30代ボクサーが6キロ減量に挑戦…体重が落ちても動きは良くならない

普通の試合であれば、ボクシングは階級制のスポーツですので、その階級の規定体重の範囲内に収めなければいけません。

一方、プロテストは「何キロまで落とさなければいけない」という規定はなく、当日体重こそ測りますが、体重の近い受験者同士をスパーリングさせるためであり、厳格な体重制限はないのです。

ボクシングプロテストのために30代で減量チャレンジ

それでも、私は意識して体重を落としました。余分な肉を落としたかったので、その目安として体重を計っていました。

通常の私の体重は62~63kgです。見た目が細く見えるらしいので、この体重を言ったとき少し驚かれます。ですのでトレーナーやプロの先輩に体重を言うと「もう少し落とした方がいいよ」とか言われてしまうので、これも自分の体重を意識的に落とすことのきっかけになりました。

こうしてボクシングのプロテストに向け、30代の私が減量を始めました。

6キロ減を目標に減量スタート

体重を落とすときに重要なのは、まずは目標体重。これがなければ出口のない迷路をさまよっているようなものです。ボクシングに関する何かのメディアで、「体重の10%まではなら無理なくいける」という事をなんとなく聞いたことがあった私は、「62-6=56kg」を目指そうと、その時思いました。

普通のダイエットでもそうですが、大事なことは自分の日々の体重の変化を記録すること。プロテストでそこまでやる必要ないともいわれましたが、凝り性なのでやってみたかったのです。

最初の3キロは簡単に落ちる

ジムワークやロードワーク、ダッシュの際は、とにかく汗をかくことを意識しました。ロードワークの時などは、夏でもダウンを着こんで、汗をドバっとかいて体重が落ちていることを喜んだりもしましたね。

ジムワーク後に、今までしていなかった腹筋・背筋も積極的にやりました。夏場は汗で靴の中がぐしょぐしょになるという体験もしました。

元々が62~63なので、60kgまでは楽に落ちました。練習の強度を上げて、少し食事量を減らせばすぐでした。

しかし、ここからが難しかった。

食事制限を開始

結構な汗をかいても、食事してしまえばすぐに60キロ台に逆戻りです。何とか50キロ台をキープしたかったのですが難しく、何かを変えなければ埒が明かないと思った私は、次に食事を変えました。

炭水化物を減らす

炭水化物(糖質)の量を減らし、たんぱく質の摂取量を増やしました。私は人より大食いだとよく言われるのですが、あの時期は本当に我慢しました。今は好きなだけ食べているのですが、あの時の自分を本当に褒めてやりたいです。

朝食はコーヒーのみ

朝はコーヒーのみ。元々朝食べない私にとってこれは苦でもなんでもありません。しかもコーヒーには脂肪燃焼効果があるみたいで、コーヒー好きの私には都合がよかったです。

メジャーのダルビッシュ優選手も、球場に向かう車中ではコーヒーを嗜むとのことです。

運動の4時間前におにぎり2個

昼はコンビニのサラダと春雨。そして2時頃におにぎりを2個食べていました。6時頃から始まるジムワークのために、体に糖質を蓄えエネルギーとするためです。

4時間前摂取が一番効果が高いと本で読んだので、そうしていました。

夕食は高タンパク食を意識

ジムから帰宅後、食事は毎回決まっていました。糖質ゼロ麺、納豆、卵、鶏肉を主食にし、デザートでヨーグルトとバナナを取っていたと記憶しています。どれも糖質が少なく、たんぱく質が比較的高い食品です。

たんぱく質は人間の皮膚や髪、何より筋肉を作る栄養素です。最近知ったんですが、筋トレ愛好家の方がよく飲むプロテインという言葉は「たんぱく質」という意味なんですね。

たんぱく質は、漢字で蛋白質と書きます。つまり卵の白身です。映画のロッキーが生卵を丸のみしていたのも、ちゃんと意味があったんですね。

私はこれを知ってからゆで卵をよく食べるようになりました。

計量前日に思い切って減量

それでも、体重50kg台をキープするのは難しかったですね。上記の夕食を食べれば、すぐに60台に戻ってしまうんです。

そんな中、嬉しいこともあります。体脂肪率が人生初の一桁台9%を記録しました。「俺ってアスリートじゃん!」と一人部屋で騒いでFACEBOOKにアップしたのを覚えています。

一気に落としてみようと思ったのは、プロテストの予備検診の日です。これはテスト生全員が受けなければいけない検診で、30代の私はCT検査もありました。
思い切って落としていこうと一人決意していた私は、その前日夕食をかなり少なめにし、水分も必要最小限に取りました。もちろん、この検診で何キロまで落とさなければいけないという事は全くありません。私の勝手なチャレンジです。

前日の夜で確か59kgコンマ前半だったと思います。検査の日は58kgになっていました。58kgはそれはそれでよかったのですが、これだけ頑張って58kgなのかという残念な気持ちの方が強かったです。

マイナス6キロの目標は達成できず

目標は56kg(通常体重からマイナス6キロ)なんて絶対無理だなと思いました。周りに公言してなかったのが不幸中の幸いでしたね。

しかも、会長からはもしテスト受かったらスーパーフライ級で試合に出すと言われており、私も承諾していました。スーパーフライ級の規定体重は52.16kg。

これを考える時だけ、プロテストに落ちてよかったと少し思ってしまいます。

体重が落ちても動きは良くならない

この減量によって私の動きが軽くなりスピードアップしたかというと、決してそうではありませんでした。

逆に言えば、プロテストが終わって好きに飲み食いできるようになった時の方が動けるような感じがしました。

体重を落としていた時の自分の写真を見ると、締まっているというかやつれているような印象を受けます。そんなこと早く気づけとあの時の自分に言ってやりたいですが、自分で約束した体重まで落とすことに躍起になっていました。

何よりプロボクサーになろうとする人間が体重管理くらいできて当たり前だという意識もありましたね。

「腹が減って力がでねぇ」という悟空みたいな状態が続いていたのかもしれません。

確かに腹筋は6つに割れました。力こぶも今まで以上に浮き出て、広背筋も目に見えて発達しました。テレビで見てた計量の時のボクサーの体だと喜んでいましたが、あくまでも自己満足。

これに関しては結構後悔していて、ちゃんと自分が普通に動ける体重でプロテストに臨めばよかったと思っています。

実践しながら獲得した知識は役立つ

では完全に無駄だっかというと、決してそうではありません。ちゃんと成果物はあります。それは、経験に基づく知識です。

それまで三大栄養素すら知らなかった自分が、減量を機に栄養・ダイエットに関する本を熟読しました。

たんぱく質の多く含む食品、糖質を多く含む食品、有酸素運動と無酸素運動、基礎代謝に関することなど、自分の体を通して多くの知識を蓄えることが出来ました。

テスト受験前程激しい運動が出来ていない今でも、食事には最低限の注意を払っているのですが、その時得た知識が自分の中で役立っていると思います。

(文・Keisuke)

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