総合格闘技で初めての出稽古に…プロの洗礼を浴び練習のヒントを得た

総合格闘技を始めて3年が経ったころ、今まで試合した中で1番強い相手との試合が決まった。

とても気合が入っていた僕は、仲間と車で2時間程かかる名門ジムに出稽古に向かった。

出稽古の必要を感じた理由

当時、僕が練習する道場にプロ選手はおらず、アマチュアの仲間と工夫しながら練習をしていた。

総合格闘技の全体としての流れは何とかできているが、パンチ、キック、レスリング、寝技等の個別の技術に目を向けると、基礎ができているとは言い難い状態。

1つの技術を極めようとすると他が疎かになってしまうので、ある程度は均等に練習する必要があり、流れで一通りの技術練習をやることが多かった。

この考え方にも一理あるが、本当にこうした練習を続けていて良いのか確信が持てなかった。レベルの高い道場の練習を経験させてもらい、自分たちの練習を見直すきっかけになればと思った。

初めての出稽古

敵になるかもしれない人達と練習するんだと思い少し緊張したが、練習が始まってみるとそんなことは考える暇も無かった。

いきなりスパーリング?

まず初めに驚いたのは練習項目の順番だ。

自分が通う道場では各自準備運動をしてから、まずはミット打ちをする。その次に技術練習やスタミナトレーニングを行ってから最後の締め的な感じでスパーリングをする。

それが当たり前だと思っていたが、ここのジムは違った。準備運動後にまず最初にスパーリングをするのだ。ミット打ちはむしろ最後の方にやった。

スパーリングを最初にやるのと最後にやるのでは得られる効果も変わってくる。

最初にやるスパーリングは疲れていないので、やりたい動きが高い精度でできる。試合の感覚に近く試合前は特に取り入れるべきだと思った。

それに対し最後にやるスパーリングは疲れているので精度の高い動きはあまりできないが、これは試合終盤の状況と似ている。試合終盤になると疲れてくるのが当たり前なので、その中でも気持ちが折れずに動けるメンタル、スタミナがつく。ミット打ちも同じ理屈だ。

プロ相手に何もさせてもらえない

最初に行ったスパーリングではプロのリングで活躍している4人と順番に手合わせをした。

正直自分はもう少しできると思っていたが、何もできずにやられにやられた。

本当にただコロコロ転がされて格闘技を始めたばかりの時の自分を思い出し、「やっぱりプロは強いからプロなんだ」と思った。

そこでスタミナが尽きて正直これで終わりかな?なんて甘い考えをしている中、次のドリル練習が始まる。

予想以上に多いドリル練習

ドリル練習は反復練習とも言われ、一つの動きを決めてひたすら何十回、何百回と行う練習で、体に動きを染みこませるのが目的だ。

もちろん自分たちの道場でもドリル練習は行っていたが、いつもの何倍も多くやるので、まだやるの?と思った。

基礎を体に染みこませるにはこれを毎日のようにやらなきゃダメなんだと悟った。

普段の練習を「当たり前」と思わないことが大切

今までは考えが甘すぎた。プロより弱い自分がプロより少ない練習量で追いつけるわけがないのだ。

その後もランニングバイクを使った鬼のようなインターバルトレーニング、締めのミット打ちで体を徹底的に追い込み、ようやく初の出稽古練習は終了した。

終わった瞬間、ホッとした。そして、これまでの僕たちの練習は「質は悪く、量は少ない」ことがわかった。

仲間と話して練習内容を見直した。練習の順番も日によってパターンを変えた。それによって強くなったかはわからないが、間違いなく基礎レベルは上がったと思う。

普段している練習を当たり前と思わずに、違う環境で練習すれば視野も広がる。僕は格闘技において出稽古は強くなる為の近道だと思っている。

(文・shu.co)

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