商業高校時代、生徒は女子ばかりで喧嘩もした事がなく、他校の男子生徒から「○○高校」と呼ばれ馬鹿にされていました。
それは専門学校に進学してからも続き、私も男なので、徐々に怒りが燃え上がり始めました。
そして専門学校卒業が近くなる頃、私は決意し初めてボクシングジムに通う事になりました。初めて入門したジムは、ボクシングだけでなく、キックボクシングも習えるジムでした。
私はボクシングを選択し、ボクサーとしての人生が幕を開けました。
ボクシングの厳しいミット打ち
始めた当初は、基礎練習を何時間かやった次の日は、全身筋肉痛になるほどきつい競技だと実感しました。
練習を何日か行い数日経った頃、ある方と出会います。その方は私がボクシングを初めた当初はジムの会長をしており、私がプロボクサーになる為に移籍する頃にはジムのオーナーになっていたKさんです。
Kさんは私にボクシングをみっちり教えてくれた人物になります。
一番印象に残っている練習は、ミット打ちになります。
3分間のブザーが鳴ってもミット打ちは続き、それを何ラウンドも続ける、とても過酷なミット打ちでした。しかし、当初の私はボクシングを極めたかったので、過酷ながらも日に日に上達していく事が実感できていました。
やはりボクシングは過酷な競技なので、このような厳しい人物との出会いが、私がボクシングを続けたきっかけの一つになります。
レベルの違う社会人ボクサーとの出会い
そして、私がボクシングを始めて数カ月経過した頃、Sさんという方が、ジムに訪れました。当初見た時は、顔が怖く明らかに他の練習生とは違うオーラの持ち主でした。
私はSさんの試合は観た事はないのですが、社会人の試合に出場していた選手だと伺いました。
そしてSさんのミット打ちに入りました。スピードやパンチの打ち方どれを取っても、私や他の練習生のミット打ちとは違う物で、その時の光景は忘れられず、現在でも記憶の中に残っています。
マスボクシングなのに顔面クリーンヒット
ある時Sさんに、「マスボクシングをやろう」と声を掛けられました。
この日が初めての会話になりました。マスボクシングはSさんと出会う前から、他のトレーナーから教わり、練習生の方達とやっていたので、ある程度は知っていました。
スパーリングとは違い、寸止めや相手のグローブに当てる練習です。
リングへ上がりブザーが鳴りました。やはり威圧感が凄まじかったです。私はマスボクシングなので、打撃を当てられる事はないだろうと油断していました。
その瞬間、私の顔面にSさんのパンチが、クリーンヒットとなりました。
私は、マスボクシングなのに何故だろうと動きが止まりました。Sさんは私にこう言いました。
「お前試合出たいんだろ?試合出たいなら俺の顔面狙ってこい」
そこで私は吹っ切れました。私も攻撃開始です。しかし中々当たりません。
ようやくヒットしたのは、フェイントを入れてからの顔面パンチでした。
その日の練習はいつも以上にクタクタになり帰宅しました。
ボクシングを続けるきっかけとなった出会い
初めてSさんとマスボクシングをやり数日経った頃、ジムでSさんと会いました。
Sさんの顔を見ると、何と私のパンチでアザが出来ているのです。学生の頃喧嘩もした事がなく、馬鹿にされていた私なのですが、上達していると実感できた出来事でした。
それからというもの、Sさんとジムで会う度に、マスボクシングでの練習になりました。
私が、プロ加盟のボクシングジムへ移籍する以前にいたジムでは、Kさん、そしてSさんとの出会いが非常に大きいものとなりました。二人の方との出会いは、私がボクシングを続けるきっかけとなりました。