村田諒太復帰戦の同日、女子ボクシングの最高カード…もったいない!

前WBA世界ミドル級チャンピオンの村田諒太が2019年7月12日に大阪のエディオンアリーナ(大阪府立体育館)でタイトル奪回を目指して、ロブ・ブラント(アメリカ)とのリマッチに挑みます。

村田にとっては昨年10月にラスベガスで大差の判定負けをブラントに喫して以来の試合で、ロンドン五輪金メダリストの村田の修正能力の高さを知っているファンは試合を心待ちにしています。

と、ここで突然横槍が入ったのです。

女子ボクシング最高峰の対戦が同日に

横槍と言っても村田のリマッチを取りやめるという意味ではありません。同じ日に後楽園ホールで現在の日本女子ボクシングで考えられる最高のカードが世界タイトルマッチとして行われることになったのです。最強女王決定戦と言っても過言ではありません。

WBA世界フライ級王者の藤岡菜穂子に一階級下のWBO世界ライトフライ級王者天海ツナミが挑戦するのです。

なーんだ、ただの見世物に近い女子ボクシングなんて普通の人は興味ないだろう

と言うのは女子ボクシングの試合を見たことのない一昔前の人の話。今や女子ボクシングもしっかりと世間に認知され、ちゃんと世界の統括団体も機能しています。日本でも10年以上も前から日本ボクシングコミッションによって正式に認定されています。

井岡一翔がつい先日4階級制覇したときの新聞の見出しでは、日経や朝日、その他の一般紙も「男子では日本初の快挙」とありましたが、「男子では」とあるのは、藤岡が男女を通じて初の5階級制覇をしている選手だという、女子ボクシングに関する認知度の定着を表していると思います。

藤岡vsツナミを見たいボクシング通は多い

正直、話題性だけで言うと、43歳の藤岡と34歳のツナミの試合の方に興味があるという通のファンも少なくないのです。一般に女子のボクサーの年齢が高いのは、競技人口が少ない事と関係しているのは否定出来ませんが、43歳の藤岡は別格的存在で、年間最高選手の常連でした。昨年はツナミにこの栄誉を明け渡してしまいましたが、身体的衰えを全く感じさせません。

私自身もこの試合だけは後楽園ホールですので、どうしても生の目で見たいのですが、日にちがかぶるだけでなく、何と試合開始の時間まで同じ夜に行われるのでお手上げ状態です。

私の知り合いのボクシングファンは、試合は後楽園ホールの女子の一戦を見に行くが、村田とブラントの試合はテレビで生中継があるので、「後楽園ホールの試合を見ながら、スマホで村田の試合も見ようかな」と言っています。

試合日程を調整する仕組みがあれば

問題は日にちを一日でもずらすわけにいかなかったのか、という事ですが、プロレスやキックボクシングなどの格闘技の興行や、「笑点」始め、その他色んな人気のイベントが行われる後楽園ホールの予約競争は熾烈を極めており、プロモーターは相当前もってホールの予約を入れていたのです。まさか、同日に村田の試合が大阪で行われるなんて知る由もありません。

この様な現象は過去にも何度かありましたが、いずれも片方の試合は単なる普通の試合で、しかも、どちらかは昼間に行われることが多かったので、取材陣も昼間の試合が終わると、即座に夜の試合に駆けつけたりしておりました(各地の記者にカバーしてもらうこともあります)。

あるいは、どちらかの試合は結果だけでも済まされるレベルの試合なら(新人王戦の予選など)、関係者に結果だけを後で送って貰う事も出来ました。

今回はアンダーカードを見ると、後楽園ホールの試合のセミファイナルの8回戦(男子)に大橋ジムの無敗の平岡アンディが出ることになっております。

という事は、大阪のエディオンアリーナで村田の試合の前に行われる同じ大橋ジム所属でロンドン五輪の銅メダリスト清水聡のWBOアジアパシフィックスーパーフェザー級タイトルマッチが組まれていますが、トレーナー達は東京と大阪に分かれて面倒を見ることになります。といっても人員が足りないので試合に出ない選手が臨時のセコンドとしてコーナーに入る事は必至でしょう。

単純に考えて、「こんなもったいない事を!」と思ってしまいます。出来れば定期的に男女ボクシングのジム、プロモーターなどの関係者が集まって、試合の日程を定期的に調整してもたえたら有り難いです。