2016年UFCライト級タイトルマッチ。王者エディ・アルバレスvs挑戦者コナー・マクレガーによる1戦。
DREAM無き後、Bellator、そしてUFCへと主戦場を移したエディ・アルバレス。UFC初戦では敗北を喫するも、その後は強豪相手に3連勝を記録し、UFCライト級王者に輝いた。
エディ・アルバレスvsコナー・マクレガー
アルバレスはグラップラーとしてレスリング技術に加え、打撃技術にも定評がある。チャンピオンに輝いた試合では相手に何発もの打撃を叩き込み、その無尽蔵のスタミナに世界が注目した。
アルバレスとしては移り変わりの激しいライト級タイトル初防衛を成功させたいところだ。
対するは、絶対王者ジョゼ・アルドを破り、フェザー級王者に君臨するコナー・マクレガー。
タイトル獲得後、ライト級制覇の野望に燃えていたマクレガーだったが、前ライト級チャンピオンの怪我による影響で代打のネイト・ディアスと対戦するも、敗北を喫してしまう。
敗北したマクレガーはライト級王座をとるためにも、ネイトにリベンジを果たした。その間にライト級王座は既にアルバレスに渡っていた。マクレガーにとっては遠回りとなったライト級タイトルマッチ。2階級同時制覇に燃えていた。
コナー・マクレガー、2階級同時制覇の試合展開
前の手でパンチの距離をはかるマクレガーに対し、フェイントを交えながらフットワークを刻むアルバレス。
組付きや投げを得意とするアルバレスはグラップリングに持ち込みたいようだがマクレガーの懐は深い。
アルバレスが打撃を起点に距離を詰めようとするが、マクレガーは距離を完全に制し、アルバレスの打撃を見切っていた。
試合開始数分で早くもマクレガーの左ストレートがアルバレスの顔面を捉え、ダウン。すぐに立ち上がるアルバレスだが、その後もアルバレスの打ち終わりの隙を狙った打撃で数回アルバレスがダウンする場面が見られた。
距離を見切られていることを察知しているアルバレスに対し、落ちついた様子のマクレガー。この余裕は完全に自分が試合を制している実感からくるものなのか。
2Rも同様に距離を見切られ、組付きたいアルバレスの組みも許さず、徹底した対応でアルバレスのグラップリングを回避した。
マクレガーはとかく打撃に注目されがちだがディフェンスの能力も非常に高い。何よりバランスがよく、体幹も強い。
2R中盤、マクレガーの打撃でアルバレスの顔面にはダメージが伺える。アルバレスが放った右ストレートをマクレガーは鼻先寸前で躱し、左ストレートで顎を打ち抜き、さらに数発アルバレスの顔面にヒットさせてアルバレスをマットに沈めた。
アルバレスは最初の左ストレートで完全に意識が飛んでいた。こうしてマクレガーはUFC史上初となる2階級同時戴冠を成し遂げた。
コナー・マクレガーのスター性
アルバレスがここまで一方的に負けてしまうことは誰も予想していなかった。マクレガーが完全に試合を制していた。
アルバレスの打撃を鼻先でかわし、必要最小限の動きで対応していた。
リプレイ映像で見ればわかるがアルバレスの打撃を鼻先寸前で躱し、フィニッシュの打撃も全てアルバレスの顔面を捉えていた。
確実に自分の勝利を確信した戦い方を見せられた。アルバレスはもはやマクレガーの相手ではなかったと言えるだろう。マクレガー自身も試合後のインタビューで「俺のレベルでなかった」と語っている。
そして、得意のマクレガー節が炸裂し、観衆を賑わせた。マクレガーのスター性が人々の心をとらえた。
2本のベルトを手にしたマクレガーの満足な表情を見た時に彼ほどのスター性は格闘技に限らず他ジャンルにおいてもいないだろうと思わされた。
ジョゼ・アルド戦以降、急速にマクレガーを取り巻く環境が変わった。自身の手で全てを得て勝ち取ってきた男の本質に心奪われるのは当然なのかもしれない。
(文・Totty)