女子生徒ばかりの商業高校出身であることをバカにされるのが悔しくてボクシングを始めた自分。
その後もボクシングを続け20代後半になったとき、ジムである出来事が起こります。それは普通の方でしたら、ボクシングを辞めてしまったり、ボクシングを嫌いになるような出来事でした。
しかし、私はここがチャンスと捉え、自分の人生に悔いを残さないよう、プロ加盟のジムへ移籍してプロのライセンスを取得しようと決意しました。
ボクシングのプロテストを受ける
プロ加盟のジムへ移籍し、練習の日々になります。
ここでの練習はボクシングを始めてからこれまで行ってきたものとは少し違いがありました。
例えば1分間のインターバルから30秒間になりました。一番初めにやったプロ選手とのスパーリングでは、開始20秒でダウンを奪われるという経験をしました。
今まで何年間かボクシングの練習だけをやりダラダラ過ごしていましたが、これでようやくプロを目指す時が来たのだと実感しました。
一年近く練習を積んだ後、プロテストとなりました。後楽園ホールへ行き筆記テストやスパーリングを行いました。
とても緊張し出来は良くなかったのですが、翌日インターネットで検索してみると、私の名前がありました。私はようやくプロボクサーになることができ、今まで他の免許や資格をとったときよりも、一番嬉しい出来事となりました。
ジャブだけのシャドーボクシングを取り入れプロデビュー戦へ
私はプロボクサーになり、ボクシングに専念しようと、仕事をフリーターに変えました。
プロボクサーになってから、一つだけ今までと違う練習を会長から教えて頂きました。それは、ジャブだけのシャドーボクシングです。
鏡の前へ立ち、ジャブだけを3分間休まず打つという練習でした。時には重りを持ち、ジャブだけのシャドーボクシングをした事もありました。
この練習により、左腕がパンパンになり、今までよりもジャブのキレがよくなりました。
スパーリングも重ね、いよいよプロデビュー戦となりました。当日はとても緊張し、力不足から2RTKO負けになりました。
私は悔しい思いで一杯で、初心に戻りボクシングの練習に励みました。
引退を決意したプロ2戦目
初心に戻り練習を積んだ後、2戦目となりました。相手の選手は戦績も良く、見た目も強そうな若者でした。
私はこの時点で10年近くボクシングをやり年齢も30代になりかけていたので、次の試合で負けたら最後にしようという気持ちで試合の臨みました。
試合が始まると1R数秒からはやくもダウンを奪われました。しかし、私にも長く続けてきた意地があります。ダウンを奪い返すことに成功します。
ダウンを奪ったパンチは、ボディへパンチを集中し、ガードを下げさせ、上にパンチを当てるというものでした。ボクシングを辞めた現在でも記憶に残っています。
2R、3Rと続き、4R数秒でTKO負けとなりました。私は、この2戦目でボクシングに諦めがつきました。
ボクシングを引退した素直な心境
私は、ボクシングを10年近く続けてきました。プロボクサーになってからよりも、なるまでの方が長かったくらいです。
最後の試合の対戦相手となった若者からは、「いくら好きな事とは言えダラダラ長く続けていてはダメだ」ということを教わった気がします。
悔しい思いをして始めたボクシングという競技でプロになることができ、嬉しいという気持ちと、プロでの戦績は2戦2敗という結果だったので、自分にはボクシングは不向きだったという気持ちの両方があります。
ボクシングを辞めた現在、私は仕事に専念し、充実しています。もし負け犬ということで笑われたりしても、現在の私は昔のように怒りが湧くことはなくなりました。
これからも私の我が儘を聞いて下さった皆様に感謝の気持ちだけは忘れず、生活を送っていきます。そして、何か興味が出てくることがあったら、迷わず挑戦していきます。挑戦と努力の人生にしたいものです。