中学時代、近所にあった防具付空手の道場に通っていました。
道場には小中学生が数名通っており、競技に勝ことを第一として練習に励んでいました。
防具付空手に求められる正確性と威力
防具付空手の試合は、顔面と胴体に防具を付け、防具を付けているところに打撃を当て、そのポイントを競うというルールになっています。
ポイント競技という性格上、技の正確性が必要になりますが、コンタクト競技という側面もあり、正確性に次いでその威力も重要になります。
正確な技に威力が伴い、相手にダメージが認められた場合には、1本勝ちとなり試合が終了します。
しかし、なかなか1本勝ちを狙う人は少なく、確実にポイントを取りに行ってその優劣で勝敗が決まるのが通常でした。
K-1を見て、倒して勝ちたい!と思った
1990年代はK-1流行の真っただ中であり、ヘビー級同士が倒しあうとてもインパクトのある試合がテレビ放映されていました。
試合のほとんどがKO決着であり、テレビ画面からもその迫力は十分に伝わってきました。防具付空手を行う、当時中学生の自分は、大きく影響を受けました。
防具の上からでも、同じように倒すことは出来ないか。競技に勝つには、威力よりも打撃の正確性が重要になるが、出来れば、倒して勝ちたい。
という考えを持つようになりました。
小柄な体格でも相手を倒せる?
中学生は、第二次成長を迎える時期であり、成長が遅いか早いかで体格差が大きくなる年代です。
試合会場で、同年代が並ぶと体格差がとても分かります。周りより成長のやや遅かった自分は、身長が頭一つ小さく、体格も一回り小さめでした。
試合では、体格で押されることが多く、ポイントを重ねることで比較的勝つことは出来ました。しかし、倒して勝つということへの憧れを常に強く持っていました。
K-1マイケルトンプソンの後ろ回し蹴りに挑戦
K-1の試合の中で、マイケルトンプソンの後ろ回し蹴りの威力とスピードにとても憧れました。
ヘビー級の中では、そこまで大きい方ではないのですが、後ろ回し蹴り一撃で、試合をひっくり返すその威力に衝撃をうけました。
まさに、一撃必殺を狙える技として、衝撃的でした。打ち手の体格が小さくても、相手に大きなダメージを与える十分な可能性があり、自分もこの技を使いこなしたいという考えました。
後ろ回し蹴りの練習方法
はじめは、憧れの技として練習をスタートさせました。
練習するには、初めから、サンドバックのような重い物を蹴るのではなく、鏡の前で形をマネすることから始めます。
次に、テコンドーで使われるようなキックターゲットを持ってもらい練習します。一人で練習するには、天井からひもを吊るし、先端にボールを縛り付け、それを蹴る練習もしました。
ビデオで、実際に蹴っているところを録画し、見返すのも効果がありました。鏡だけでは、見ることができる箇所が限られているので、ビデオでは思わぬ動きをしている自分に付くことが出来ました。
防具付空手の試合でも使える後ろ回し蹴り
試合で後ろ回し蹴りを使うときは、遠距離からいきなり狙いにいってはいけません。
必ずフェイントをいれてから出すことが大切で、そのパターンを何種類か持っていることが重要です。
近距離でも、意外とあたるのがこの技です。この場合は、フェイントより、スピードと思いっきりの良さが重要になります。
試合でもよく当たった後ろ回し蹴り
当時の防具付空手の試合では、この技を使う選手はまだ少なかったように思います。ほとんどの選手は、突きを警戒しているので、意外と当たるという印象です。
さらに上段への蹴りは、2ポイントになるのでとても有効でした。リーチを稼ぐことも出来るため、身長の小さい自分でも、大きい人に十分対抗できました。
なかなか、倒すことはできませんでしたが、試合を重ねるなかで自分の得意技になっていきました。
小さい人の方が後ろ回し蹴りに向いている
自分の感覚では、体の大きいひとより、小さい人のほうがこの技は向いていると思います。
大きい人が使うとモーションが大きくなり、かわされて懐に飛び込まれやすく、スキが出来ることが多くなります。
リーチ差を埋める意味でも、小さい人には有利になります。
後ろ回し蹴りをマスターするには、練習だけではなく、試合で使い、トライ&エラーを繰り返していくなかで技を洗練されていく必要があります。それをさせる原動力になるものは、やはり絶対モノにしたいという強い意思かと思います。
(文・benjamin)