小学生の頃、周囲の友人達は、サッカーや野球に明け暮れていた頃、昔から少し血の気の多かった僕は、なぜか急に「空手がやりたい」といったらしく、それが空手との出会いである。
周囲では格闘技をやっている人間は少なく、未知なところに足を踏み入れる感じでしたが、続けていく内に深みにはまっていきました。
空手の得意技が先制攻撃からカウンターに変化
得意技はその時代ごとに、徐々に変化していきました。
小学生、中学生の時は、ボクシングでいうとジャブと同じ、前拳での「刻み突き」による先制攻撃。
当時はスピードに自信もあり、得意技として使用していましたが高校2年生の時にスランプに加え、拳の骨折と怪我も重なり、一番の得意技となる「返しの突き」いわゆるカウンターとの出会いでした。
カウンターは玄人向けの戦い方なので、格闘技が好きな人なら一瞬の攻防に胸を躍らせることでしょう。
自分の場合、腰の怪我などもあり、思うように動けない時に相手の動きをよく観察するようになってから身につけることができました。ケガの巧妙だったかもしれません。
カウンター狙いの戦術は待ちのスタイルになるため、審判の印象もあまり良くないこともあり、カウンターを中心に教える指導員は少なく、独学で学ぶ選手が多い技です。
そんなカウンター技ですが、ポイントを取ること以上の威力があると思っています。試合の流れを支配できるようになるからです。
相手選手に、こっちにカウンターがあるというイメージを植え込むことが出来れば、迂闊に手を出してこなくなり、甘く攻めてきたらすぐに技を返すのも容易になります。
似た技には、後ろに下がり、引き込んで反撃にでるという返し方もあります。こちらもカウンター技と似たようなイメージですが、カウンター技はあくまでも前で抑える、というイメージなので違いがあります。
しっかりと前で抑えるという点がカウンターを決める重要なポイントです。当時の自分のフィジカル的な特長ともマッチし、この技が見事にはまって、自分のペースで試合運びが出来るようになりました。
カウンターを狙うときの注意点
しかしいいところばかりではありません。典型的にこの技が向かない選手のタイプもあります。
それは身長の低い選手です。身長が低い選手がカウンター主体で闘うと、どうしても後手に回ることが多くなります。そのことによって自分の間合いに入り込まれることも多くなるのが現状です。
反対に、身長が高く、リーチの長い選手はカウンターに向いています。そのとき、いかに威圧感を放てるかが重要です。自分の間合いをしっかりと見極めつつ、相手との距離を計りながらカウンターを行なえる体勢を作っていくことがとても大切になります。
カウンターを狙いにいく中で一番の悪い例はカウンター一辺倒です。試合のスタートから最後までカウンターだけを狙いに行くと、レベルが高くなるにつれて勝つのが難しくなります。相手選手が簡単に攻撃に出てきてくれないからです。
そのため、こちら側も攻めれる時はしっかりと攻め、攻撃する意欲があるのを見せなければなりません。
こうすることで相手は、こちら側の攻撃を警戒し、カウンターの警戒もする。そして残り時間との戦いもありますので、時間のことも考えないといけなくなります。色々なイメージを相手選手に植え付け、考えさせることができれば、次第にこちらが試合の流れを支配することにつながります。
このような心理戦を含む攻防がカウンターの魅力であり、技を決めるためにも一番大事なことだと思います。
(文・空手マニア)