高校柔道団体戦、負けられない大将戦で優勢勝ちを狙う

自分が所属する高校柔道部は部員不足で3年3人、2年2人、1年2人。この少ないメンバーで大会に出ていました。

地方大会団体戦のトーナメントは独特で、例えば、ある県の優勝校とある県の予選突破した最下位の学校というような組み合わせで1回戦が組まれます。そのため予選を突破しても1回戦を突破するのは非常に難しくなります。

5人制の団体で自分は大将として予選から闘い、この地方大会で5年ぶりの初戦突破を目標としていました。

幸運にもこのときの対戦相手は自分たちと同じような力の学校でした。

高校柔道団体戦の試合展開

先鋒戦は3年の部長が出ました。彼は自分の持ち味を出して、技ありを奪い優勢勝ち。

次鋒戦はポイントゲッターの同級生が出ました。しかし結果は秒殺の一本負け。苦しい展開となります。

中堅の後輩は危なげなく相手から一本を取りました。副将は運動音痴の後輩が一本負け。

柔道では一本だけではなく技あり等で優勢勝ちすることができるので勝ち星の数が同じでも内容で勝敗が決まることがあります。この時2-2の同点でしたが、もし次の大将戦で引き分けると、内容の差で自分たちの負けが決まってしまう状況でした。

優勢勝ち狙いの大将戦

自分たちのチームが勝つには何としてでも自分が勝つしかない状況。

相手は自分より少し大きいくらい。アップを見る限り実力差はほとんどないように思われます。

試合開始。お互いに有効な技なし。序盤のうちに相手が引き分けを狙っていることを感じ取ります。そうなると投げるのはとても困難になります。

私はなんとかして指導を2つ以上とり優勢勝ち、反則勝ちを狙うことにしました。

一つ目は相手を場外に出るように仕向けてとりました。しかし、相手もわかっているのであと一つの指導がなかなか取れません。試合終了直前、残り2秒で待てがかかりました。そして、主審が審判を集めて話し合い始めたのです。

自分は絶対指導を取られるようなことはしていないので、相手に指導を与えるかどうかの話し合いのようです。結果残り2秒のところで相手に指導が入り、そのまま時間が経過して自分が優勢勝ちで勝利しました。

そしてチームは5年ぶりに一回戦突破することができたのです。2回戦目は次の年の優勝校になるくらいの強豪でした。なすすべもなく0-5で負けましたが、強豪校と試合ができたのは良い経験となりました。

5年ぶりとなる初戦突破の実感は

この試合が心に残っている理由は、まず自分としては県大会より大きな大会に初めて出場できたからです。

中学はあと一つのところで出場できなかったので高校でリベンジしたかたちです。自分はこの大会の数か月前に交通事故で1カ月練習ができなかったので万全な体調ではなかったのですが、この試合を通してあきらめないでなにか足掻いていれば何とかなるのだということも学びました。

試合後、監督の話を聞きながら私は相手校の様子を見ていました。相手はあの指導が一つなければ勝っていたので、どんな話をしているのだろうと思いました。

不思議と怒られている雰囲気はありませんでした。ただ負けた相手を見るとその時はあまり喜ぶ気にはなりませんでした。しかし観客席にもどるとOBや保護者の方々が褒めてくださったので初めてそこで勝ったのだなと実感しました。

僅差の勝利となった大将戦について、OBからは「ハラハラさせるな」とお叱りを受けました。この時自分は柔道を始めてたったの5年しかたっていませんでしたが、自分の中で大きな節目を迎えたように思えます。