蹴り技の軸が安定するテコンドー「スローキック」の練習方法

テコンドーの試合には組手と型があります。

組手とは相手と対面し制限時間内に有効な部位に手技、足技を駆使して攻撃を行いポイントを競い合う競技です。

対して型とはひとりで行い、相手がいる事を想定して何もない空間に突き蹴り、受けを行います。

組手は速い動きが求められるのに対し型の動きは時に、速さだけではなくゆっくりとた動きを求められることもあります。

練習内容も組手の練習と型の練習は異なっていることが多いのですが、どちらにも効果のある練習方法があります。今回は「スローキック」という練習方法を紹介したいと思います。

テコンドーのスローキックとは

スローキックとはゆっくりとした動作で基本の蹴りを行う練習方法です。私自身が膝の半月板を悪くしたせいでミット蹴りの練習をやりすぎると、膝に負担がくるためこの練習を多く取り入れています。

やり方は基本の構えから前蹴り、横蹴り、回し蹴りの3つの蹴りを練習していきます。

初心者のうちはカウント3秒、5本行うことを目標にします。慣れてくると5秒カウントの10本行うこととをお勧めします。もちろんこれも両方の足で出来るのが望ましいです。

慣れてくると難易度の高い後ろ回し蹴り、回転横蹴りといった回転を伴う技でも可能になります。

スローキックの「前蹴り」練習方法

前蹴りは前屈立ちの状態から後ろの足を上げていき、逆足に体重を移動させます。

膝を胸に付けるくらい高く上げていき、息を吐きながら真っ直ぐ前に出し蹴りをしていきます。足の指付け根部分を相手に当てるイメージでおこないます。

膝が伸びきった状態で5秒カウントして元の構えにゆっくり戻すという動作です。この時蹴りを行う軌道と元に戻す軌道は同じ動きで行うのがポイントです。

呼吸方法も重要で息をゆっくり吐きながらおこないます。右足、左足両方の足で出来るようにしていきます。

スローキックの「横蹴り」練習方法

次に横蹴りです。前蹴りより難しく前屈立ちから後ろの足を上げていくのですが、この時身体の向きを逆にひねり、お尻を相手の方向に向けて膝にタメをつくります。

その状態から息を吐きながら真っ直ぐ相手にかかとを当てるイメージで蹴ります。蹴りに行く時にも元に戻す時にも膝を高く保ち、同じ軌道を通るようにします。

スローキックの「回し蹴り」練習方法

基本的な技の最後は回し蹴りです。前蹴りと似ているのですが足を上げて行く際に少し外側から膝を高く上げていきます。その後、腰をひねって膝を内側に入れて呼吸をゆっくりおこないながら膝を伸ばしていきます。これも起動は同じところを通ります。

スローキックの「後ろ回し蹴り」練習方法

ここからは、回転を伴う難易度の高い技になります。

最初の歩幅は前屈立ちより狭くL字のスタンスからスタートします。蹴る方の後ろ足のつま先を真横に向け、軸になる足のつま先を相手に向けた状態です。

後ろ回し蹴りは蹴る方の後ろ足を上げながら身体を一回転させ、蹴る目標の直前で足をとめて5秒カウント。その後短く息を吐きながら足を元の位置に戻します。

この蹴りだけは蹴る動作と元に戻す動作が異なり、全体の起動は円を描く軌道になります。

スローキックの「回転横蹴り」練習方法

回転横蹴りも後ろ回し蹴りに似ています。蹴る方の後ろ足を回転し目標を確認した後膝をたたんで息をゆっくり吐きながら蹴りを行い5秒カウント、その後短く息を吐きながら膝をたたむ反動で元の位置に戻します。蹴りの動作と元に戻す動作は同じ動きをします。

蹴り技の軸を安定させるスローキックの効果

スローキックの効果はインナーマッスルが鍛えられ軸が安定し、姿勢が崩れなくなり組手では技の正確性が上がります。

またテコンドーの型には足をゆっくり上げて蹴りをキープする動きがあるため、スローキックの練習が不可欠です。型の競技では技の美しさや柔軟性も必要になってきます。

スローキックは体幹と先程申した柔軟性が必要になってきますが最初のうちは低い位置でも構わないので確実に出来るようになってから徐々に高い位置を蹴る方法をお勧めいたします。

(文・マコ)