青木真也vs長島自演乙雄一郎…空気を読まない?勝ちへのこだわり?

中学生でMMAを習い始めて数カ月、自信がなかなか持てなくて辞めようかなと考えてた頃でした。

ジムの会長から、「余ったから観に行って勉強してきなさい」とチケットを渡されました。

そのチケットは2010年大晦日さいたまスーパーアリーナで開催されたDynamite!!~勇気のチカラ2010~のチケットでした。

青木真也vs長島☆自演乙☆雄一郎

自分がDynamite!!で印象に残った試合は青木真也vs長島☆自演乙☆雄一郎の試合でした。

青木真也選手は寝技を武器に戦う柔道出身のMMAファイター。

対する相手はK-1 WORLD MAX2010FINALに出場した経歴のある自演乙☆雄一郎選手。長島選手は日本拳法を武器に戦うコスプレK-1ファイターです。

MMAとK-1の戦いということで、1RがK-1ルール、2RがMMAルールのMIXルールで試合で行われました。

青木真也はマッチメイク、ルールに不満?

その試合が決定する前に青木真也選手はその年の4月に当時UFCに次ぐ北米メジャー団体 Strike Foceのライト級王者ギルバート・メレンデス選手とのStrike Foceのベルトを懸けたタイトルマッチに挑み判定で敗れ、大晦日にDynamiteのリングでリベンジマッチに挑む予定でした。

しかし、Strike Foce側との交渉が上手くいかず、長島選手とのMIXルールでの試合になりました。

試合発表の会見での青木選手はマッチメイク、ルールに不満を持っていたのか相当フラストレーションが溜まっている感じに見えました。会見での青木選手は「1RはK-1ルールでいい」。「2RのMMAルールでは五体満足では帰さない」とコメント。

この試合の最大のポイントはK-1ルールで行われる1Rを青木選手がどの様に戦うのかでした。

青木選手は寝技主体のファイター。1RとはいえK-1ルール、立ち技だけでどう戦うのか?

1R、ドロップキック?空気を読まない青木真也

そしていざ、ゴング。1RのK-1ルール (K-1ルールは3分)が始まりました。

青木真也選手は予想通り?の空気の読まない戦い。徹底したクリンチ。さらには、格闘技の試合ではありえないドロップキックを連発!

ルール違反スレスレのタックル、ロープを掴んでのキック。上手く時間を稼ぎ、長島選手に有効打を当てさせず、あっという間に1Rが終了しました。

終了のゴングと同時に観客は異様な盛り上がりでした。

2R、いきなりのタックルに膝蹴りのカウンター炸裂

1Rを逃げ切り2RのMMAルール。青木真也選手絶対的有利。一方の長島選手は敗色濃厚となりました。

両選手の雰囲気は一目瞭然でした。多分会場の観客も、TVで観戦している人達も青木選手の勝利を確信していたと思います。

そして2Rのゴング (2Rは5分)。

青木選手がいきなりタックルでテイクダウンを仕掛けたところを、長島選手が狙ったかの様に膝蹴り!

それがカウンターでヒットした青木選手は倒れこみ長島選手がすかさずパウンド。そしてレフェリーストップ。あっという間の結末でした。

正直何が起こったのか分かりませんでした。

試合時間は2R0:04秒で決着。

勝利は長島選手。見事に下馬評をひっくり返した試合でした。

格闘技に絶対はない

この試合を観て次の試合が頭に入らないくらいの衝撃を受けました。

絶対的有利のはずだった青木真也選手の敗北。そして絶対的不利のはずの長島選手の勝利。

後に長島選手はこの膝蹴りを「狙っていた」とコメントしていました。

この試合を観戦したことで、格闘技に対して、MMAに対しての自分の取り組みが変わりました。

どんな状況でも勝てるチャンスは転がっている。「絶対って言葉は格闘技には無い」と思うようになりました。

実際、この間までグラップリングのスパーリングで極められまくっていた人達を今度は逆に極めれるようになり、極める度に自信が持てるようになりました。

青木真也の勝ちへのこだわり

しかし、負けた青木選手にも学ぶところはありました。

1Rを観て、空気を読まない戦いは勝ちたい気持ちが凄く表れ、心の芯がブレてないと思いました。凄く自分の心がしっかりして周りに惑わされない戦いをする選手だと思います。

今でもこの試合で青木選手をバッシングする方がいると思いますが、青木選手ほど状況判断が出来る人は少ないと思いますし、2010年からの10年間、第一線で活躍してる選手も青木選手ぐらいです。

自分に自信を見失いそうになったときにこの試合を思いだし当時の心境を再確認し、また一歩成長できる、そんな試合でした。今でも青木選手、長島選手は自分が尊敬するプロの格闘家です。

(文・ララバイ)

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