電車内で痴漢に遭っていたというのもあり、護身術を習おうとして、腕力などがなかったので力技ではない武道ということで合気道を習う決意をしました。
実際、稽古を始めてみたところ、力技ではないどころか体力やスタミナをかなり要求される格闘技だと分かり、とにかく稽古がしんどかったです。
とはいえ、投げ飛ばされると大けがをする武道なので、受け身が重要であることは最初の頃に学びました。
合気道の「受け」が大切な理由
合気道の最大の特徴は、相手の力を利用するところにあります。
合気、つまり、相手に気を合わせて技をかけるところに、他の武道とは違った特徴があります。
技には「取り」と「受け」というものがあり、「取り」が技をかけるほうで、「受け」が技を受けるほうです。
今回のわたしのこの過酷なまでの練習は、この「受け」を強化するためのもので、この「受け」ができないと大けがにつながります。
合気道は技がしっかりかかって、「受け」がきちんとできていないとともて危険なので、この「受け」の稽古は初心者にはたいへん重要な稽古になってきます。
3級を取るまで徹底した受け身の稽古
合気道の稽古を5級からスタートし3年間ほどかけて3級を取るまではずっと受け身の稽古をしておりました。
受け身は合気道で怪我をしないための大前提で習得するものでして、体力もない女性ですし、受け身は男性の3倍ほどは練習しました。
毎回技(取り)の稽古に入る前に前受け身100本、後ろ受け身100本をやり、それから技(取り)の稽古に入っていきました。
だいたいのピ-クが50本目くらいで、そこまではどんでもなく苦しくて止めたくなるのですが、師範が止めてくれないので、もうひたすらひたすら受けを取っていました。
そうすると、そのうちに息がふっと軽くなる瞬間があって、それを過ぎると苦しくなくなるのです。そこは不思議でした。
息つく暇もないほど投げ飛ばされて、苦しいながらもこなした達成感はなんだか気持ちの良いものでした。
武道とは鍛錬、まさにこの言葉を地で行っているような感じの稽古でしたね。
受けを練習すると取りが見えるようになる
練習の成果は体力と根気がついたこと、受け身を習得できて、その後の稽古でも安心して取り組めたこと。
そして、その粘りの稽古のお陰で黒帯までいくことができました。
技(取り)はたくさんあって、なかなか覚えることができませんでした。3級になるまでは、実際のところ何をしているのかすら分からず、ただ、ひたすら師範が指示したことを淡々粛々と稽古していました。
そうすると、不思議なことに技(取り)が見えてくるようになるのです。
わたしに関してはここまでくるのに3年はかかりましたが、結局のところ、何にしても、素直に師範の言うことを聞いて、諦めることなく、止めることなくコツコツと継続して稽古に励んでいると、いつかは技(取り)や「受け」がすんなりできるようになるのだなと思ったものです。
稽古していて思ったのは、諦めずに淡々と鍛錬を積んでいく、そうすると道が開けてきて、気がついたら黒帯が取れるまでになっていました。
(文・さちこ)