20歳を過ぎ、フリーターをしていました。学生時代にMMAをやっていたのですが、目標にしていたPRIDEの後継団体にあたるDREAMという日本のメジャー団体が2013年に消滅し、モチベーションが低下。次第にジムにも顔を出さなくなりジムも退会して格闘技とは無縁になってしまいました。
2015年11月、PRIDE時代の榊原代表がネットニュースに出ていました。そして、新しい格闘技団体を立ち上げ大晦日に旗揚げ戦を行うとアナウンスがありました。
第1弾のカード発表でPRIDEのエース桜庭和志、PRIDE亡き後のDREAMのエース青木真也の試合を行うと知りPRIDE、DREAMが好きだった自分は是非観たいと思い観戦しに行きました。
PRIDEのエース桜庭和志
試合はPRIDEルールの1R10分、2R、3Rが5分のMMAルール。
まず桜庭和志は言わずと知れた日本のMMAを支えてきたと言ってもいい選手です。PRIDE時代は当時最強の名を欲しいままにしていたグレイシー一族を撃破。自分より階級が上の選手を相手に、ことごとく勝利しPRIDE黄金時代を支えてきました。
その後もHERO’S、DREAMに参戦し日本の格闘技メジャー団体を牽引してきました。
DREAMのエース青木真也
一方の青木真也選手はPRIDE末期に現れた寝技を得意とする格闘家です。青木選手は修斗、DREAMのチャンピオンベルトを獲得し、PRIDE亡き後の日本のMMAの先頭に立ってきた選手です。
DREAM消滅後、桜庭選手は新日本プロレスへ、青木選手はシンガポールのMMA団体ONE FC(現在のONE Championship)に移籍しライト級のベルトを獲得しアジア最強の名を欲しいままにしていました。
桜庭和志vs青木真也
桜庭和志と青木真也の試合はメインイベントで行われました。
試合直前の煽りVTRでは青木選手は桜庭選手をリスペクトしつつ「新日本プロレスはハッピーエンドで終われるけど格闘技はそうじゃない」「泣いてかえるんだよファンが!」「格闘技を留守にしてた人に負けるはずがない」と発言。
一方の桜庭選手は自身の息子とPRIDEからの思い出を振り返り引退をほのめかす発言をしていました。
煽りが終わり両者入場。
青木選手はいつも通りの雰囲気で入場。
対する桜庭選手はいつもマスクを着けて入場しますが、この試合に限ってマスクを着けずに入場。
この試合は何か雰囲気が違う感じがしたのを今も覚えています。
そして試合開始のゴング。
桜庭選手がファーストコンタクトで右のハイを出しましたが、すぐに青木選手が組み付きテイクダウン。その後青木選手がパウンドを叩き込み桜庭選手が耐える展開が続きます。
なんとか桜庭選手が逃れようとするが、青木選手は崩れずにパウンドを叩き込みます。その状況が5分以上続いたなかでついに桜庭選手サイドのセコンドがタオルを投げ込み試合終了。
ちなみにタオルを投げ込んだのは元阪神タイガースの下柳投手でした。
1R5:56タオル投入のTKO、青木選手の勝利でRIZIN旗揚げ戦が幕を閉じました。
RIZIN旗揚げ戦で見たファンの涙
この試合を観て自分は、煽りVで青木選手が言っていた「ファンが泣いて帰る」という言葉を思い出しました。
その言葉通り自分の近くの席で観ていた観客がちらほらと涙を流していました。
青木選手が桜庭選手にMMAファイターとしての引導を渡した。事実、桜庭選手はこの試合を最後にMMAから離れています。
この試合は今まで観た格闘技の中で1番哀愁を感じた試合でした。格闘技のひとつの時代が終わるのを目の当たりにしたと思っています。
(文・ララバイ)