2020年3月22日、さいたまスーパーアリーナで開催されるK-1 WORLD GP 2020 JAPAN~K’FESTA.3~にて、愛鷹亮vsシナ・カリミアンの再戦が行われる。
この再戦を迎えるにあたり、ここでは愛鷹亮というファイターに注目してみよう。
元機動隊員の愛鷹亮とは
愛鷹亮は元柔道のバックボーンに持ち、20代半ばにプロデビューを果たした選手。
格闘家の中ではやや遅めのプロデビューではあるが、持ち前の剛腕からのパンチ力は日本人離れしている。愛鷹の魅力は剛腕もあるが、不屈の精神力にも注目したい。
身長は180cmとクルーザー級の中では低い為、自分よりも高身長な相手と拳を交えることが多い。カリミアン戦では20cmの身長差があったにもかかわらず、下がらずに前に出続けたことでKOに繋がった。
愛鷹の試合には大和魂を感じさせる魅力がある。元機動隊員で鍛え上げられたことも起因しているのかもしれない。試合後に漢泣きの一面からも試合に懸ける思いが相当なものだったことがうかがえる。
見た目のワイルドさとは対照的に紳士的な優しい口調で、ネコ好きの一面も持つといったギャップによる好感度も高い。重量級初の日本人K-1王者誕生となるだろうか。
愛鷹亮vsシナ・カリミアンの一戦目
愛鷹亮について知るには、2019年8月のK-1大阪大会での愛鷹亮vsシナ・カリミアンの一戦を振り返るのがよいだろう。
イラン初のK-1チャンピオンに輝き、K-1で無敗の戦績を誇るカリミアンに挑む愛鷹亮。下馬評では完全にカリミアン有利であった。愛鷹は前戦に身長192cmのファイターにKO負けをしていたこともあり、愛鷹不利の声に拍車がかかっていた。
1Rが始まった。カリミアンがアグレッシブに前進し振り下ろすようにパンチを見舞い、愛鷹にロープを背負わせる。それに対し愛鷹もカウンターのフックを当て、ややカリミアンが効いた様子を見せた。
愛鷹のテンプルにカリミアンもフックを当て、効いた様子の愛鷹。試合開始から数十秒の両者撃ち合いに会場は興奮に包まれた。クリンチ時からもカリミアンのパンチが愛鷹の後頭部ギリギリの部分にコツコツと当たっていく。
カリミアンはパンチのみならず前蹴りを前進する愛鷹に直撃させる。カリミアンは打撃のバランスに優れている。
リーチ差もあり愛鷹のパンチはカリミアンに当たることはない。それでも大振りのフックを見舞っていく愛鷹。試合1分半で若干疲れた様子のカリミアン。試合はやや落ち着いた展開になっていく。
打撃をもらいながらも前に出ていく愛鷹にパンチ、蹴りを多用し打撃を当てるカリミアン。1R何度か効いた様子の愛鷹ではあったが倒れることはない。
愛鷹亮、前に出続ける!
そして2R。愛鷹は強引に前に出てパンチを当てにきている。蹴りで距離を図りたいカリミアンだが、蹴りを回避し接近戦になると愛鷹のパンチがコツコツと当り始めた。
カリミアンがロープを背にし愛鷹はそこにプレッシャーをかけていく。前蹴りにも動じない愛鷹に困惑し、苦し紛れのクリンチも多く見られた。愛鷹のパンチがカリミアンの顔面を浅くではあるが捉え始めていたラウンド。前蹴りをモロに顔面にもらっても前に出続ける愛鷹の姿勢が際立ったラウンドだった。
そして運命の3Rに突入。ゴング前のカリミアンの表情は今までに見せたことのない動揺した様子が伺えた。ハイキックをガードの上から見舞うカリミアンだがしっかりとガードした愛鷹は前進する。
クリンチで回避するカリミアン。ジャブで距離を図るカリミアンを押し退け、コーナーへと詰めた愛鷹のロングフックがカリミアンの顎を捉え大巨人がマットに沈んだ。完全に失神したカリミアン。愛鷹は前に出続ける不屈の精神力でジャイアントキリングを果たした。
愛鷹亮vsシナ・カリミアン再戦はどうなる?
愛鷹亮とシナ・カリミアンの再戦は実は2019年11月に組まれていたが試合直前でカリミアン負傷というアクシデントが発生し、対決は流れた。
愛鷹自身も20代最後の年にK-1のベルトを巻くと決めていただけにやるせない思いがあった。そして7カ月ぶりに両者はK’FESTA.3というビッグイベントで再戦をする。
愛鷹にとっては待ち続けただけにベルトへの思いは一層強まっているだろう。対するカリミアンも衝撃のKO負けから悔しい思いをはらすためのリベンジに燃えている。
カリミアンは今年に入り、ジムを移籍した。移籍先はなんとあの武居由樹や江川優生らK-1チャンピオンを輩出したPower of dreamだ。古川会長の元で技術力を磨くカリミアン。
武居や江川のように一撃必殺のスキルを得た巨人となればかつてのセームシュルトのような絶対的存在になる可能性も感じさせる。公開練習でも古川会長自らがミットを持ちカリミアンの打撃を受けていた。
名門Power of dreamに移籍し、足立区に身を置くなどカリミアンのこの試合に懸ける気合は十分に伝わってくる。愛鷹にとっては前回以上に厳しい戦いが待っているだろう。両者の仁義なき戦いは3月22日に終結する。
(文・Totty)