高校一年生の時の柔道部顧問の先生。その先生は学年に一人目をつける生徒がいて、それが自分であったため、怒られるのは決まって自分でした。先生は二年生になるときに異動されたので一年間しか指導を受けていません。
最後先生の異動が決まってから、先生はこれまでよりも優しく指導してくださったという印象でした。
しかし、そのとき出場した大会では良い成績が残せず、申し訳ない気持ちと悔しい気持ちでいっぱいになり男泣きしてしまいました。
一年間という短い期間でしたが、先生からは多くのことを学ばせていただきました。
柔道が上達しない点の練習
先生の話の中で自分が一番印象に残っているのは点と線の話です。
柔道では準備運動、回転運動、打ち込み、投げ込み、乱取りというように様々なメニューをこなしていきます。
先生がおっしゃるには、自分たちの練習は一生懸命だけれどもそれぞれのメニューどうしが繋がっていなくて点の練習になっているとのことでした。
具体的にいうとエビや絞りのような運動をしても寝技のことを意識して練習していないので寝技に生かされない。打ち込みと投げ込みの形が違っており、試合に役立たない、などです。
このようにその場その場では一生懸命に練習していても実はそんなに身についていない、という指摘でした。
柔道名門私立に公立校が対抗するには?
一方、線の練習というのは、練習のはじまりから終わりまで自分の追求する柔道を意識して練習することです。
柔道に力を入れている柔道名門私立の部員であれば、長い練習時間と人数が多い中での練習によって点の練習であっても点をたくさん打ち続けて線にしていけます。
しかし、公立校の自分たちはそのような時間も人数もないため点で練習するのではなく、線を描くようにして練習することが大切だとおっしゃっていました。点と点をつなげるようにと。
先生のあまり上品ではない言葉に、「お前がやっていることは〇〇〇ーと同じなんだよ」というのがありました。
これはつまり、柔道を全体としてとらえず、そのときどきで勝手なことをしているということです。
自己満足で柔道をするなということ言えばいいのにわざわざ変な言葉を使って怒るのです。怒られている本人は怒られているのであまり反応できませんが、ほかの人たちは笑いそうになりながら練習していました。
男子校運動部独特の雰囲気だったのかもしれません。
遠征先でも勉強?進学校ならではの取り組み
先生は節目節目に生徒たちだけで話し合わせることが多かったです。大会の後だけではなく、遠征の後にも話し合いをさせられました。これを行うことによって互いの考えていることもわかるし、チームの目標を全員で共有できるのは良いと思います。
この時は先生に見られているわけではないので部員といろいろなことを話すことができます。先生の愚痴も言っていたのはいい思い出です。
自分の高校は進学校だったので遠征先にも勉強道具を持っていくように指導されました。遠征先ではなかなか勉強できる環境があるわけではないのでやりづらかったものの、こうした取り組みによって柔道だけでない人間に育ったと思います