ジュニア空手で勝つ条件は?大技よりも重要な攻撃数、一種類の技を磨くこと

小学1年のときに始めた空手で、初試合の時たまたま上段回し蹴りを決めて勝利しました。

しかしそれ以降試合で上段回し蹴りが決まらず勝てない日々が続きました。

空手の先生と一緒に戦略を立てながら練習を続けていく内に、勝つために必要な技と考え方を身に着けることができました。

今では空手の指導者になり、ジュニアの選手に試合で有効な技を教えています。

最初に注目したのは大技「胴回し回転蹴り」だった

勝てない日々に苛立ちを覚える中、必殺技が欲しいと思いました。

それは胴回し回転蹴りです。あの那須川天心選手の得意技ですね。今ではジュニア空手では当たり前のように見る技ですが、以前はあまり使う選手はいませんでした。

使う選手がほとんどいない、最先端の技、これだ!と思い練習して実戦で使えるまでになりました。

レベルの低い相手には高確率で当たりました。しかし、レベルの高い相手には驚かれることはあっても当てることはできず、胴回し回転蹴りで試合に勝つのは難しいと感じました。

それには理由があります。まず一つ目は技の後、転倒するためあとの技に繋ぐことができない。二つ目は連射性が全くない。最後に三つ目はクオリティが低いと全く有効打にならない、ということです。

胴回し回転蹴りはプロの試合でも掛け逃げと見なされることがあります。試合で勝つためにメインで使うような技ではないと考えるようになりました。

ジュニア空手で勝つ条件とは

ここでジュニア空手(フルコンタクトルール)で勝つための条件を考えてみましょう。

各団体によって若干異なるところもありますが、判定基準には共通点があります。

それは、一本>技あり>ダメージ>有効打>攻撃数>積極性の順に重視されるということです。

この優先順位を見ると、一番重要な「一本」を目指すのが良いように思われるかもしれませんが、実はそうではありません。ジュニア空手の試合では攻撃数がかなり重要になります。

優先順位から言えば攻撃数は下から数えて二番目です。しかし、技ありもなければ、ダメージもないいわゆる塩試合のような展開になったら、審判はここを見るしかなくなるんです。両者ともに決め手がなければ、攻撃数の多い選手が勝者となります。

攻撃数をかせぐケンケン横蹴り

指導していただいた先生から、攻撃数を増やす技として教えていただいたのがケンケン横蹴りです。ケンケン横蹴りとはステップワークを止めることなく、動きながらスピーディーに繰り出すことができる横蹴りです。

何故ケンケン?と思われるかもしれませんが、このケンケンが重要なのです。通常の横蹴りですと威力はあるかもしれませんが、地面に足を思いっきり踏ん張って蹴るため連射性に欠け、攻撃数を増やすことができません。

ケンケン横蹴りを極めると試合を有利に進めることができます。ケンケンのため片足立ちのステップになるのでいつでも攻撃できます。

パンチの連打に比べると連射性は多少劣りますが、一般的には1発の威力はパンチよりも横蹴りの方が上です。試合でケンケン横蹴りを使うと面白いように当たりました。

一種類の技を磨き上げることの大切さ

プロの試合では、色んな技を組み合わせて戦うのが普通です。しかし、練習時間も限られているジュニア空手においては多くの技を覚えて、その全てを試合で使えるレベルに高めるのは簡単ではありません。

一種類の技だけを極め、それだけで戦う方が効率が良いと思います。

空手の試合で蹴りを一切使わず突きだけで戦う。これは昔からよくあるスタイルです。個人的にはいいと思いますがパンチだけになると接近戦に持ち込まないといけないので遠距離戦で不利になるデメリットがあります。

しかしケンケン横蹴りはどちらもできます。どちらかと言うと遠距離向けの技ですが近距離で出すこともできます。前蹴りと違い横蹴りは同じ足で連射できる技であり、足をたたんで打つことによってバランスを大幅に崩さずに打つことができます。

ジュニアの試合で有効なケンケン横蹴り

実際、ジュニアの試合でケンケン横蹴り戦法を使う子供達をよく見かけます。しかしこれはジュニアに限ったことにあって一般では見かけません。何故なら一般の選手は体が出来上がってるため横蹴り数発程度ならガードなしでも踏ん張りだけで耐えることができるからです。

一方、成長期のジュニアの選手は体がまだ出来上がっていないため個人差はありますが横蹴りをまともに食らったらガードなしでは吹っ飛ばされます。体幹をガチガチに鍛えておけば吹っ飛びませんが、そのような子供はあまりいません。

ジュニアの試合であればこのケンケン横蹴りだけで試合をやりくりできますし、勝つこともできます。

片足だけになるので下段蹴りで転倒させられるのではと思うかもしれませんが、実はこれがなかなかできないんですね。軸足を刈っても子供の威力ではなかなか倒れないですし、こちらが先に横蹴り当ててしまえば、崩された相手は有効な打撃を打てません。こんな単純で効果的なチート技は他に無いと思います。

一種類の技だけでも努力は必要

ただジュニアの選手に忘れて欲しくないのは日々の努力です。

「一種類の技だけで楽して勝てばいい」

こんなふうに考えて欲しくありませんし、そう甘くはないです。努力はどんな時においても必要です。

では何をすればいいかと言いますと、

  • 片足立ちトレーニング
  • 体幹トレーニング
  • 柔軟トレーニング
  • ケンケン横蹴りのみのミットまたはサンドバック打ち

などです。これらをできれば毎日反復練習するようにしましょう。

練習メニューのバリエーションは多くなくても、勝つために必要なトレーニングをしっかり反復練習していれば結果は必ずついてきます。

ジュニア空手を指導する立場として、今ある最先端がここで紹介したケンケン横蹴り、そして種目数を絞り込んだ練習方法だと思っています。