2011年UFCヘビー級ワンマッチ。アリスター・オーフレイムvsブロック・レスナーの1戦はUFC史上最大のメガトンマッチとなった。
どっちが強い?K-1王者とプロレスラー
MMAファイター史上初のK-1チャンピオンに輝いたアリスターはSTRIKE FORCEでその強さを発揮していたが同年にSTRIKE FORCEがUFCと統合したことを受け、UFCに参戦。
初戦の相手は元UFCヘビー級王者のブロック・レスナー。レスナーのバックボーンはプロレス。プロレスデビューから5カ月でWWE王座を獲得するという当時史上最年少記録を打ち出した。
その後、MMA参戦以降もキャリア4戦というスピードでUFCヘビー級王者に君臨した。レスナーの強さは持ち前のレスリング技術と規格外の破壊力を持つグラウンドからの打撃。さらにサブミッションの技術も併せ持つ。
前年にUFC王座を失うも再起をかけ、最強の外敵アリスターに勝利し、ヘビー級トップ前線に返り咲きたいところだ。
アリスター・オーフレイムvsブロック・レスナーの試合展開
2人の怪物が向き合った瞬間、会場は大歓声に包まれた。
中腰でレスナーのタックルを警戒するアリスター・オーフレイム。ブロック・レスナーはローを何発か見舞っていく。レスナーの素早いジャブがアリスターの額をかすめた。
レスナーも見かけによらず動きが機敏である。アリスターは打たれ強くはないので打撃が入れば十分に倒れることもある。
両者打撃の間合いを図るようにフェイントを入れながら相手の様子を伺っている。アリスターがケージを背にした瞬間にレスナーが片足タックルに入る。レスナーのタックルを警戒していたアリスターは足を外した。
アリスターの眉間から出血が見られる。打撃の距離へ持っていこうとアリスターがじりじりとプレッシャーをかけていく。アリスターも懐がかなり深い。
アリスターがレスナーに組付き、強烈な膝蹴りをボディへ見舞った。続けて2発目も鋭い膝がボディへ直撃する。嫌がる様子のレスナーだがアリスターは力強い組付でエスケープさせない。
なんとか外したレスナーだが、再びアリスターが右、左と強烈な膝蹴りをボディに突き刺す。腰が引けているレスナーは完全にボディへの攻撃を嫌がっている。
ボディへ意識を集中させたところで顔面へのアッパーを叩き込む。真っ赤になるレスナーのボディにミドルキックがヒット。この1発でボディを押さえながらレスナーが膝をついて倒れた。
アリスターの鉄槌に防戦一方のレスナー。レフェリーが試合を止めた。試合後、レスナーは自身の引退を示唆し、その場を後にした。
K-1で磨いたアリスターの打撃力
アリスター・オーフレイムvsブロック・レスナーの1戦はアリスターの持ち味が十分に目立った試合だった。
相性で言えば打撃戦ではアリスターに、グラウンドの展開ではレスナーに有利であった。互いに相手の強みに対する弱い部分はあったものの、打撃に特化したアリスターの方が総合力で上回っていた。
レスナーもブランクがあったなど囁かれているが、それ以上にK-1で磨いたアリスターの打撃力の進化が背景にあった。
UFCヘビー級王者としてランディ・クートゥアらと凌ぎを削ってきたレスナー。UFCヘビー級のカリスマ的存在であっただけに彼を支持するファンも多い。見た目もザ・アメリカンファイターそのもので、これほどまでに米国感が出ている男もいない。
レスナーの2連敗からUFCヘビー級の新たな時代の扉が開いた。勢いをより一層強めるアリスターとUFCヘビー級のアメリカンスター、レスナーの1戦はUFCらしいアメリカンドリームの試合を体現したビッグマッチであった。
(文・Totty)