2021年12月4日に行われたK-1WGPスーパーウェルター級タイトルマッチ。
木村フィリップミノルvs和島大海。
両者の対戦は過去2度に渡り、行われた。何れも木村がKOで和島を下している。和島にとっては2度も敗れている強敵であり3度目の敗北は何としてでも阻止したい。
木村はこの試合を自身のK-1での最後の試合と宣言しており、和島は屈辱の2敗をしている相手に勝ち逃げされぬよう執念のリベンジに燃えていた。
木村フィリップミノルvs和島大海の試合展開
1R青いグローブの和島がサウスポーから左の蹴りを木村の腹部へ何発も見舞っていく。木村も自身のパンチの距離を作る為に前に出ていく。
和島が上手く蹴りからの試合を組み立て木村のパンチのペースになる事を阻止しているようだ。特に和島の左のミドルキックはリーチのある蹴りでコツコツと木村を削っていく。
木村が和島のボディ、頭部へフックを見舞っていくが和島はガードを上げ、しっかりとディフェンスしている。和島が木村の得意なボクシングのタイミングを作らせない試合運びで1Rが終了した。
2R、和島が引き続き蹴りを見舞っていく。前蹴り、インローを放っていく和島。木村の前足の左内腿は赤くなる。木村が一瞬のタイミングでフックを和島に見舞うもクリーンヒットまでには至らない。
和島の前蹴りに合わせた遠い距離での右ストレートを放つが当てる事ができない木村。木村のボクシングの間合いで連打を打たれるも和島もボクシングで応戦。以前までの和島とは違い、木村のボクシングの圧力には臆している様子はない。
和島得意の奥足へのローキックも見られる。木村はパンチを狙っていくが、それでも前に出続ける和島。木村の打撃をもらってはいるがバックステップで攻撃を逃しているようだ。
2R残り時間僅かのところで和島の左のボディへの膝が木村に入ると後退し嫌がり組みつく木村。ラウンド終了のゴングが鳴らされると、コーナーにもたれるようにする和島。木村の顔にも余裕がなく、両者かなり消耗したラウンドになった。
大歓声の中、最終ラウンドに突入。木村の赤く染まる前足にインローを合わせる和島。
和島の徹底したボディへの蹴りが木村を削っていくと再び木村のクリンチが目立つ。
しかし、木村のパンチもまだ死んでいない。和島が遠い距離での蹴りに対し右フックを合わせると会場が沸く。しかしそれでも前に出続けて膝蹴りを見舞う和島に度重なるクリンチをした木村はイエローカードが与えられる。
この残り時間僅かでの減点1は木村にとってはかなり不利となる。ロープを背にした木村に和島が左ミドルキックを見舞うと木村の脇腹に直撃し、和島にもたれかかり木村はダウン。
ダメージというよりも疲労困憊の様子の木村。立ち上がるが直ぐにしゃがみ込んでしまいレフェリーの10カウントを超えたところで試合が決着した。
木村フィリップミノルの次ステージは?
3R残り僅かの場面。木村が10カウントで立てなかった時の表情はかつて彼自身がスランプに陥って負け続けていた表情を彷彿とさせた。いや、イエローカードを提示された時点で彼の表情は既に燃え尽きていたようにも見えた。
結果はどうあれ今回の試合で彼のK-1での試合は最後となった。無言のまま、疲労を顔に浮かべリングを去る木村。ここ数年の木村の試合を知る多くの視聴者が木村のこのような敗北を予想はしていなかった筈だ。
勿論和島の徹底したゲームプランで削られた木村ではあるが、ここ数年の木村には確かに危ない場面は何度もあった。しかし、勝利への闘志で何度も逆転してきた。今回の木村の目にはいつものような闘志に燃えたものが見えなかった。それは既に次のステージへ目をむけているからなのか?
今回の敗北は次ステージへのネガティブな要因と彼自身が試合後に発言していることから、彼がまだ格闘技に携わることは確かなようだ。
(文・Totty2)