私は社会人としてキックボクシングの練習を続け、アマチュアの試合に出場するまでになりました。
そして、キックボクシングと並行し、こちらは週1回くらいと練習頻度は高くありませんでしたがブラジリアン柔術も習っていました。
ブラジリアン柔術を習い始めて一年が経過した頃、まだまだ技術は未熟ですが体力的には多少の自信を持っていたので試合に出場することにしました。
社会人としてブラジリアン柔術「マスター」に出場
以前に出場したキックボクシングの試合では減量に苦しみましたが、ブラジリアン柔術では減量の必要はありませんでした。
また、ブラジリアン柔術には「マスター」という年齢区分があり、自分と同年代の選手と対戦することができます。
私はブラジリアン柔術マスター1(30歳~35歳)に該当し、
- 白帯の部 フェザー級(-70kg)
- 白帯の部 オープンクラス(体重無差別級)
の2つのトーナメントにエントリーしました。
初めてのブラジリアン柔術の試合
試合に向けての練習は得意技の三角絞めを中心に行いました。
ガードポジションから絞めに至るまでのプロセスを繰り返し練習。減量の心配は無く打撃の無いルールなので仕事にも影響も出ず心理的にもストレスを感じる事も無く万全の状態で試合当日を迎える事ができました。
計量は難無くクリアしましたが、打撃格闘技のキックボクシングとは違い柔術は試合までの時間をどの様なウォーミングアップをして過ごすのかが分からず非常に困りました。
シャドーやミット打ちを行う訳にもいかず、ひたすら柔軟運動やセコンドとシミュレーションをして試合までの時間を過ごしました。
大きい外国人が対戦相手に
試合は階級制と無差別級共に体格差がある大きい外国人が対戦相手でした。
減量を行っていないので、体格差のある相手との試合になるだろうと事前にある程度は想定はしていました。
対戦相手が判明したとき、
「初試合で国際戦だ!」
と少し気持ちが高揚していました。
大会は円滑に試合が回り、階級制の自分の試合が始まりました。
練習した技を試合で出すことの難しさ
試合は力で抑え込まれ常に下のポジションから試合を作る展開となりました。
押され気味ではあったものの、これは事前に練習を繰り返してきたシチュエーションです。
予定通りガードポジションから三角絞めを狙いたかったのですが、常に密着され仕掛けるのが容易ではありません。
特に大きな試合展開は無く膠着した状態が続きましたが試合時間が終盤に差し掛かった頃、相手選手の疲れが出たのかスイープが成功し、上下お互いのポジションが入れ替わりインサイドガードから攻勢を作るポジションへ移行できました。
しかし、そこで試合時間が終了。
結果は判定負けとなりました。
力で組み伏せられた無差別の試合
体力的にはまだ余裕があったため、様子を見すぎたのか余力を残してしまい全力を出し切れず終わってしまいました。
続く無差別の試合は圧倒的な体格差のある相手との試合となり、掴まれてコントロールされるのを恐れスピードで攪乱しようと積極的にフットワークを使い動き続けましたが、やがて距離を詰められ掴まってしまいます。
力で組み伏せられて、マウントポジションから首を絞められ一本負けとなりました。
和やかなムードだが、勝利への執念は必要
対戦したお二方は試合中は終始鋭い視線で息遣いも荒々しく「絶対に勝ってやるぞ」という勝利への執念を強く感じました。
対照的に私はというと、打撃の無いルールのためか試合直前までリラックスをして緊張感が乏しいまま試合に臨んでいました。
この試合を経験しブラジリアン柔術の試合は社会人でも参加しやすいルールではありますが、ゆえに技量は元より勝利への執念や競技への情熱が問われている気がしました。いずれも私に不足していたものです。
今回出場した柔術の試合は格闘技の試合場の空気とは違い、選手が一同に会する場でもそれ程殺伐としておらず、試合の展開や勝敗に一喜一憂する歓声や拍手が沸き起こり試合が終わればノーサイドの精神がある、どこか温かい空気を感じる会場の雰囲気でした。
それもまたブラジリアン柔術の競技の魅力の一つと感じました。今回敗戦はしましたが、実際に試合に出場したことでブラジリアン柔術の素晴らしさと難しさを学びました。これからも研鑽を積み、また試合に挑戦したいと思います。
(文・KOU.jp)