高校時代に柔道の練習に明け暮れていた頃、新しい技の研究に取り組んでいました。
迫力ある技を求めて日々考えていました。その流れで全国大会を観ていると柔道特有の技がやっぱり多いなと感じました。背負い投げや払腰、大外刈り等、魅力的な技ですが私にとってはなにかが違う気がしていました。
その頃柔道に対して、面白味がなくつまらなくなってきていました。指導者の方もあまり教えてくれていなくて、先輩も試合のことしか考えていない印象でした。今更辞めるのももったいない気がして意地で柔道に取り組んでいました。
バックドロップを参考に裏投げを練習
そんなある日、合宿先で練習試合を観ていると、裏投が炸裂しました。それを見て一目惚れして「これだ!」と思いました。
そして合宿終わりの次の日からの練習で試してみました。これが裏投との初めての出会いでした。この技の魅力は、どんなに組み手争いで負けていても、一瞬の隙で勝利を掴み取れるところだと思います。
実は、私のこの裏投は誰からも教わっていません。独学でひたすら研究しました。そのモデルとなったのが、プロレスラーのバックドロップでした。相手をしっかりもって最後まで決めにいく姿にとてもかっこよさと意地を感じました。
ヒョードルvsランデルマンのバックドロップが理想
私の理想は、やっぱり ヒョードルvsランデルマンの試合での、ランデルマンの見事な殺人級のバックドロップでした。あの実践的なバックドロップは、何度見ても感動します。そして、マットを敷いて、友達に練習台になってもらい日々研究していました。
怪我をする恐れもあるので時には重たい人形で練習したりもしていました。そして、1年練習を続けて最高の裏投が完成しました。この裏投のおかげで試合の際、組み手が相手有利でも一瞬の隙を見つけ、負けを恐れず一気に決めにいくと最高に気持ちの良い一本を量産しました。
柔道家としてどんな技でもパワーと瞬発力、技術が必要です。負けん気も大切です。私は野球や水泳など色々なスポーツを経験しており、身体が大きい割に瞬発力があったためこの技に向いていたのかなと感じました。
この裏投のおかげで再び柔道の楽しさに気づかされ、柔道が楽しくなっていきました。そして試合でも勝てる日々が続き、私の柔道愛が今まで以上に大きくなりました。
柔道で裏投げを決めるには
裏投げをマスターするには、柔軟性かつ筋力を身につけることがまず大切だと思います。試合で決める際には、やはりタイミングが必要だと思います。例えば、キレのある内股をする人なら内股に入られるタイミングで腰をスッと落としてすぐに裏投に入れる体制にして裏投をする、大内刈りをしてくる相手には、技に入られる寸前に避けて技の形に入って、対策される前に投げる等、様々なタイミングがあります。
例えば相手が内股や払腰といった、こちらに背中が見える技を仕掛ける瞬間に入るのも有効です。
裏投げに向いている人は身体が大きく瞬発力のある人で根性のある人だと思います。逆に向いていない人は、パワーはあるけど、瞬発力のない人だと思います。団体戦の時にこの技で勝つとチームの士気がすごく上がります。
しかし、裏投げには悪い面もあります。タイミングを間違えると逆に綺麗な一本を取られたり、なんといっても捨て身技なので、着地地点を間違えると大怪我に繋がるリスクもあります。私の裏投は相手に抱きついて投げるので、投げる時に腕が下に入って少し怖いのですが、絶対に離さないことが重要です。
(文・Shiin)