32歳でボクシングプロテスト挑戦!スパーリングのスタミナをつける方法

32歳でボクシングのプロテストに挑戦しました。

プロテスト合格に必要なのは、基本に忠実な技とそれを出し続けられるスタミナだと考えました。

プロテストでは圧倒的なスピードもパンチ力は求められません。派手なアッパーも、フックも不要です。正確なワンツーを2ラウンド絶え間なく出し続け、ガードを上げる。逆に、変なことをやろうとするとレフェリーに止められることもあります。

スタミナには正直自信はありました。社会人になって運動という運動こそしていませんが、自分で筋トレをしていましたし、何よりそれまで2年間週1程度ではありますが、ボクシングジムに通っていたからです。

しかし、実際に取り組んでみるとそう簡単ではありませんでした。

スパーリングのスタミナは別物?

スタミナには自信があるつもりでしたが、いざスパーリングとなると話が違ってきます。

ボクシングジムの会長から、プロテスト合格を目指せと言われた後初めてのスパーリング。マススパーの経験はありましたが、ガチのスパーリングはこの時が初めてでした。

自分が理想とした姿とはまるで逆の無残な動きをしているんだろうという事が、自分でも分かりました。

マウスピースをするといつもの倍苦しいし、パンチも大振りで当たらない。割と得意だったステップもなくなり、ジャンプして相手にパンチを当てようとしてしまう始末。

正直自惚れてました。周りの練習生からは、自分なら絶対受かると言われてましたし、何よりそれを一番言ってくれたのは会長でした。

それなのに初めてのスパーリングの結果は散々。その時相手は元プロ選手でしたが、選手時代はかなり前。「俺ってこんな弱いんだ」と結構落胆しましたね。足もつっちゃいましたし…。

しかし、課題は分かりやすかったです。

スタミナとスパーリングの経験。これがあればなんとかなる。これを克服すれば、合格の可能性はぐっと高くなると思いました。

メイウェザーを参考に本番を想定した練習

ボクシングの基本的な練習と言えば、アマもプロも世界王者もそこまで大きな差はないと思います。ロープ(縄跳び)、シャドー、サンドバッグ、ミット打ち、スパーリングが主です。

スタミナ強化と、本番に近い状態で練習したいと思い、最初に行うロープの段階からマウスピースをつけて最後まで練習しました。

休みなしで5ラウンド、途中のブレイク40秒を入れて17分40秒ぶっとおしです。メイウェザーなどの動画を見て、真似したりもしました。

ジャブ・ワンツーのみを徹底的に練習

シャドーは、基本のジャブ・ワンツーのみ。アッパー、フックなどはプロテストが終わるまで打たないと決めました。

ガードを常に上げ、とにかくジャブ、ワンツー。上体を左右に揺らし、常に相手を意識して行います。

サンドバッグでもとにかくジャブ、ワンツーの連打。この時「シュ!」など声は出さず、常にポーカーフェイスで打ち続けます。

1つのサンドバッグを2人でラッシュするのもスタミナが付きますね。何より自分のペースで出来ないことが、自身の心拍数を爆上げしてくれます。

ミット打ちも同様です。トレーナーの方がジャブ、ワンツーを徹底的に打たせてくれました。

スパーリングのスタミナをつけるには?

そして2日に1回は必ずスパーリング。なるべく多くの練習生とスパーを行いました。

どんなにロープ、シャドー、バッグ打ち、ミット打ちをしても、スパーリングは別物。初めてのスパーリング程バテバテになることはありませんでしたが、プロ相手だとどうにもうまくいきません。

それで手が出なくなり、打たれて怒られる始末。会社でも怒られ、ジムで怒られ、ちょっと嫌になるときもありましたが、必死で食らいついていきました。

スパーリングはとにかく回数。やってやってやりまくり、普通の練習生相手だと圧倒できるようになりました。

時間があれば走った

ジム外でもスタミナ強化のために走ります。走るスタミナとボクシングのスタミナは完全にイコールではありません。

走る必要などないという選手もいるほどです。しかし、それでも出来ることは全部やろうという思いで、時間があれば走っていました。

2ラウンド全力で動くための階段ダッシュ

特に力を入れたのが階段ダッシュです。

ボクシングのプロテストは2ラウンド。つまり360秒。最低その秒数ダッシュする事が出来れば万事OKなわけなので、長時間のランニングは必要ないと考えました。

階段ダッシュだと平地を走る以上にスタミナも付きますし、腿・脹脛の強化もしやすくなります。ジムでの練習を思い浮かべながらダッシュしていました。

逆にジムでつらい時は、階段ダッシュの事を思い出して、「あんだけやってるんだからやれる!」と自己暗示をかけたりしていました。

走ったからと言って強くなるわけではないです。そうであれば、長距離走選手は皆ボクシングが出来ることになってしまいます。

結論、ボクシングのスタミナはボクシングでつけるしかありません。

では、なぜ走るのか。それは、「俺はこれだけ走ったんだ!」という精神的支柱を持てることが一番大きいと思います。精神的なスタミナをつけると言ってもいいかもしれません。

プロテストに向けた練習の成果は?

多少の減量もしていたので、体は目に見えて変わりました。会社の同僚にはやつれているように見えたみたいですが、腹筋は6つに割れ、細かった脹脛は大きく膨れてくれました。

元々細身だったのでかなり嬉しかったです。何より大好きなボクサーの体になれたことに日々喜びを感じていました。

しかも体脂肪率は人生初の一桁台、9%。数字として表れると、かなり嬉しいものがありました。

プロ相手にスパーをしていたので、通常の練習生相手のマススパーだとかなり余裕をもって出来るようになっていました。

2ラウンドのスパーリングも自分のペースでいければスタミナは十分もちます。今までやってきた事の自信がスタミナ強化につながりました。

経験して良かったプロテスト

そして、運命のプロテスト当日。結果からお伝えすると、落ちてしまいました。

言い訳するわけではないですが、3日前にスパーリングで肋骨を折ってしまい、思うような動きが出来ませんでした。相手の右をもらってしまって、ダウンこそしませんでしたが腰砕けのような形になり、それが採点に響いたのだと思います。

あと何より経験不足。初めての後楽園ホール、初めての完全に初対面の選手との手合わせ。緊張のためワンツーも体が流れるような体勢で打っていました。今でもたまにその時撮ってもらった動画を見ることがあるんですが、恥ずかしくなってきます。

会社には、一度だけ受けさせてくれと約束していたので、もうそれっきり受けることはありませんでした。

残業をしなければいけない日も他の人に任せて自分はジムに行っていたので、さすがに1度だけにしておこうと思っていたのです。

今でもボクシングは続けています。もちろん、プロテストを受ける時のような激しい練習はしてないですし、週6で行くようなこともありません。スタミナの低下も感じられます。

それでも、スタミナは通常の33歳男性より平均値は超えていると思っています。自分の中ではプロテスト受験前の身体が自分の中での基準になっており、そこからあまり自分の体型を崩したくないと思っているのです。ですので、ランニング、筋トレは欠かしません。

限界まで自分を追い込んだ練習が、今の意識につながっているのだと思います。仕事をしながら、もうあそこまで体を追い込むことはないでしょう。

しかし、常に自分を高いレベルで鍛え続けるという意識を持ち続けることが出来ているのは、あのプロテストに向けた練習があったからです。これこそが最大の練習の成果だと思っています。

(文・Keisuke)