社会人で見たK-1平本蓮のゲーオ・ウィラサクレック戦…挑戦する勇気

当時社会人3年目になろうとしていた時期で、何も変わらない日常に退屈を感じていた。

仕事のストレス発散のためにキックボクシングのフィットネスに通いはじめ、1年半が経とうとしていた。

キックボクシングをはじめたあたりからK-1がまた再加熱していることを知り、何度か大会を観に行った。

昔の格闘技観戦が好きだった自分を取り戻したかのように夢中になった。そんな中、観戦した試合で私に挑戦することの勇気を与えてくれた試合を紹介したい。

平本蓮vsゲーオ・ウィラサクレック

2018年4月に行われた平本蓮vsゲーオ・ウィラサクレックのスーパーファイトでの一戦。

階級はスーパーライト級に相当する-65kgで、次のようなK-1ルールだった。

  • 3分3R 延長あり 引き分けなし
  • 1R中3回のダウンでKO負けとなる
  • 試合決着はKO・TKO・レフェリーストップ・ドクターストップ・判定による
  • 主な有効技はパンチ、キック、膝蹴り

前評判では不利と言われた平本蓮

平本蓮は2014年に高校生日本一を決めるK-1甲子園にて若干高校1年生ながら優勝を果たし、その時点で19歳になっていた若手ファイター。

そんな彼に立ちはだかったのが、日本人キラーと謳われていたゲーオ・ウィラサクレックだ。

ゲーオ・ウィラサクレックはK-1スーパーライト級のチャンピオンに君臨し、平本にとって過去最大の敵だった。

試合の見どころはムエタイ最強のゲーオにどこまで平本がやれるか。下馬評ではゲーオ完全有利、平本の勝利を予想する者は少なかった。

1R、平本がゲーオとボクシングで対等の勝負

開始早々ゲーオが左ハイキックを仕掛けた、ゲーオの威嚇に平本が臆している様子はなかった。

圧力をかけ、じりじりと前に出てくるゲーオだが平本もその圧力に押されるどころか平本は蹴られたら蹴り返す。

1R開始1分経過あたりでゲーオが前に出てこなくなった。むしろ平本が詰めていく場面が多くなった。

そして1R終了10秒前、互いのパンチが交錯しあう。平本はゲーオとボクシングで対等に戦えている。

2R、平本がゲーオからダウンを奪う!

つづく2Rは、互いに距離を見つつ相手の隙を伺いながら攻撃を仕掛ける。

1分半経過、試合が動く。平本がじりじりボクシングで詰めてきた。平本の拳に迷いはない。

両者激しい撃ち合いになり、近距離でのボクシングが繰り広げられる。

カウンターを狙うゲーオに合わせた平本の左フックがゲーオの顎を捉え、完全に顎が上がったゲーオにさらに右フックを食らわせると意識が飛んだゲーオがマットに沈んだ。

ゲーオが面食らった様子で立ち上がる。ダメージがあるゲーオに対し、平本は左右のフックを見舞い、ゲーオが2度目のダウン。

フラフラで立ち上がるも、ここでレフェリーが試合を中断! 下馬評、平本不利を覆した衝撃的な一戦となった。

挑戦する勇気…海外転職のきっかけに

その試合で私は挑戦することへの勇気を教えられた。

ゲーオ・ウィラサクレックが勝つことを私を含めた大半の人が予想していた。

勝利後の平本は安堵の表情を浮かべ、天井を見ながらリングに寝転がっていた。

相当の恐怖、それに挑戦する勇気があったのだろう。若干19歳の青年の飛躍が幕を開けたように見えた。

私は物事はやってみないとわからないものだと痛感した。平凡な社会人生活に人生の楽しみを感じられなくなっていた私はその時、若いからこそ失敗恐れずに挑戦したいと思った。

私にとっての挑戦、それは海外で働くことだった。そして現在、私は海外で働いている。

試合観戦数カ月後に海外に転職をした。日々、失敗の連続だが何かを吸収できているのも感じられる。

日本にいた時は感じたことがない日々のワクワクがここにはある。平本も同様にあの試合後、Kー1から離れ、主戦場を変えた。彼の今後の展望にも期待を寄せている。

(文・Totty)

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