高校1年生の夏を過ぎたあたりから、国体の強化選手に選ばれたのもあって県内外の合宿に参加するようになりました。
校内の練習とは違って、同じ階級でもレベルが高い選手や、階級が上の選手とも練習しないといけなくてそれはそれはキツくてしんどいものでした。
怪我をきっかけに立ち技から寝技に
一本を取る背負い投げ、とりわけ膝をつかない背負い投げに特化して練習を積み重ねていましたが、階級が上の人との厳しい練習や、中学生の時に無理やり双手背負いの練習をしていたのもあって、釣り手側の肘に強い痛みを感じるようになり、いつのまにか双手背負いができなくなりました。
左右の一本背負いを自由に使いこなせるのを武器に戦っていましたが、強化合宿で肩から落ちて左肩鎖関節を脱臼してしまったのをきっかけに左右の腕が自由に使えなくなってしまったのです。
得意技ができなくなってしまったけど試合は控えている。上半身の大きな崩しをしないで技を決めて勝つために編み出したのが足技からの寝技でした。
寝技に入るための背負い→小内刈り
足技からの寝技、特に威力を発揮したのは小内刈りまたは小内巻き込みからの横四方固めでした。
私は右組みですが、襟を持っての左の一本背負いからの小内巻き込みは左もできるように練習しました。
崩しは背負い投げに入るときと同じくとにかく動いて相手に組ませないこと、自分が先に組んで釣り手側で相手の鎖骨あたりをドンと突いて背負い投げに入ると見せかけて小内刈りに入ります。
ポイントを取れなくても、相手を倒せたらそのまま横四方固めに入りますが、相手は体を翻してうつ伏せになろうとするか足を絡んできます。その時は右足を犠牲にしてわざと絡ませておいて、その間に相手の首を固めてサッと足を抜いて横四方固めに入ります。この流れは左の小内巻き込みからでも可能です。
片足を犠牲にして先に上半身を固める
足技で取りにいくのか、押さえ込みで取りに行くのかによって投げ方を変えるのがポイントです。
足技が決まると判断した時は、そのまま勢いよく相手を倒して体を預けて有効や技有りを狙います。逆に足技は単なるきっかけで、最初から抑え込みを狙っている時は、倒すと同時に引き手を離して相手の首を固めに入るのと、足を絡まれないように左足はすぐに相手の股から出して右膝で相手の右足を踏んでそのまま押さえ込みに入ります。
脚は、両足を絡められなければほぼ抑え込みに入れますのでわざと右足を犠牲にして絡ませておいて、その隙に上半身をがっちり固めてあとは足をサッと抜いて横四方固めで一本を取る流れがお決まりです。
左の一本背負いから小内巻き込みの時は少し入り方が違って、同じように左の横四方固めに入ることも可能ですが、釣り手を持って浴びせ倒しているので、投げ終わった時の体勢によって右の横四方固めに切り替えます。
怪我をしたことにより得意だった左右の背負い投げができなくなりました。そのかわり少し地味ではありますが寝技がとても強くなり、後に私はみんなから蟻地獄と言われるようになったのでした。
(文・黒帯ももこ)