今年の8月、RIZIN18でRIZINバンタム級絶対王者と呼ばれた堀口恭二選手を、わずか1分数秒でマットに沈めた朝倉海選手。
その後すぐに両者の再戦が大晦日に組まれ、大注目の好カードに向けて日本格闘技界が盛り上がっていくかのように思われましたが、堀口選手の怪我により再戦が消滅しました。
堀口選手、佐々木憂流迦選手と、強豪を倒してきただけに、海選手のモチベーションの低下と、代わりに誰が海選手と戦うのか、というポイントが注目され、ついに決まったのがマネル・ケイプ選手とのバンタム級王者決定戦でした。
試合結果は…マネル・ケイプのTKO勝利!
最初に試合結果をお伝えすると、マネル・ケイプの2R、TKO勝利となった。
試合展開は次のとおり。
1R、ケイプの打撃にあわやの場面も!
序盤は距離の探り合い、中盤以降は激しい殴り合いに!
当たったら倒れるパンチが交差する中、両者ともにクリーンヒットなし。
終盤、ケイプのワンツーがヒット! 連打をたたみかけられ、あわやの場面もあったが朝倉海はこれをしのぐ。
1Rはケイプの打撃のヒット率が高い印象だ。
2R、ケイプがパウンドの猛攻でストップ!
開始早々に、ケイプの右パンチがヒット。倒れた朝倉海にケイプがパウンドのラッシュ。
スタンドに戻したい朝倉海だが、ケイプのグランドコントロールは適切で、最後はバックサイドからのパウンド連打をレフリーがストップ。
マネル・ケイプがTKO勝利をおさめた。
ここからは試合前に書かれた試合展開予想になります。こちらをご覧いただくことで朝倉海vsマネル・ケイプ戦の背景を知っていただくことができます。
2018年大晦日以来の再戦となる朝倉海vsマネル・ケイプ
両者は実は1度2018年に行われたRIZN10で戦っており、大晦日のカードは再戦という形になります。
その時の試合展開は、1ラウンドでケイプ選手のフックが海選手の顎にヒットし、そこから追撃のラッシュで追い込んだものの凌がれました。
続く2ラウンドでは逆に海選手がテイクダウンからグランドで主導権を握り、ポイントをイーブンに戻したかのように思われました。
そして最終の3ラウンドでは、タックルのフェイントからのパンチを見舞う海選手とミドルキックや左右のフックで応戦するケイプ選手の、一進一退の攻防が繰り広げられました。
運命の判定は2-1のスプリット判定で海選手の勝利となりましたが、この判定にケイプ選手は納得できず、試合後の会見でも判定への不満を語っていました。
RIZIN18で海選手が堀口選手に勝った際も、「堀口に勝った朝倉海に、俺は勝ったことがある。だからチャンピオンは俺だ!」と発言しており、ケイプ選手の中で海選手との試合の勝者は、自分になっているようです。
そういった意味でも、今回の再戦は完全決着をつける注目カードと言えます。
堀口恭二を追い詰めたマネル・ケイプ
ケイプ選手はアンゴラ出身の格闘家で、ボクシングをバックボーンに持っています。
父親がボクサーだったこともあり、4才の頃からボクシングを始めていたそうです。
RIZIN参戦以前は全くの無名選手だったケイプ選手が、その名を世界に知らしめたのは、なんといっても2017年の年末に開催されたRIZINバンタム級トーナメントでの2戦ではないでしょうか。
当初無名だったものの、何か危険なオーラを漂わせるケイプ選手は、元UFCのトップランカーであった、イアン・マッコール選手との試合が、トーナメントの初戦に組まれました。
前日の記者会見からマッコール選手へ挑発を重ね、乱闘騷ぎになるほど揉めた両者ですが、下馬評ではマッコール選手完全有利で、ケイプ選手を推すものはほとんどいませんでした。
ケイプ選手はパワーファイターで、スタミナがないだろうと思われていた為、テクニックで勝るマッコール選手には勝てないと予想されていました。
それよりも、準決勝で当たる予定の堀口選手・マッコール選手の元UFCトップランカー対決に注目が集まっていました。
しかし試合は、ケイプ選手の膝蹴りにより額をカットしたマッコール選手が、流血によるドクターストップがかかり、これによりケイプ選手のテクニカルノックアウト勝利となりました。
前日の乱闘騒ぎも、マッコール選手の頭に血を登らせる作戦ではなかったでしょうか。
大番狂わせを演じたケイプ選手は、勢いをそのままに次戦で堀口選手と戦い、またもや得意のパンチから瞼をカットさせ、堀口選手を追い詰めました。
バッティングによるアクシデントで一度ブレイクを挟んだ後に、ケイプ選手はパンチに合わせたカウンターのタックルをくらってしまい、グランドの展開から肩固めで一本負けを喫してしまいました。
しかしながら、RIZIN18で堀口選手が海選手に負けるまでは、堀口選手を最も苦しめたファイターとして、世界から注目される存在となりました。
2019年大晦日の朝倉海vsマネル・ケイプはどうなる?
2019年大晦日での海選手との試合は、やはりスタンドでの打撃が、勝敗を左右するポイントになるかと予想しています。
ケイプ選手はいかにして海選手のパンチをかいくぐり自分の得意な展開に持っていくか。
海選手の打撃は、元WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志選手の下で練習を積んだことで急激な成長を見せ、威力・精度共に、過去に対戦した頃からは比べ物にならない程進歩しています。
ケイプ選手の海選手に対するイメージが、昔のまま止まっているとすれば、危ない展開が待っているかもしれません。
対する海選手は、テイクダウンからグランドの展開に持ち込むことは可能だとは思いますが、「今回の試合で完全に相手を黙らせる」と言っているように、打撃によるノックアウト勝利にこだわっていくのではないでしょうか。
そしてもう一つカギを握るのは、試合までの挑発、舌戦です。
ケイプ選手はカード発表会見で、海選手が言葉を発する度に横から口を出し、海選手を挑発していました。
こういった一見ルール違反的な行為も、実はケイプ選手なりの盛り上げ方だと思っています。そしてその挑発には、相手のリズムを崩す効果もあると思います。
怒っている相手ほど、攻撃が読みやすいことはないからです。
海選手がケイプ選手の挑発に乗るかどうか、前日の公開計量からすでに勝負は始まっているといえるでしょう。