私が空手を始めたのは、小学2年生の時です。3つ上の兄が空手をやっていて真似して始めました。
その時はまだ、伝統派とかフルコンタクトとかの違いも分からず一括りに「空手」と思っていました。
ちょうどK-1ブームで、空手の道着を着て登場するアンディフグが好きな選手でした。テレビでK-1を見るたびに私の空手に対するやる気はどんどん上がるばかりでした。
「強くなりたい」。強くなるために空手を続けていました。
伝統派空手の「刻み蹴り」とは
私の得意技は「刻み蹴り」です。
刻み蹴りとは、前側の足で回し蹴り出す技です。
左構えの状態で回し蹴りをする場合は、普通は後ろにある右足で蹴ります。刻み蹴りは右足を左足に寄せて、左足で回し蹴りをします。
刻み蹴りは単独では使いづらい印象を持っていました。でもコンビネーションとして組み込むと幅が広がります。
私が得意だったコンビネーションは、上段突き→中段突きで前に進む力を利用して、素早く足を寄せて刻み蹴り。この技が決まった時は非常に気持ちよかったです。
軸足に力が入らず蹴りにくい前足の蹴り
刻み蹴りは師範に教えてもらいました。師範は私の得意技が回し蹴りだと知っていました。しかしそれでは技のバリエーションが少なすぎるということで刻み蹴りを教えてもらいました。
右足でしか蹴れなかった私が左足でも蹴れるようになり、より強くなったことは確実です。
この技を身につけるには苦労しました。最初は違和感しかありませんでした。
「蹴りにくいな…」
と思ったのは今でも覚えています。
なぜなら、軸足に力が入らないからです。普通の回し蹴りでは前足で踏み込んでドッシリと軸足に体重を乗せて蹴ることができました。
ところが刻み蹴りは後ろ足を、前足に寄せて蹴るのでドッシリと軸足に体重を乗せることができません。
さらに蹴ることを意識するあまり後ろ足を寄せる動作がうまくいきません。蹴りは軸足が大切なのに軸足がブレるのは致命的です。
前足で上手く蹴るための練習方法
前足で蹴る「刻み蹴り」は軸足が決まらず、最初はとても蹴りにくいものです。一連の動作をすべて行うよりも、動作を細かく分解して練習する方法が有効でした。
素早く足を寄せる練習
私は前足での蹴りを身につけるために、蹴ることを止めました。文字通り蹴ることを止めて、足を寄せる練習を延々としました。
この時のポイントは早く足を寄せることです。師範から足を寄せる位置を教えてもらい、早くその位置に寄せれるように意識をしました。
ブレずに膝を上げる練習
足を寄せる感覚が分かってきたら、次は足を寄せて前の膝を上げて蹴る前までの動作を延々としました。
この時のポイントは軸足がブレないことです。いくら早く足を寄せれても、いざ蹴る時に軸足がブレてしまうと全く意味がありません。なので膝をあげる時に軸足がブレない足の位置を探しました。
軸足がブレない足の位置は私自身で探すしかありません。ブレずに蹴れる位置を見つけたら、意識しなくてもその位置に足を寄せれるように何回も何回も繰り返し練習しました。
足の位置が体に染み込んだらようやく蹴る動作まで繋げて練習です。1カ月間は刻み蹴りの練習に費やしたと思います。
刻み蹴りで練習が楽しくなった!
刻み蹴りを習得したことでコンビネーションの幅も広がりました。
どんな技と組み合わせるか、どんなタイミングでこの技を出すか、考えるのも楽しくなったのを覚えています。
考えたことを組手で実践し、「これは使える」、「このコンビネーションはダメだ」と試行錯誤しながら練習をしてました。
なので「早くあれを試したい!」と練習がどんどん楽しくなっていきました。そして組手を重ねることで、先輩にも勝てるようになり、大人とも練習させてもらえるようになりました。
刻み蹴りをマスターするコツ
刻み蹴りのポイントは軸足です。蹴り技は軸足が最も大切です。軸足がブレてしまうと上手く蹴ることができません。
それは刻み蹴りでも同じです。刻み蹴りで難しいことは寄せた足が軸足になることです。
足を寄せるため軸足がブレやすくなります。しかし逆に、軸足さえ決まれば非常に有効な技です。そのためにも寄せ足の練習を重点的に行うことがポイントです。