クレベル・コイケがRIZINに戻ってきた! 朝倉未来戦を振り返る

クレベル・コイケがその強さを国内MMAに知らしめた試合といえば、2021年の朝倉未来との試合(RIZIN28)であろう。

この試合は地上波でも放送され、結果はクレベルの三角締めによる一本勝。お茶の間にYOUTUBE界のスター朝倉未来の失神した姿が流される衝撃的な結末になった。

クレベル・コイケVS朝倉未来を振り返る

Full Fight | 朝倉未来 vs. クレベル・コイケ / Mikuru Asakura vs. Kleber Koike - RIZIN.28
2021年6月13日(日)、東京ドームにて開催された「Yogibo presents RIZIN.28」試合フル映像Mikuru Asakura vs. Kleber KoikeJune 13,2021 RIZIN.28 in TOKYO DOMEhttps:/...

1Rプレッシャーをかける朝倉は左ストレート、右フック等ピンポイントに攻撃を仕掛けていく。クレベルは朝倉の打撃の殺傷性を理解しているのでしっかりとガードを固めている。

固めたガードの上から打撃を放つ朝倉。1R半分経過時に両者近い距離でのフックの撃ち合いから朝倉の打撃がクレベルの顎を捉えると、よろけるようにしてバランスを崩すクレベル。クレベルは後にこの際はバランスを崩しただけで効いていないと述べている。

朝倉もこの時に追い討ちの打撃に徹しなかったのはクレベルの目が死んでいなかったからであると語っている。ラウンド後半にクレベルが朝倉を持ち上げグラウンドに誘い込んだり、組みのポジションから自ら下になり、グラウンドに持ち込もうとする展開が見られた。

クレベルの寝技を警戒する朝倉は引き込まれそうになると冷静に対処し、スタンドに回避しクレベルには体力の消耗が見受けられた。

2Rは逆にクレベルがプレッシャーをかけ、蹴りを多用する。朝倉が青コーナーポストを背にした瞬間にクレベルが組付いて、ディフェンスする朝倉の顔面に肘打ちを見舞う。

一瞬の隙をついたクレベルが朝倉をグラウンドに持ち込み三角締めの体勢に入った。場内からは興奮の声が溢れ出ていた。朝倉が失神した事をクレベルが彼の腕を退けてレフェリーに確認させると、すかさず試合は止められた。

クレベル・コイケはどんな選手?

加速するRIZINフェザー級前線。昨年末から王者斎藤裕の王座陥落、新王者牛久絢太郎の誕生に加え、大晦日には心技体共に進化した朝倉未来が斎藤裕に圧勝し、その存在感をフェザー級に再認識させた。

更に萩原京平というRIZIN新スターの登場、SNSで度々舌戦を繰り広げる平本蓮など厚く濃いキャラが充満している。しかしながら、私が思うRIZINフェザー級No.1はやはり鬼神クレベル・コイケである。

クレベル・コイケの戦歴

2021年6月に東京ドームで開催されたRIZIN28では朝倉未来を相手に2R三角締めによる一本勝ちを収め、お茶の間に衝撃が走った。現RIZINライト級王者のホベルトサトシソウザと同門の静岡にあるボンサイ柔術に属している。

元々は14歳の時に出稼ぎの両親と共にブラジルから来日し、それとほぼ同時期にボンサイ柔術に入門。しかし、2008年のリーマンショックにより両親は母国に帰るもクレベルだけは日本に留まり、同門のサトシソウザとヨシオソウザと出会い、彼らと僅かな資金で共同生活を始める。

同年に地元浜松の格闘技団体DEEPでMMAデビューを果たし、国内団体にその極めの強さを見せしめるとヨーロッパのメジャー格闘技団体KSWに参戦し、見事フェザー級王者を獲得。

その後、2020年にRIZINデビューを果たすと国内実力者を下し、無敗の3連勝。脅威のフィニッシュ率を誇る。全てが一本勝による勝利で彼自身の戦績も28勝の内24勝が一本勝によるものだ。

クレベル・コイケがRIZINフェザー級に戻ってきた!

2021年はRIZIN側と出場の件について揉め、一時はRIZINから彼の姿がみられなくなってしまうのではないかとファンの間で不安が過ぎったが、無事に問題を解決して今年一発目のメインイベントに参戦する。

2022年はこの男を巡ってRIZINフェザー級がどのようなストーリーを繰り広げるのか目が離せない。私個人の見解では彼の底は未だRIZINのリングでは見ていないので当然ながら彼が敗北する姿は思い浮かばない。ボンサイ柔術の芸術的なサブミッションに是非期待したいところだ。

どうなる?クレベル・コイケVS佐々木憂流迦

対戦相手の佐々木憂流迦は元々は一階級下のバンダム級に身を置いていた選手で昨年階級を上げてきた。五味隆典らとトレーニングに励んだ甲斐もあり、フィジカル強化に成功した憂流迦は以前の細身の頃とは見違え、耐久面の向上も前回の堀江戦からも伺える。

とはいえ、クレベル相手となると厳しものがある。クレベルにグラウンドでの展開に持ち込まれサブミッションディフェンスで精一杯になる展開が頭に浮かぶ。

クレベルは柔術に加え、スタンドでの打撃の向上も見受けられる。その背景には同門の元シュートボクサーの鈴木博昭の教えのおかげだ。昨年6月の朝倉未来戦ではクリンチ状態からのエルボーによって朝倉の顔面を腫らし、柔術に引き込む為のプロセスとしての展開に用いている。

朝倉の強力な打撃がクリーンヒットしてふらつきそうになるもKOされなかった耐久力もある。寝てもクレベル、立っても互角?となると憂流迦劣勢のように思えるがどうだろうか。

クレベルとしてはこの一戦で自身の強さを再認識させ、次戦はRIZINフェザー級王座戦に繋げたいところだ。

(文・Totty2)