高校時代にボクシングをしていた。
ボクシングには様々な選手がいる。
脚を使うアウトボクサー、打ち合いが得意のインファイター、そしてオールラウンダーのボクサーファイター。
選手には各々取り柄があるものだが、自分には取り柄が一切なかった。
取り柄の無いボクサーはスタミナをつけろ!
パンチ力も平均で、ボクシングセンスも無かった。
そして、何よりも絶望的だったのは、スタミナの無さ。
ロードワークではいつも最下位を走っていた。
あまりに取り柄がないのでボクシングの監督は困り果てた。
そんな、私に監督はスタミナの強化を命じた。
恐らく、1番成果が出る項目だったからだろう。
実際、スタミナはボクシングにおいて非常に重要である。
スタミナがない人間が、サンドバッグを1分間打つとすぐに疲れてしまい、攻撃すらできなくなってしまう。
スタミナは名だたる有名なボクサーでも、避けては通れない項目である。
監督からスタミナの強化を命じられた日から、私のロードワークは地獄に変わった。
ボクシングのスタミナをつける地獄の階段ダッシュ
監督にスタミナの強化を命じられ、行った練習が地獄の階段ダッシュである。
この階段ダッシュは、私が入部していたボクシング部の伝統練習だった。
ダッシュする階段まで8キロのランニング
高校からダッシュする階段までの距離がおよそ8キロあり、自転車に乗った監督が、メガホンを持って後方を走る。
少しでも、仲間から離れてしまうとメガホンで頭を叩かれる。
だから、みんな必死に走った。
155段の階段×15本のダッシュ!
ダッシュする階段に着くと、155段の階段を15本必死にダッシュしなければならない。
8キロ走って体は疲れているが、その階段ダッシュで足の疲労は極限にまで達する。
階段ダッシュを終えると、また8キロを走って高校に戻るのだ。
仲間の中では、その階段の練習を「地獄」と呼んでいた。
しかし、通常は冬場だけの練習だった。
夏場にも行う地獄の階段ダッシュ
ところが、その階段ダッシュを私は夏場に命じられた。
別にロードワークを5キロ走った後にその地獄を行うのだ。
仲間が練習を終わる頃に監督が自転車を取り出す時に私は頭の中で「逃げ出したい!」と思っていた。
そんな、地獄の日々を過ごす私にいつしか仲間達も同情してくれ、一緒に地獄を共にした。
地獄を経験するまでは、スタミナがなかった私だが、半年間続けていると、いつしかスタミナが無尽蔵となってしまった。
スタミナ強化で試合に勝てるようになった理由
半年ほどスタミナをひたすら強化していると、2つの成果が現れた。
1つは、スタミナが無尽蔵となり、ラウンドごとにパンチの数が減る事はなくなり、パンチの数が3倍近くになった。
2つ目は、スタミナが無尽蔵となり試合の最中でも余裕が持てるようになった。
パンチの数が3倍となり、相手に攻撃をさせずに試合に勝つことも増えた。
「攻撃は最大の防御」というように、ずっと攻撃してくるボクサーは相手にとっては怖いものである。
そして、攻撃が多いと自然とKO勝ちも増えた。
2つ目にあるように、試合に余裕が生まれ、攻撃をしながら、相手を観察する事ができるようになり、自分に有利な展開で試合を運ぶ事ができるようになった。
スタミナが無いと、相手の見えるものが見えなかったり、冷静な判断が出来ないこともあるのだ。
そう言ったことから、スタミナに余裕が生まれ、常に冷静な戦いが出来るようになった事が試合結果にも現れた。
私は特に取り柄のないボクサーだったが、このスタミナが取り柄となり、県大会でも優秀な成績を収める事ができた。
もし、ボクシングをやっていて、人に比べて目立つ才能がない人間はとりあえずスタミナの強化をしてみる事をオススメする。