幼稚園の年中から、中学校3年生まで水泳を11年間やっていましたが、学生時代はPRIDE全盛期で、桜井マッハ速人vs五味隆典に釘付けになり、格闘技をやるしかない!と思い、高校からレスリングを始めました。
レスリングの櫓投げ(やぐらなげ)とは
今からご紹介する技は身長が低くても、高くても、軽量級でも重量級でも使える櫓投げ(やぐらなげ)という技です。相撲の決まり手にもなっています。
櫓投げとは、相手を釣り上げてから、自分の膝や太ももを使って跳ね上げて後方に投げる技です。
相四つまたは双差しから相手を手前に引き付けて、自らが低い位置に入ると同時に相手の股の中に一歩踏み込む意識で足を入れます。
相四つの場合は刺してる方の足を、双差しの場合はどちらの足でも大丈夫です。後は自分に引き寄せるように抱っこする要領で持ち上げて、体を反転させてマットに背中から落とします。
私が櫓投げを練習し始めたきっかけは、高校生の時に顧問の先生に「お前はタックルが下手すぎるから上半身を狙っていけ!」と言われたからです。もともと私の身長が190cmもあったので、低くタックルに入ることに悩んでいたところでした。
フリースタイルとグレコローマンスタイルの違い
レスリングには2つのスタイルがあります。
フリースタイルは全身に触れてOKですが、グレコローマンスタイルは上半身にだけ触れてOKです。
ポイントには1点、2点、4点、5点があります。
- 1点:場外押し出し
- 2点:タックルなどで腹這い又は尻餅をつかせた状態
- 4点:柔道でいうところの一本を取るような背中からの落下
- 5点:相手を自分の肩くらいまで持ち上げて叩きつけたら入る点数(稀にしか見れない)
このほか相手の肩をマットに1秒間つけたら「フォール」になります。柔道でいう抑え込みのような体勢です。
相手とのポイント差が10点以上ついた場合はテクニカルフォールといってその時点で試合終了。こちらは野球のコールドみたいな感じです。
櫓投げはレスリングではグレコローマンスタイルの選手が主に使用しているイメージですが、私はフリースタイルでの試合や練習の時も使っていました。
櫓投げが試合で有効な理由
櫓投げは豪快に相手を持ち上げてそのまま叩きつける!っといったような大技ですが、綺麗に決まることは正直なかなかありません。
ですが、たとえ腹這いに相手を倒すことができても2点、プラスそこからグランドの展開に繋げてローリングを一度返したらさらに2点と、あっというまに4点取ることができます。
レスリングは芸術性を争ってるわけではなく点数を取ればいいので、次に繋げる、単発で終わらないというのは非常に重要となってきます。そういった面で考えればこの技を練習する価値は充分にあると思います。
櫓投げを試合で決めるコツ
櫓投げは大技です。試合で使用する際は、「楽に点数を稼ぐ」、「早く試合を終わらせる」などの気持ちで相手に仕掛けても実力差のある、自分よりも格下の相手でなければかかりません。
私は右刺しだったので右で説明していきます。相四つの場合はまず右で刺したら相手と自分の距離を詰めて下さい。離れていたら余計な力を使わなくてはいけなくて腕が張るだけです。
かいなを返す
密着したら右に回り込むと同時に肘を上に上げて相手に脇を絞らせないようにします。専門用語でこれを腕を返す(かいなをかえす)と言います。
この時に注意することは2つ。手のひらを上に向けて肘を上げること、密着する時に相手のカウンター(一本背負いや反り投げ)を受けないように体重を相手に全部預けないこと。
ここまで出来たらあとは反対の手とクラッチを組んで、相手の股に刺してる方の足を出来るだけ深く入れて、自分の方に引きつけると同時に持ち上げます。
完璧に決まった状態だとほとんど力は使わなくていいので、そうなったら体を反転させて4点を狙う意識で背中から落としましょう。
得意な体勢を作ってチャンスを待つ
最初から櫓投げを狙っていってはいけません、あくまでも得意な体勢になって効果を発揮する技です。
投げる前の腕を返す工程は他の技や試合を優位に進める面でも役に立ちます。楽をしようとする技ではありませんが、チャンスになったら思いっきって失敗覚悟で仕掛ける度胸が必要です(練習ではいくら失敗してもOK!)
自分の得意なことを見つけよう
私は器用なタイプではなかったのですが地味な練習を繰り返し行うことで、全国大会で表彰台に上がることができました。
自分のタイプを分析することは、どのスポーツにおいても非常に大切なことだと思います。自分が得意なことはなにか、苦手なことはなにかをわかった上で練習に取り組めれば、成長するスピードが倍になると言っても過言ではありません。
私の場合は低いタックルが苦手な反面、上半身を攻めることが得意なことに気づき、櫓投げを磨くことで勝率が上がりました。
自分を客観的に見て、得意なこと苦手なことを把握するようにしましょう。
(文・ロマトント)