トニー・ファーガソン、アンソニー・ペティス戦から予想するゲイジー戦の試合展開

2020年5月10日、UFC249でジャスティン・ゲイジーと対戦するトニー・ファーガソンに注目してみよう。

リーチとスタミナに勝るトニー・ファーガソン

トニー・ファーガソンの強みは手足の長さによるリーチとそのスタミナだ。

以前にアンソニー・ペティスの攻撃で一時は危うい場面に追い込まれるもサブミッションの対応力で何とか回避。ファーガソンの回避能力とタフさはUFCライト級の中でもトップクラスだ。

さらには距離を制することで相手の打撃を殺し、相手の試合ペースを崩すテクニックもトニー・ファーガソンの大きな武器といえる。

トニー・ファーガソンvsアンソニー・ペティスを振り返る

トニー・ファーガソンのファイトスタイルに肉薄するために、UEC229でのアンソニー・ペティス戦を振り返ってみよう。

いち早く自分のペースをつかむファーガソン

1Rステップワークで距離を縮めていくファーガソンに対し、ペティスは自身の距離を図っていった。

ファーガソンは柔軟な動きから両足をスイッチしフロントキック、ローへと攻撃を散らしていく。

ファーガソン独特の変則的な動きへの対応にまだ慣れていない様子のペティスだ。足を使ってリングを旋回するペティスは時折ハイキックを見舞うも空振りし、まだ自身の距離感を掴めていない様子。

一方、ファーガソンは自身のペースを着々と掴むようにペティスに足を使わせ、じわじわと前進し、決定打ではないものの手数で上回っていく。

距離を制するファーガソン

1R残り時間1分でファーガソンがストレートがペティスを後退させる。ペティスも打撃で応戦するもファーガソンの距離のコントロールの巧さに翻弄され決定打とはならず、動き回っている分、より多くの体力を消耗している。

後退するペティスは打撃数も次第に減っていき、完全にファーガソンのペースとなって行った。距離を制したファーガソンはペティスが得意とするバックハンドの打撃も見舞う。

残り10秒金網を壁蹴りしたスーパーマンパンチで圧力をかけ、バランスを崩したペティスに打撃で畳みかけたところでラウンド終了のゴング。ラウンド序盤からファーガソンの距離を制しての攻撃が功を奏している。

ピンチを切り抜ける寝業のスキル

2Rファーガソンが先進し、インローを見舞う。そして両者同時に蹴りからストレートを見舞った瞬間、ペティスの右ストレートがファーガソンの顔面を捉えた。

ファーガソンが腰から崩れ落ちた。すぐに立ち上がり、後退しながら、なんとか回転エルボーでその場を凌ごうとするファーガソンだが、またもペティスのフックがファーガソンのテンプルに直撃し、ファーガソンが倒れ、前転でどうにか逃げようとするがペティスの打撃は止まらない。

しかし、ファーガソンも得意の飛び込みヒールホールドの体勢に持っていこうとする。ペティスにマウントをとられ、ファーガソンの顔面は真っ赤な血で染まる。

だが、ファーガソンの巧さはここでも際立っていた。下からの三角絞めを狙い、ペティスに全く有効打を打たせない。気づけばペティスも先ほどのファーガソンの打撃で額が切れたのかかなり深い傷が見られる。

そして痺れを切らしたペティスの隙を伺い立ち上がるファーガソン。両者の鮮血を拭き取る為にコーナーにて試合中断。笑みを浮かべるファーガソンは前進し、先ほどまでの打撃のダメージを感じさせない打撃で前進していく。

相手の体力を消耗させる

ペティスは体力の消耗が激しく、またもファーガソンペースになっていき、ペティスが金網を背にする場面が多くなった。

ファーガソンはボディから顔面へのエルボー、そしてローへと多彩な打撃でペティスを追い詰めていく。強烈なボディが入ると動きにキレのないペティスがやや効いたのか防戦一方となった。

既にペティスの顔面は左目付近からも出血が見られる。鮮血で真っ赤に染まるペティスは視界をさえぎられている状態だ。

2R終了のゴングと共にファーガソンがペティスはもう戦えないことをアピール。ドクターがペティスに駆け寄り、傷の深さ、出血量からドクターストップとなった。

その瞬間ファーガソンは安堵し、涙を流す。ペティスも笑みを浮かべ、勝者のファーガソンを称えた。両者は満足の表情を見せた。

トニー・ファーガソンvsジャスティン・ゲイジーの試合展開を予想

トニー・ファーガソンは、UFC249のジャスティン・ゲイジー戦でも同様の戦法でゲイジーの打撃を潰していくであろう。ゲイジーもアグレッシブなファイトスタイルとタフさを持つ選手だが、ファーガソンの戦いに付き合えばゲイジーらしさを損なう試合展開になりそうだ。

ファーガソンへの突破口として距離を潰し、決定打を当て、さらにファーガソンのサブミッションを回避しつつスタンドでの打撃で仕留める他はなさそうだ。これは容易ではない。

ファーガソンとしては、ゲイジーのインボクシングの距離に注意し、中距離での散らした打撃と隙を見たサブミッションでゲイジーを仕留める狙いだろう。現ライト級王者ヌルマゴメドフとの一戦を前にファーガソンにとっては絶対に落とせない試合だ。

(文・Totty)

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