柔道国体予選…私が全日本チャンプに勝利!?波乱の展開とは

国体は、女子は個人戦がなくて団体戦のみ。男子が5人制なのに対して女子は3人制で、各県の代表メンバーが出揃います。本国体には、このブロック予選で一位になることにより出場権をえることができます。

私はトップバッターの先鋒として、県代表でいつも起用されていました。

少年の部、成年の部で長年出場はしてきましたが、本国体に出るためにはブロック予選で一位にならないと出場権は得られません。

弱小チームではなかったですが、ブロック内には強化選手を揃えている県もあったので優勝までの道のりは本当に険しいもの。ブロックは5県で争われましたが、いつも4位、良くて3位だったのを覚えています。

柔道の本国体出場の可能性が見えてきた

個人戦とは違い、団体戦は全員の役割がとても大切で、試合の流れにより個人の特性が活かされたら勝てるし、逆に活かせなかったら負けることもあります。

大どんでん返しがあるのも団体戦の特徴であり、見どころでもあります。

私は先鋒なので、チームの流れを作る重要な役割。勝敗はほぼ、この先鋒にかかっていると言っても過言ではありません。

勝てなくても最低引き分け、しかも判定で勝つレベルのいい試合運びを後ろの2人に見せるのも先鋒の役割なんです。

大学3年の夏、その年は1番の優勝候補である県が本国体の主催県でした。開催県のチームは予選なしで出場できるので、予選は残り4県で争われることに。

次の試合に勝てば1位に

私たちの県は最初で最後かもしれない大チャンスを迎えたのです。

開催県を除いた、残り4県での闘い。しかし、戦力的にはギリギリ勝てるか勝てないかの競り合いになることは明らかでした。

どの県が勝ってもおかしくない。しかし、我が県の大将は全日本の強化選手を起用しており、彼女はどんなことがあっても必ず取ってくれるので先鋒の私と中堅が引き分け以上であればほぼ勝利できると言う計算でした。

試合はリーグ戦、ポイントの高い順で順位が決まります。私たちの県は、大将が強化選手ということもあり、私と中堅の子はかなりリラックスして試合に臨むことができ、負けなしで大将に繋いで、ついにあと1試合で1位になれる所まで来ました。

自分の相手は全日本チャンピオンだった

しかし、対戦相手の先鋒は、何と全日本チャンピオンのMさん。テレビでしか見たことないと言う有名人だったのです。

監督からは、胸を借りるつもりで行けと言われ、私もそのつもりで臨みました。

負けてもいいんだ、どうせ捨て駒だから、思い切って行こうと決め、いざ試合が始まりました。開始1分ほどのことでした。私は強化選手相手に案外粘っていたのです。寝技で両足を絡んだ所を、Mさんは立ち上がって私を持ち上げてそのまま畳に突き落としました。

待てがかかり、主審は副審を呼びました。

警告!

Mさんに技有り同等の反則が提示されました。そこからはもう、死に物狂いでした。逃げるぞ!逃げてやるぞ!負けるもんか!

相手も焦っていたのか、何とそのまま逃げ切るどころか、私は有効2つのポイントまで取ってしまったのです。やがてブザーが鳴り、私は勝ってしまいました。

チームは流れに乗り、中堅と大将も勝って、晴れて本国体の出場権を獲得することができました。監督の喜んだ顔、今でも忘れられません。

私は、全日本チャンピオンに勝てたって事で更に柔道熱が高まってやる気満々。しかし、その後行われた全日本の強化合宿で、私はMさんにボッコボコにやられてしまうのでした。

(文・黒帯ももこ)