりだった。

おにぎりで自己流の増量

とにかく太れといわれても、太る方法も具体的な目標の立て方もわからなかった。スマホという便利なものもなければ、誰かに相談するという手段も反抗期を迎えた当時は考えられなかった。

知識のなかった私は、自己流な方法で増量を試みた。まず朝ごはんの前におにぎりを1つ。部活と夜ご飯の間におにぎりを2つ食べる。

こんな具合にとにかくごはんを食べるデブエットが始まったのだった。おにぎりの味はすぐに飽きたし、なんせ大きいおにぎりを作っていたから(1つ200g以上はあった)、なかなか具が出てこない。ほぼ味のない白い球体のものを食べ続けるという作業はつらかった。

また、お小遣いを握りしめ、近所の駄菓子屋に走ったりもした。もともと食が細い私は、食べてはよく吐いていた。

2か月で5kg増では満足できず

その生活の結果として、2か月で5㎏の増量に成功した。しかし、

こんなに頑張ってたった5㎏かよ。

という気持ちが本心だった。

そして何よりも、食事が楽しいものではなく、作業と化してしまったことが苦痛だった。

こんなに頑張っても5㎏では見た目に反映されず、コーチからは相変わらず「もっと飯を食え!」という言葉のシャワーを浴びていた。お年頃の中学生はみなダイエットの話をしている中、「増量の方が大変だ!」と思ったりもした。

管理栄養士になった今だから言えること

この経験が後に、私を管理栄養士にさせてくれた。管理栄養士となった今だから言えるのは、増量・減量には知識が不可欠であるということだ。

自己流ではあまりにリスクが大きすぎるし、もったいないことだと思う。実際、増量・減量に失敗して摂食障害になる選手も少なくない。食べることは、生命が続く限りずっと続けていくことなのである。

ネットからの情報や人から聞いた情報を鵜呑みにするのではなく、本当に自分にあった減量・増量方法なのかを自分の身体で確かめながら行ってほしい。

そして、もうひとつ挙げるなら、積極的に人に相談して欲しいということだ。体重はプライベートな情報であり、共有するのは恥ずかしいことだと思う。女の子ならなおさらだ。しかし、減量・増量を相談したり、一緒に頑張ってくれる気の置けない仲間を作っておくことが減量・増量の成功の秘訣だと私は思う。

(文・ならきち)