RIZIN16バンダム級キックボクシングルールで行われた中村寛vs一刀の試合について紹介したい。
日本拳法仕込みの破壊力、中村寛
関西キックボクシングでプロデビューして2年弱の若干22歳の新生、中村寛。
DEEPKICKの60kg級の王者に輝き、日本拳法仕込みの破壊力抜群の打撃でこれまでのところ7戦全勝、さらにその全てをKO勝利で収めている。
その野生的ファイトスタイルから生物的な圧倒的強さも感じさせる。対するは元RISE王者にも輝いたことのある一刀。この男もまた破壊力のある打撃を持ち、撃ち合いにおいても好戦的な試合展開に定評がある。KO必死の両者の対決に注目が集まった。
中村寛vs一刀
ゴング開始とともに距離を詰めてきた中村寛。トリッキーな動きで相手を挑発する。かつての須藤元気と山本KIDを足して2で割ったような印象だ。
ガードを下げてノーガードで相手を挑発する中村に対し、冷静に様子を伺う一刀。距離を縮めた中村がフックで一刀の顔面を狙いにきた。
一刀もステップワークで回避して打撃を返す。両者どちらかが先に当たれば倒れる危険な攻防だ。徐々に中村が詰めていく場面が見られる。中村は日本拳法独特のノーモーションの踏み込みからスピードの乗ったフックを見舞っていく。
一刀もパンチを返すが中村は動体視力にも優れ紙一重でそれを躱す。パンチだけでなくハイキックも見舞う。こちらもかなりのスピードがある。
残り時間1分に差し掛かったところで中村の左ストレートが一刀の顔面を捉えた。ここからやや動きが鈍くなった一刀に対し、左ストレートからさらに右フックも当てていく。
ぐらつく一刀の顔面へと大振りのフックを放ち、ついにダウンを奪った中村。立ち上がった一刀に飛び膝を見舞ったところで1R終了のゴングが鳴った。中村の打撃の殺傷力、身体能力の高さが際立ったラウンドであった。
2R開始とともにスピードのあるハイキックからスーパーマンパンチで距離を縮めた中村。さらに左ストレートが一刀の顔面を捉えて足元がふらつく。
コーナーへと後退した一刀の顔面が下がったところに中村のハイキックが顎を捉えた。モロにもらった一刀は腰から崩れ落ち、完全に失神。またもやKOで相手を沈めた中村。これでプロ成績8戦全KOとなった。
RIZINキックボクシングに新たに危険すぎる格闘家がまた現れた。
RIZINキックボクシングで見せた中村寛の強さ
生物的に強い、久々に危険な格闘家が軽量級に現れた。あの挑発的な姿勢とギラギラした目は神の子山本KIDの再来のようにも思える。
中村寛のRIZIN登場はかつて山本KIDがK-1初参戦で村浜をKOで沈めた時のような衝撃に近いものがあった。今後彼が日本軽量級キックボクシングにどう絡んでくるのかが非常に気になる。
RIZINでのキックの活躍が今後も発揮されれば神童那須川天心との対戦もあり得る。KO率100%を誇る中村とのマッチメイクには妄想が広がる。
かつて天心を最も追い詰めたロッタンもまた強引なプレッシャー、インボクシング、破壊力抜群の打撃を武器とした。中村寛は将来天心の脅威になる気さえもする。天心との相性を考えると、中村はかなり有利なようにも見える。
ただ、中村の試合決着はいずれも短期決着の為、スタミナ面に関しては未知数だ。今後のマッチメイク次第で彼の立ち位置が明確になっていくであろう。MMAでも通用するジャンルを超えた強さを持った中村寛の動向に注目したい。
(文・Totty)