「週3体育館練習、週3外練習」。私の通っていた中学校ではどの部活もこのルールのもと活動していました。
毎日道場で室内練習ができる環境と比べてみれば、圧倒的に不利な環境でしたが、顧問の先生が「基本」を大事にした練習で指導してくれたおかげで、中学2年次以降の大会では上位に食い込めるような剣士になれました。
剣道の基本は「気・剣・体」の一致
「基本を大事にしなさい」という言葉を耳にすることが多いと思います。
これはどんなことにおいても通用することで、基本があるからこそ応用のステップに踏めることができます。
剣道の基本が何かというと、私がよく教わっていたのは「気・剣・体」の一致です。気合の「気」、剣さばきの「剣」、そして体さばきの「体」。この中でも、私の顧問は剣と体をとても大事にされていました。
そこで、週3回の室内練習では「剣」をメインにフォーカスし、週3回の外練習では「体」にフォーカスした練習メニューを行なっていました。今回の記事では、道場や防具がなくても、剣道の力の一つである、「体」(体さばき)にフォーカスした練習方法をご紹介できればと思います。
室外で行う剣道のフットワーク強化法
剣道における体さばきは相手との間合いや打突時、そして残心の時に必要となる力です。
この時に私たちの体を移動させているのは「足」であり、これが軸となってきます。体さばきは足さばきでもあると言われるように、フットワークが大切です。
私は屋外の練習の日に、「足の動きの俊敏化と持続化」を向上させるメニューを多くこなしていました。これから剣道のフットワーク強化に役立つ3つの練習メニューを紹介します。
試合終盤の力をつける中距離走
中距離走とは言葉の通り、短距離と長距離の間の競技です。距離でいうと、400m~800mを走るトレーニングが有効的です。
剣道の試合は中学生が3分、高校生が4分と決して長くない試合時間となっているため、中距離で鍛えられる「走スピード持久力(早いスピードを維持する能力)」を剣道に活かすことができます。
具体的に私が行っていたのは、400mと800mを繰り返し、インターバルで5セットを行なっていました。この練習はいつやっても大変でしたが、試合中盤から終盤にかけた最後の攻め合いや、一本を取りに行く力をつけることができました。
打突の威力を高める踏み込み練習
なぜ剣道において「踏み込み」が大事なのかというと、一番の理由は「打突の威力」を瞬発的にあげられるからです。
踏み込みが素早く強いほど、それが打撃にも大きく影響します。私は外練習の際、竹刀だけを持って踏み込み練習を行なっていました。
まずは基本動作の踏み込みが必要とされる面と小手の踏み込み、そして踏み込み後の前に前進する送り足を細かく、素早く行います。少しずつ足が暖まってくると、次は2段技や体当たりからの引き技、技を打って振り返りながら引き技などと様々なパターンで踏み込みを頭にインプットしていきます。
俊敏性を養うラダー練習
ラダー練習とは、はしごの形状をした器具を地面に設置し、その上を様々な足さばきで移動することでスピードとフットワークを向上させる練習です。
ラダー練習は陸上部やラグビー部など、俊敏性の求められるスポーツのトレーニングで使われていますが、剣道においても有効です。
ラダー練習中、最も意識しなければならないことは、「スピードと正確性」です。長時間練習するのではなく、短時間でかつ日々継続して行うことで、頭と体の感覚が一致して複雑な足の動きがスラスラと出来る様になります。
ここで紹介した中距離走、踏み込み、ラダー練習は剣道の基本とされる「気・剣・体」の「体」を有効的に向上させられるメニューです。
たまたま週3日は防具をつけられない環境だったため、外でどれだけ足を動かせるかというメニューを行なっていました。
屋外で行う「足の動きの俊敏化と持続化」を意識したメニューは無駄ではなく、中学はもちろん、高校での剣道にも生かされました。