世間ではコロナウイルスが蔓延して、プロレスの興行はほとんど行われていない。だが、今は便利な時代で、自宅にいながらネット環境でいろいろな昔のプロレス動画を見ることが出来る。
僕が今、はまっているのが、小学校の頃に解散した「国際プロレス」だ。毎晩、缶ビール片手に国際プロレスを見ることが、日課になり、自分の一番の楽しみだ。
今回は、マッハ隼人という選手のことを思い出してみよう。
UWFの中年覆面レスラー「マッハ隼人」
「マッハ・隼人」。
この名を聞いても、今のプロレスファンは知らいないだろう。
80年代のUWFを見た方なら、記憶の片隅に残っているかもしれない。格闘技系のUWFの第1試合によく出ていた中年覆面レスラー。スポーティーなUWFの若手レスラーに毎回毎回ボコボコにされている。
なぜ、メキシコ流のファイトしかできないマッハ隼人が年齢も考えずに格闘プロレスに参加したのかはわからない。彼の試合には哀愁さえ感じられる。マッハ隼人に僕は興味を持った。
マッハ隼人&マイティ井上vsカルロス・プラタ&エル・ドーベルマン
国際プロレスのちびっ子向けのアイドルレスラーという位置づけだったんだろうと思える、マッハ隼人の初のテレビマッチが行われた。
会場は後楽園ホール。国際プロレスの割には観客がとても多いのにびっくりだ。
今でも全然やっていけるのではとも思う動員数だ。タッグパートナーは実力者の井上、対戦相手はメキシコで活躍中のプラタとエル・ドーベルマン。エルはスペイン語で、ドーベルマンは英語。胡散臭い適当なリングネームが国際っぽい。
試合はマッハとドーベルマンでスタートする。両者スピーディなバックの取り合いから始まる、メキシカンらしい切れのいい動きをするが、今のルチャリブレから見ると、ワンテンポ遅い。
序盤、マッハがセカンドロープからのボディアタックをマスカラスばりに見せるが、ドタバタとスローモーで、カウント1で返された。試合の展開の間も悪く素人っぽいとこが、また味わいがある。
自分は日本人で空中殺法を見たのがグラン浜田が初めてだったが、マッハの空中戦も技だけ見ると、なかなかの動きだ。
両選手タッチし井上とプラタが登場。プラタはスペイン人のレスラーらしい、これは珍しい。先ほどのルチャの動きとは違い、オーソドックスな展開だ。
さすが井上が登場すると試合もしまってくるが、観客の拍手が微妙で、今のプロレスと比べるとなんとなく呼吸のずれを感じる。
井上のヨーロッパ仕込みのテクニック、プラタはパワーで対抗する。一進一退の両者の攻防には、拍手喚声も起きる。
やはり井上の上手さが光る。その後は、マッハとドーベルマンにタッチしまたドタバタな展開。張り切りすぎたマッハは場外へ転落するアクシデント。館内は失笑。
一発一発の技はまぁ見られるが、間が悪すぎ、また細かいミスも目立つ。そうこうするうちに4人が入り乱れて、いつの間にかプラタがマッハをフォールして試合が終わっていた。なんて試合だ。
マッハ隼人の魅力
この試合は、マッハの初テレビマッチ。当時、全国でどのくらいこの放送を見た人がいたのかはわからない。究極のB級マスクマン「マッハ・隼人」。
そう、今の新日本プロレスの試合が人気店のメニューだとしたら、マッハの試合は子供の頃、近所で食べたアンパンと牛乳だ。素朴や哀愁、夕焼けが似合うマッハ隼人だ。そんなマッハがなぜか大好きになってしまった。理由は何故かわからない。
(文・GO)