2021年RIZIN.31で行われたRIZINフェザー級タイトルマッチ、斎藤裕vs牛久絢太郎。
2020年に斎藤が朝倉未来との戦いを制してRIZIN初代フェザー級チャンピオンに輝いてから1年。斎藤にとってはこの試合が初防衛戦となる。
斎藤は怪我で思うように定期的な試合ができていなかった。今回のタイトルマッチもチャンピオンの斎藤自らが提案し、決定した経緯がある。
対するはDEEP現フェザー級王者の牛久絢太郎は、日本国内フェザー級トップ選手の1人だ。前王者の弥益ドミネータを下し、強いフィジカルを生かしたタックル力が有る選手。牛久の指導陣には戦極で名をあげた横田一則も居り、試合前のインタビューでも牛久の打撃が一発当てれば試合展開は大きく変わるだろうと発言を残していた。
↑2021年RIZIN.31の斎藤裕vs牛久絢太郎
斎藤裕vs牛久絢太郎の試合展開
初防衛戦を迎える斎藤裕。入場から冷静な面持ちで登場する。
1Rのゴングが鳴ると両者オーソドックスのスタイルでリングの中央へ。プレッシャーを与えてじりじりと前に出ていく斎藤。
斎藤の強烈な右ボディが牛久を捉える。斎藤が開始から積極的に前に出てプレスをかけていく展開だ。
時折、両者の距離が近くなり撃ち合いの距離になる。牛久も斎藤の圧力には臆せず、彼自身のフィジカルの強さも感じさせる。揉み合いになり、バランスを崩した斎藤に牛久は追撃はせずに三角を狙いに行こうとするも斎藤は冷静に牛久の左脛を掴みブロックしていた。
斎藤がマウントで重いパウンドを牛久の顔面に放ったところで1R終了。
左右のボディフックで斉藤ペースに?
2Rも斎藤が打撃で前に出てくる場面が見られる。斎藤得意の右の打撃によるボディフック、ガード越では有るが右のフックも狙っていく。斎藤が左右のボディフックを牛久に被弾させ、もはや斎藤のペースで試合が運ばれていくのだと誰もが思っていた時だった。
斎藤がロープを背にした際に牛久が放った跳び膝蹴りが斎藤の額を捉えた!
両者組みついた際の斎藤の額は縦5cm程の長さで切れて居り、流血していた。すぐにレフェリーが試合を中断。
斎藤裕、額の怪我によるドクターストップでTKO負
ドクターチェックの結果、試合続行不可能の判断が出された。
斎藤自身は状況を受け入れ切れていない様子だ。試合の続行を何度も要求する斎藤の声も虚しく、試合は斎藤裕ドクターストップによるTKO負けという残酷な結果で幕を閉じ、新王者牛久絢太郎がDEEPとRIZINフェザー級二冠王者に輝いた。
斎藤裕にとっては不完全燃焼の結果となった。残念ながら、ドクターストップといえども有効打によるカットの為、斎藤の敗北となってしまった。
どうなる?混沌としてきたRIZINフェザー級
RIZIN榊原代表は大会終了後の会見で思い描いていた大晦日のフェザー級前線を巡る構図が崩れ去ったと発言している。
朝倉未来から始まったRIZINフェザー級。元UFCファイターの堀江圭功、階級をバンダム級から上げてきた佐々木憂流迦、クレベルコイケ、萩原恭平等、役者は十分に揃い、層が厚い階級へと変貌した。
RIZIN初参戦の牛久がチャンピオンベルトを巻いた事で更に混沌となった訳では有るが、実力が拮抗しているからこそ、今のRIZINフェザー級は不安定で、それだけ見ごたえのある階級と言えるだろう。
実力が拮抗する事は互いに凌ぎあい、勝利した者は更に成長できる環境であるともいえる。コロナ渦で海外選手の来日が難しい中、いつかBellatorの海外勢との対戦が再び訪れる時までに日本国内のフェザー級選手達には互いに凌ぎあい、さらに実力を高めていってほしい。
(文・Totty2)