中学時代は体が小さく、筋力もなかったので試合時間いっぱいを攻め抜く体力はありませんでした。
延長戦なんて戦えたものではありません。試合開始1分過ぎるともう息が上がってしまうほど、体力はありませんでした。
私の住んでいた地域は柔道人口が多く、全国大会へ出場するためには市の大会、地区大会、県大会を勝ち抜かなければなりませんでした。それぞれの大会で1回戦から決勝戦まで数えると、1日の試合数は5回以上になりました。
市内予選では1日の内に団体戦と個人戦を一度に行っていたので、総試合数は10試合にも及ぶこともありました。試合後は荷物を握る力がなくなるほどヘトヘトでした。その姿を見た監督は、スタミナが必要だと考え、練習後のトレーニングをするようになりました。
スタミナがつくと、攻め続けることができるようになり、相手に当たり負けもしなくなります。また、市内予選、地区大会、県大会と勝ち残り、1回戦から決勝戦まで駒を進めたとしても最後まで戦い抜くことができます。そのスタミナを付けるために、毎回、乱取を終えた後にトレーニングを行いました。
柔道のスタミナをつけるサーキットトレーニング
柔道は無酸素運動と有酸素運動を繰り返して行われます。筋持久力、瞬発力、体力すべてが必要なのです。それらを同時に鍛えるにはどうすればよいか。
異なる種目を連続して行っていくサーキットトレーニングは、筋力とスタミナの両方をつけることができます。柔道場の環境で行えるサーキットトレーニングを工夫しました。具体的には次のように行います。
二人ひと組になり、それぞれが道場の端と端に立ち、まず先にトレーニングをする人を決めます。筋力トレーニングを15種類行うのですが、1種類行う毎に畳の端まで走って手をついてペアの元に帰ってきます。ここは必ずダッシュです。
《1種目目》
腕立て伏せです。回数は10回。
《2種目目》
相手に足を持ってもらった状態で行う腕立て伏せです。回数は15回。
《3種目目》
相手に四つん這いになってもらい、相手の頭の方向から両脇の下へ自分の足を入れて、相手に我慢してもらう状態で行う腹筋です。相手がしっかりと腕をついて我慢していないと、上手く体を起こすことができないので注意しないといけません。このトレーニングは受ける方もトレーニングになります。回数は10回。
《4種目目》
足上げ腹筋です。様々な方向へ受けは足を倒してあげてください。回数は30回。
《5種目目》
相手を抱っこした状態で行う背筋です。回数は10回。
《6種目目》
おんぶスクワットです。回数は10回。
《7種目目》
片足スクワットです。一人でできる場合は一人で、無理な場合は相手の肩を借りて行います。片足ずつ10回、計20回。
《8種目目》
組み替えスクワットです。足を前後に開いた状態で、しゃがみます。その状態で上に高くジャンプし、着地する前に前後の足を組み替えます。ジャンプした際に頭の上で手を叩きます。回数は10回。
《9種目目》
座った相手に足を開閉してもらい、その足を踏まないようの自分の足も開閉してジャンプします。なるべくスピードをつけてリズムよく行います。回数は20回。開閉して1回と数えます。
《10種目目》
相手に四つん這いになってもらい、それを飛び越えるジャンプを10回行います。相手の横に立ち、高くジャンプして相手を飛び越えます。前向きでも横向きでもどちらでもかまいません。
《11種目目》
膝抱えジャンプです。10回行います。
《12種目目》
逆立ちです。相手に向かって逆立ちをして足を持ってもらいます。できれば両足を閉じた状態で逆立ちをします。両足で畳を蹴って逆立ちするのですが、体幹の力が必要になるので、きついトレーニングです。回数は15回。
《13種目目》
逆立ち腕立てです。10回行います。腕をしっかり曲げることを意識して行います。
《14種目目》
バーピージャンプです。しっかりしゃがんでジャンプしてください。回数は10回。
《15種目目》
スピード打込です。20回行います。一番しんどいときですが、技の形を崩さないように行います。
このようなトレーニングを続けたおかげで筋力とスタミナがつき、試合でバテることがなくなりました。また、どんな稽古をしても最後まで集中してやりきることができるようになりました。そして市内予選、地区大会、県大会と勝ち進め、団体・個人で全国大会へ出場することがでできました。サーキットトレーニングによって底力がついたのだと思っています。