浅倉カンナ戦に見る山本美憂の強さ!2度目のRENA戦の試合展開は?

RIZIN初の沖縄大会のメインを飾るのは山本美憂vsRENAだ。

両者は2016年のRIZINで対戦経験があり、当時はRENAが美憂からチョークで一本勝ちを収めている。この試合は美憂にとってMMAデビュー戦でもあり、初のMMA敗北の日でもあった。

かつてはセコンドに弟KIDもついており、姉の敗北を自分の事のように悔しがっていた。あれから5年の月日が流れ両者は再戦する(再戦の試合展開については記事の最後でふれています)。

山本美憂vsRENAの対戦をひかえ、ここで1度、美憂がMMAにおける強さを見せた試合をふりかえってみたい 。

2019年RIZIN16.で行われた山本美憂vs浅倉カンナの1戦だ。

レスリングをバックボーンに持つ両者の対決。MMA戦績はカンナの方が美憂よりも豊富ではあるが、美憂は全日本女子レスリング選手権優勝経験がある。

レスリングをバックボーンに持つカンナにとっては美憂は憧れの存在であり、乗り越えるべき壁だっただろう。

Full Fight | 浅倉カンナ vs. 山本美憂 / Kanna Asakura vs. Miyuu Yamamoto – RIZIN.16

↑2019年に行われた山本美憂vs浅倉カンナ

山本美憂vs浅倉カンナのレスリング勝負は?

1R開始早々に美憂がカンナの片足をとり、グラウンドの展開に引き込もうとする。

組合の場面でも45歳とは思えないフィジカルの強さでカンナに圧力をかけ続けていく。美憂のオーバーハンドにカンナがタイミングの良いタックルを合わせる場面もあったが、美憂のフィジカルの強さとレスリングの巧さにマウントが取れない。

カンナが美憂の脇に差す右腕を美憂はしっかりと腕でロックしてそのままカンナを体ごと巻き込む動作がよく見られた。フィジカルの強い美憂を感じられた。

フィジカルの強さが光る山本美憂

2Rもどっしりと構える美憂に対してカンナがタックルを仕掛けるも見切られ、膝を打ち付ける美憂。

両者スタンドでの撃ち合いの場面が増えてきた。美憂のKID仕込みの打撃がコツコツとカンナの顔面を捉え始めた。

2R後半にはコーナーにカンナを押し込んだ美憂がバックの体勢から追撃。セコンドでも有り夫でも有るのカイル・アグウォンの指示がきちんと聞こえるポジションでカンナの脇に腕を差し、後方から打撃を打っていく。美憂攻勢の印象を与えた。

3R開始と共にカンナがタイミングの良いタックルで美憂に仕掛けるが、美憂に首をロックされ逆にマウントを許してしまう。ここからが美憂の支配の時間だ。

マウントをとった美憂は下からアームロックを狙うカンナに対してフィジカルの強さで腕を取らせない。再度両者スタンドの展開になり、カンナが仕掛けるタックルに反応し、何度もマウントの展開を作る。

美憂、KIDにこの勝利を見せたかったと涙

3R後半は完全に美憂の良さが表れた。マウントの支配と共に上からの鉄槌でカンナの顔面を腫らしていく。まさにKID仕込みの打撃だ。ゴングが鳴った後の両者の表情は相反する者であった。

満足げにやり切った表情をした美憂に対して、カンナの表情は自身に対する失望なのか、若しくは過去の自分の憧れた人に臆してしまった部分があったのであろうか。

いずれにせよ、美憂が最後までカンナに何もさせずにフルマークの判定の末、勝利を収めた。美憂は試合後のコメントでも弟KIDにこの勝利を見せたかったと涙しており、KIDの存在が彼女の力の原動力となっているのであろう。

MMA参戦後2連敗していた美憂

山本美憂のMMA参戦は順風満帆ではなかった。MMA参戦後2連敗を喫し、かつてのレスリング女王の栄光は忘れ去られていた。

彼女のMMAの結果が著しくなったのは、やはり弟KIDの死からであろう。KIDがこの世にいない悲しみと向き合い、彼女自身前に進もうとしているのがこれまでのRIZIN CONFESSION(RIZINの裏側に迫るYOUTUBEのドキュメンタリー動画)を観ていても感じられる。

浅倉カンナはそんな美憂が過去MMAの壁に踠いていた時に既に女子スーパーアトム級トーナメント王者に輝いていた。カンナに何もさせなかった美憂の急成長ぶりには驚かされる。

どうなる?2度目の山本美憂vsRENA

Full Fight | RENA vs. 山本美憂 / RENA vs. Miyuu Yamamoto – 9/25/2016

↑2016年に行われた山本美憂vsRENAの初対戦

美憂のセコンドにはあの頃のようにKIDはいない。しかし、あの時と現在の美憂の実力はまるで別人だ。

対するRENAもまた、1年ぶりのリングとなる。RENAも立ち技からMMAに参戦し、ずば抜けた打撃のセンスで寝技不足を補っていた部分が参戦当初はあったが、それでは通用しないMMAの壁を味わってからは寝技の技術も上げている。特に浅倉カンナとの2戦目の試合ではMMAの試合ができる選手へと育っていた。

RENAは打撃戦に長けているので、おそらく美憂はタックルからマウントで塩漬けにしていく展開を狙うと考えるのが普通だ。気になるのはRENAの1年間のブランク。特に、美憂のタックルを防ぎ切れるかどうかが、見ている方としては気になるポイントだろう。

もちろん、全く別の展開も考えられる。

個人的には美憂のKID仕込みの飛び込み様の打撃でRENAとの打撃戦をとても観てみたい。ステップワークの速さは女子スーパーアトム級の中でもトップクラスの美憂だけに、RENAに打撃を見舞うチャンスもあるはず。RENAの打撃に臆せずに相手の間合いに入り、自分の試合展開に持ち込む事ができれば美憂に勝機がある。

(文・Totty2)

山本美憂vsRENA、2度目の対戦の試合展開は?

Full Fight | RENA vs. 山本美憂 2 / RENA vs. Miyuu Yamamoto 2 – RIZIN.32

↑2021年に行われた、2度目となる山本美憂vsRENA(RIZIN.32)

美憂とRENA、それぞれ見せ場を作った1R

サウスポーの美憂がジャブのフェイントを刻み、RENAはローキックを細かく当てていく。

美憂がタックルを仕掛け、RENAをロープ、さらにはコーナーへと押し込むが展開は作れず、スタンド勝負に戻った(GONG誌によると、これはRENAが出稽古で習得した壁レスリングの成果だそうです)。

再び、美憂がタックル! クローズドガード、さらには腰高になった姿勢から打撃を放つ。腕をキャッチしたRENAがあわや腕十字を決めるかという場面もあったが、ここでゴング。

1Rは、美憂はタックル、RENAは腕十字と、それぞれ見せ場を作ったかたちだ。

膠着気味のグラウンドから、最後は打撃戦へ!

2R、早々に美憂がタックルを仕掛けてクローズドガードに。1R終盤を再現するような形で、上からコツコツと打撃を当てていく。

美憂が腰高になったとき、RENAの下らかの蹴り上げを警戒して距離をとったため、RENAに立ち上がるチャンスを与えてしまう。

ここから、美憂は打ち合って決着をつける意気込みか、または距離を詰めるためなのか、打撃の猛攻に出た! しかし、RENAが蹴りを頭部に入れ、崩れて亀の体勢になった美憂を上から抑えて鉄槌を連打!

この形が続けばレフリーは止めるしかない。美憂は撃たれるまま体勢を変えることができず、レフリーが試合を止めて、RENAの勝利が決まった。

相手をよく見て攻め手を変えられるRENA

終盤の打撃戦で、RENAは相手の動き一つ一つに良く反応し、パンチのガード、蹴りでのカウンター狙い、出しかけた左足(フェイント?)を途中で止め、右足に切り替えての蹴り(この蹴りがヒット)、というように自由自在に動きを変えて見せた。

ヒットさせたRENAの蹴りは、美憂が左手オーバーハンドのフェイントからタックルに入る瞬間の、下がってくる頭部に合わせたものだ。MMAでは、タックルにカウンターの膝蹴りが当たり、1発で試合が決まってしまうことがある。RENAの蹴りの打突部位が膝かどうかは映像ではよく見えなかったものの、攻防としてはこれと同種のものだろう(「膝蹴り」と報道されているので、実際に膝蹴りだったのでしょう)。

RENAは打撃戦に自信があるからこそ後の先に徹し、相手をよく観察し、一瞬のチャンスに反射的に蹴りを放ってクリーンヒットさせた。最後の瞬間まで両者に大きな優劣はなかったことを考えると、事実上、1発の蹴りが勝敗を分けたも同然である。熟練したストライカーの怖さを見た。(編集担当)