小学1年生で柔道を始め、中学、高校、大学、社会人と今までずっと柔道を続けてきました。
人口6000人の小さな町に住んでいて、小学1年生の時に町の柔道教室に入門しました。そこは指導者がボランティアで指導をしており、生徒は10人くらいだったと思います。
私は身体が小さく、運動も得意ではなく、泣き虫で格闘技には向かない子供でした。そんな中で2時間の稽古を週に2回程行っていました。夏は暑く、冬は寒い環境で痛いことが大嫌いな私は泣きながら練習していたのを覚えています。
高校柔道は強豪校で
泣き虫ではあったけれど、負けず嫌いで稽古を休むことはありませんでした。それでも戦績は6年間で10回勝てたかどうか、といったところでした。中学に入っても特に強くなることはなく、黒帯を取ることはできましたが、目立った結果を残すことはできませんでした。
高校でも柔道を続けることを決めていたので、このまま負けてばかりではいけないと思い意を決して練習が厳しいことで有名な高校に入学することにしました。
地元の連中には、どうせ逃げて帰ってくるだけだと言われていましたが、どうにかして一矢報いるために決心しました。そして、高校でようやく私の柔道人生に転機が訪れるのです。
努力次第で逆転を狙える絞め技
高校に入学、柔道部に入部し毎日厳しい稽古を重ねていきました。私の高校は週に2回、5、6限から強化指定部は部活ができる環境にあり、その日は計6時間と平日ではあり得ないくらいの練習時間でした。
そんな中で、身に付けた得意技は絞技です。身体能力も低く、センスもなかった私の唯一の強みは練習を休まずに根気よく続けること。絞技をひたすら反復練習しました。
絞技は寝技に分類される技でさらに絞技にも数種類もあり、臨機応変に使いこなせれば頼もしい武器になります。
絞技は道着の襟で相手の頸動脈を圧迫して極める技です。これはどれだけの体重差、実力差があっても大逆転を狙える技なのです。
さらに、寝技はセンス関係なく、努力次第でどんどん強くなることができます。それを先生にアドバイス頂き朝から晩まで絞技のことを考え、研究し、何千何万と反復し続けました。
ありとあらゆる状況に応じて何パターンも反復し形をつくることで、試合でもパターンにはめ込むことができるのです。
ガードされることを想定した絞め技
さらに私が強化したのは、絞め方よりも相手のガードを突破できる技術でした。
ガードされていたら基本的には諦めるのが一般的なのですが、私は絞技の勝率を上げるために総合格闘技やレスリングなどからヒントを得て、研究を重ねオリジナルの突破方も編み出しました。
そのおかげで、立技は全然強くなかったのですが、体重差があっても、ポイントでリードされて負けていても一発逆転で勝ち星を重ねていくことができました。
残り10秒で逆転した時もありますし、格上の相手に開始30秒で勝った時もあります。完全に死んでいた私の柔道に希望の光を与えてくれたのが、この絞技でした。
さらに、寝技に自信が持てるようになった相乗効果で立技でも勝てるようになってきてオールラウンダーの選手になることができました。それでもいざという時はやはり絞技に頼ります。
絞め技のバリエーションを反復練習する
絞技のポイントは相手が警戒する中でどれだけ瞬時に首を極めることが出来るかだと思います。
相手の警戒を色んな布石を置いて、沢山の選択肢を与えて反応を鈍らせる、フェイントから絞めるなど沢山あります。
もちろん、強引にガードをこじ開けて絞める方法もあります。1番はそれらをどのポジションからどのタイミングでどちらの手で絞めて等頭に入れておくことが重要です。
これも日頃の反復練習で培っていかなければならないと思います。その練習でも本番を想定して緊張感をもって、限られたチャンスをものにできる判断力を身に付けることです。そうすれば、自ずと結果はついてくると思います。
(文・すーさん)